【感想・ネタバレ】手間ひまをかける経営のレビュー

あらすじ

金融機関なのにノルマがないという衝撃——
京都信用金庫で働く人たちは、何が動機づけの源なのか。なぜ利益をあげることができるのだろうか。
京都信金は、徹底的な地域へのコミットメントにこだわり、それを実現するために密なコミュニケーションを行い、重視し、さまざまな施策をとります。その本質は地域コミュニティへのコミットメントの重視です。自分がどうなりたいか、企業としてどうなりたいかの指針は、リーダーシップ能力の構成要素である「決めること」と「配ること」の基盤となります。
長い時間軸をかけること、ネットワークをつくること、広げること、架橋すること、言語化能力を磨くこと、白黒をすぐにつけずに、グレーの時間を耐えながら思考実験を繰り返すこと。この先に見えてきたものの多くは、今までの経営が好んできたスピードや、合理性や効率性と反対に位置します。すべてを手間ひまと時間をかけてつくることを求めます。潮目が変わり、何が正解なのかわからない時代だからこそ、手間ひまをかけることが必要です。手間ひまをかけるということは、時間をかけ、観察学習と経験学習をすることと同義です。これらの時間は、人と組織の基礎体力を上げることにつながります。
「職員一人ひとりがお客様視点で意思決定を行う」風土改革に成功した京都信用金庫の驚くべき取り組みから、これからの組織の在り方を示唆する。

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Posted by ブクログ

手間ひまをかける経営 —日本一コミュニケーション豊かな会社の「関わる力」—
著:高田 朝子

京都信用金庫の組織とマネジメントは、組織行動の学者の目から見て驚嘆すべきものであった。金融機関なのにノルマがないという衝撃。著者にとってノルマがもたらすリーダーシップのあり方とマネジメントは、長らく研究の興味の対象であった。ここで働く人たちは、何が動機づけの源なのか。本当に利益を上げることができるのだろうか。

変化が激しく生き抜くために、企業と人はどのように振る舞い、どのようなリーダーシップをとるのか。どのようなマネジメントをするのか。京都信用金庫を事例として、いくつかの違った側面から読み解かれている。構成は以下の6章から成っている。
①「手間ひまをかける」という思考法
②ネットワークとは何か
③「集合知」が発揮できる起点となる
④「ネットワーク構築力」のセンスを磨く
⑤「待つ」姿勢がビジネスを生む
⑥「人に寄り添う」リーダーシップ

マネジメントの原則として、限られた資源をどのように配分するかは、定石である。

そこで新しいことをはじめるために、何かを捨てるという公式を考えた時に、その捨てる何かを「ノルマ」という今までの金融機関の常識であり、切っても切り離せないものを敢えてばっさりと切っている。それだけ、新しく始める求めるものの大切さを感じる。

すぐに効果が出ることは期待されていないことが前提であり、その背景には、経営者層の並々ならぬ覚悟が見える。

半信半疑であったり懐疑的な声も確実にあったその中でも、中長期的な目指す姿をつらぬくその姿勢の根源の覚悟が属する一人一人にも多かれ少なかれ伝わって運営されていっている。

それが正解かそうでないかというレベルで本書を読み解くのではなく、ひとつのマネジメントの手法として学ぶことが出来る。それによって何を成し遂げたいのか、誰に貢献したいのかと言う点においては間違いなく、地域であり人である。そのステークホルダー全員から同じだけの評価を得るのも難しく、プロセスを含めた結果が出るまではまだ時間がかかる。

目的は、お客様のため。
同じ共通の目的を持っている自分たちも本書からその素晴らしい取り組みに対しては素直に多くを学び、自分たちは自分たちの信じる道でお互いに切磋琢磨できればと思う。

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2023年11月27日

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