【感想・ネタバレ】このままでは飢える!食料危機の処方箋「野田モデル」が日本を救うのレビュー

あらすじ

いま、日本の食料事情がかつてないほどの危機に瀕している。
そしてこう警告する「このままでは、間違いなく近い将来、日本を飢餓が襲う」と。
著者はこうした状況に至った主な4つの理由を「クワトロショック」と呼び、度々警鐘を鳴らしてきた。「クワトロショック」とは以下の通りだ。
(1)コロナ禍による物流の停滞
(2)中国による食料の「爆買い」
(3)異常気象による世界的な不作
(4)ウクライナ戦争の勃発
こうした地球規模ともいえる動向の変化は、ただでさえ厳しい状況下で生きる日本の農業従事者をさらなる苦境へと追こんだ。コロナ禍による物流の停滞は、生産物の価格上昇を招き、消費者の購買、消費を著しく低下させた。また、ロシアのウクライナ侵攻によって、現在の日本農業には欠かせない化学肥料の価格が高騰し、生産者の経済的負担を著しく悪化させた。経済の低迷によって購買力を低下させた日本は、農業生産物の購買はもとより、肥料、飼料などの農業資材、畜産資材の購買においても、中国の爆買いをはじめとして、国際競争力を失いつつある。
そして、近年続く異常気象によって壊滅的被害を被った生産者も数多い。こうした状況下、日本の農業従事者の数は右肩下がりに低下している。結果、日本の食料自給率はますます低下をつづける。「食」は生命の源だが、このままでは「食」を支える農業が成り立たなくなるのは火を見るよりも明らかだ。こうした日本農業の危機、それによって食料自給率の低下は、「日本の飢餓に直結する」と著者は警鐘を鳴らす。
本書において、こうした状況を招く要因となった戦後の米国の対日本戦略、近年の新自由主義者主導の「今だけ、金だけ、自分だけ」政策の問題点を明快、かつ構造的に抉り出す。そのうえで、この「食」をめぐる現代日本の状況をドラスティックに変えるシステムとして、和歌山で誕生した「野田モデル」をあげる。「野田モデル」は、生産者の利益を最優先しながら、消費者の購買志向に合わせた生産物を流通させるシステムで、これまでとはまったく異なる「直売所」である。この「野田モデル」は多くの生産者が抱えていた構造的問題打開の突破口となり、2002年第1号店設立以来、現在では和歌山県をはじめ奈良県、大阪府などで30店舗以上を展開している。農産物だけではなく水産物の取り扱いも開始した。現在では、関東エリアでの展開も始動しつつある。著者は、絶望的状況にある日本の食料事情において、その状況を救う確かな光明として位置付ける。
日本の「食」の危機と解決策を考えるうえで、最上の書といえる。

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Posted by ブクログ

昨今の日本の食料事情、ヤバくない?!
乳製品が足りなくなったと思えば米が無くなる。
戦争による飼料や燃料費の値上がりは、
食品の価格高騰…っていうのは理解していたけど、
生産者にその値上がり分が、還元されてない事実。
単純明快!卸業、小売業が、自分たちの都合の売値で買っていく。生産者の売値ではないという。
この仕組み,おかしいでしょ?
それじゃあ、より良い野菜を作っても、
無農薬で努力して作っても収量減少、
売値は叩かれたんじゃ、生産者(農家)も
やる気なくす、食べていけない、と言って
継承者が居なくなり、放棄耕作地が増え、
挙句に消費者は、食べるものがないたら、高値になったと困ってしまう。
この悪循環、放置していたら、
本気で将来,日本の食料事情,やばいでしょ。
種も農薬も飼料もほぼ輸入の日本、
やれ、将来,子供達は安心安全な食物を
今のように食べてくらせるのか?!

そんな不安と疑問を一気に解決してくれる内容です。
野田モデルが、全国に拡がれば、農家のモチベーションが上がるだけでなく、
食料自給率の向上、しいては、地域経済の復活へ。

食物は生活の基礎。
安心安全な食物を育てる生産者が、
安心して暮らせる将来でありますように。

0
2024年10月05日

Posted by ブクログ

前半は絶望的な内容だが的を射てると思った。
一番大切な食について日本は危機的な状況になっている。
後半は「野田モデル」によって希望の持てる内容。
一消費者として少しでも協力出来ればと思う。
農業に参加は出来ないが寄付等でも支えて行ける仕組みがあればありがたい。
多くの人に知ってもらいたい本。

0
2023年12月25日

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