あらすじ
地名や伝承から、その土地の災害を推測する「災害伝承」の第一人者・桜咲竜司は、東京・深川で奇妙な話を聞く。どんな傷も治す河童の秘薬を受け継ぐ、薬局の一人娘が呪われたという。秘薬と呪いの正体とは。関東大震災時に井戸から聞こえた小豆を研ぐような音。誰が何のためにそんな音を立てたのか。謎を解く中で桜咲は、数々の妖怪伝説を吞み込んだ、江戸の町の秘密に辿りつく──。
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Posted by ブクログ
想像がつかない話から始まる。
けど説明を聞いたら意味が分かって面白い。
河童の万能薬も宝の井戸もバレたらただではすまないし、悪いように言われたら終わりで。
けど、どちらもその人達のおかげで沢山助かったわけで。
良い事をいっぱい広めて良い事が増えるようにとした事が悪い事をしたのではと思われるのはどうしようもないですね。
心に余裕が無かったからしょうがないですませられない。
大変な状態の時に無条件に信じるのは難しいのかもしれないけど、もっと知ろうとかしていたら河童の万能薬の時も、宝の井戸の時も隠さずに出来たんですかね。
椎名さんが井戸に入る時の「いつかやると思ってました」は笑ってしまった。大切な事なのに。でも実際そう見えてしまうんだろうな。
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桜咲准教授が、不思議なできごとを民俗学的な解釈から解き明かしていく小説、3作目。今回もいろいろな解釈はできるものの、上手くまとめて、興味深い話が読めました。いろいろな解釈はあれど、その謎が上手く説明された時は、感心します。
Posted by ブクログ
第3弾!
結構、このシリーズ好き!
伝説を伝説のままに終わらせてくれないのは寂しい気がしない訳ではないけど…
地名や伝承の中にある真実!
あくまでも、作者の考えなんかもしれんけど、説得力はある。
でも、地名とか伝承に残るって事は、何かがあるんやろな。
妖怪なりに、姿を変えて、長い年月伝わっている。
今回は、あんまり災害には、関連は薄そうな気もするけど、伝わって来た話の真実に辿り着く過程は同じか。
今回のメインは、
「河童のミイラ」
病気を治すにも、真実を話すのには…
こういう風にか出来なかったのか…
今なら問題ないにしても…
「小豆あらい」(マメちゃんとは無関係)
災害時に起こる風評被害から、守るのにはこれしかなかったんかな。
色々な言い伝えには、深か〜い意味がある!
なかなか面白い!
【3つの風】
災害伝承を研究する桜咲の代名詞であり、座右の銘でもある言葉だ。ここまで桜咲の講義を受けてきた学生たちにとっては、とても馴染み深い言葉でもあるだろう。
『風化させない』
過去の災害の情報・歴史を埋もれさせず、忘れさせず、そしてしっかりと後世に残してゆくこと。
『風説の流布をしない』
間違った情報や曖味な情報、不十分な情報を披露することは、正しい知識を埋もれさせたり掻き消したりしてしまう。情報を精査した上で正しい情報を伝え残すこと。
『風評被害を出さない』
誤った情報はもちろん、正しい情報であっても、伝え方を間違えれば当該地域にマイナス評価を与えてしまいかねない。内容は正しく、そして情報の受け取り側のことも考慮した情報提供を心掛けること。
Posted by ブクログ
シリーズ第3弾
佐賀とヴェネツィアの類似点からの防災観点の講義は興味深かったです。
そして、佐賀つながりで東京深川の河童の伝承、関東大震災と宝の井戸という、なんとも興味をひく話でした。
現在の感覚では受け入れられるとされていることも、その時代では真剣に風評被害に向き合って対策しているための不思議な伝承でした。
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河童、小豆あらいと今作は妖怪より。河童の万能薬や宝の井戸について災害伝承という視点から解釈されているのは興味深かった。そしてお馴染みの秀吉の話が今回も。
Posted by ブクログ
災害伝承シリーズ3作目。河童の万能薬に宝の井戸、と聞くと昔話みたいでふわふわしちゃうけど、それが災害伝承として紐解かれていくのを見ていると、上っ面しか見てなくて自分で考える力を失っているのを感じる。このシリーズほんまに勉強になる。
Posted by ブクログ
地名や伝承からその土地の災害を推測する「災害伝承」の視点が興味深いシリーズ。どんな傷も治す河童の秘薬の伝承と関東大震災時に井戸から聞こえた不思議な音の正体が当時の人々の知恵や想いに繋がる過程が面白かった。