あらすじ
「売上目標? ありません。
損益責任? それもありません」
営業にも、工場にも、「前年比」や「利益率」などの、数値目標がない。そんな会社がこの「失われた20年」で売上高23億円から400億円に急成長している。群馬県の豆腐メーカー「相模屋食料」だ。
今を遡ること約10年、2012年3月に「ザクとうふ」で機動戦士ガンダムファンをスーパーのデイリー売り場に結集させた相模屋食料は、いつのまにか豆腐市場でトップシェアを誇る企業になっていた。現在でも「うにのようなビヨンドとうふ」「肉肉しいがんも~INNOCENT MEAT」などのユニークな商品を次々投入し、市場を活気づけている。
相模屋食料を率いるのは、かつて雪印乳業の「普通の営業マン」だった鳥越淳司社長。熱狂的なガンダムファンの鳥越氏は、「ジオングに脚を付けるな!」といった独特のワーディングを駆使しつつ、群馬県ローカルの小さなメーカーだった同社を、日本一にまで引き上げた。
普通の会社員が、社員を糾合し、燃える集団に変えていった20年間を、本人の言葉で緻密に分析。経営書やマネジメント本には出てこない、実戦をくぐり抜けて培った鳥越氏の戦略・戦術を、読みやすいインタビュー形式でお届けします。なお、ガンダム濃度がちょっと高めの方には、さらに楽しめるかと思います。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
弊社社長に読んでもらいたいと思った。熱意のない人に熱意を持ってもらうようにするのではなく、熱意を持っている人を、より煽った方が上手くいく。全体で勝つのではなく、ゲリラ戦で局地的に勝つ。
相模屋の社長がガンダムオタク過ぎて、ガンダム未履修の自分は、例えがさっぱりわかりませんでした。
Posted by ブクログ
ガンダムの例えが多すぎてそこはよく分からなかったが、ひとつのストーリーとしてとても面白かった。
数字を見ないのと数字を当てにしないことは異なるということが、明確な理由を持って語られていて、腑に落ちた。大企業は良くも悪くも数字の管理で成り立っているが、相模屋は非上場企業だからこそ、数値管理に頼らない経営が成り立っていると思う。特に相模屋は、その数値管理がいらない規模感を意図的に維持している点が面白いと感じた。
お豆腐も買ってみたらおいしかった。
Posted by ブクログ
この一冊で数字の理解やマーケティング、商品開発、組織開発など、中小企業向けかもしれないが解説されている。しかも、コンサルでない経営者の経験談なので貴重。
社長は数字に強いが、あえて数字の見えないところを重視したり、数字が嫌いな人に向けての説明が卓越と感じた。組織論については目から鱗。
ガンダムが好きな人には特にいいと思う。
Posted by ブクログ
型破りな経営に見えて、根底には「社員を乗せてやる気にさせる」ことを最重要視しているのだと理解した。
大企業に勤める身としては、「数字で説明できることで差別化するのは難しい」というのは身に染みて感じる。
そもそも数字で説明できないと経営陣に話を聞いてもらうことすら難しい。
数字の裏付けはなくとも、個人の主観をもとにした決断が成功に繋がることもあるよなと、改めて感じた。(イノベーションはそういったところから生まれる?)
そういう意味では、数字で固めずに半ば遊びながら色々チャレンジする余白的な部分も、経営には必要なのかなと感じた。
Posted by ブクログ
私も食品工場で働いますので、書かれている事が非常に腑に落ちました。
まず、毎日数字(ロス率、原価率)だけを言われると、いつのまにか数値目標に呪縛される。そうすると目の前にあるのはお豆腐ではなく、白い四角い塊になる。
本当に同じ事を感じました。食品である以上美味しさを求めてなくてはいけないが、数字を意識し過ぎると数字を上げる為の道具になってしまう。
本来追い求めなくてはいけない事から、ズレてしまう可能性がある。
書かれていたが、もちろん数字は大事だが、あくまでもその結果美味しくなったのか?が根本にないといけない。
それ以外では、まず出来た事を喜ぶ。
完璧な成功なんてない。なにかが出来ましたという時は、出来た事を褒めるより、出来ない事を指摘したくなる。そうじゃなくて、まず出来た事を褒めよう。今日は喜ぼうよ。
自分にも当てはまる。出来た事で、更に上を目指して気を張ってしまう。意識的に悪い事ではないが、まずは喜んだ方が気持ちも楽になる。
本のタイトルがインパクトがあり購入したが、どきっと思わせる事が多く、非常に参考になりました。
Posted by ブクログ
ザクとうふでその名を馳せた相模屋。2024年2月期には400億円に達する見込みであり、20世紀末からの四半世紀で年商を20倍近くにした急成長企業。豆腐という単価も安い日常品を売りながらの急成長を成し遂げた鳥越淳司社長へのインタビューの形式を取りながら、その思考に迫るこの一冊。
業界トップに君臨し、従業員数も900名という中企業ながら、自分たちは弱者といい、ランバ・ラルのゲリラ戦を引き合いに、迅速かつ柔軟な運営を進める。自らの使命を明確にし、目標さえ達成できれば方法にはこだわらず、小さく素早く試行錯誤を繰り返し、見切りは早くてもコアの強みを把握して手放すことなく、風通しの良い社風を作ってチームとしてのパワーの発揮に努める。つまりこれだけの規模の食品企業ながら、その方法は実にアジャイル精神に溢れるもので、IT関係者にも響くものがある。
オーナー企業であり、自分が責任を引き受けつつ大胆な指揮を執るその姿は、引き合いに出されてる銀英伝のヤン・ウェンリーよりも、むしろ帝国軍のラインハルト、有能な皇帝による独裁、を彷彿させた。強力な統率力で人々がやりがいを見出せることは決して悪いことではないが、あとがきでも述べられているように傑出した存在故に再現は難しい。
そんな独裁者を戴けない普通の、平凡な企業においては、その背中を見つつ、皆ができる範囲で少しずつ背伸びするしかないのだろう。でも、背伸びすることは少しでも元気が出ることなのだ、と背中を押してくれる本だった。