あらすじ
ポルトガルインド総督に使節を派遣した大友氏。アユタヤ国王との接触を図る松浦氏。カンボジアとの「国交」樹立を目論む島津氏。さらには天正遣欧使節や伊達政宗による慶長遣欧使節。あるいは、その本拠地で花開いた国際色豊かな「コスモポリタンシティー」ーー国の「王」として、狭い冊封体制の枠組みを越え、東南アジアから南アジアへ、そしてヨーロッパへと、対外活動を地球を俯瞰する広範囲へと拡大してゆく戦国大名たち。日本史の文脈を越え、世界史のコンテクストの中から見えてくる、戦国大名のこれまでとはまったく異なった新たな姿を提示する。
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Posted by ブクログ
読み応えありました。
『大航海時代』、『信長の野望』、子どもの頃に熱狂したゲームタイトルですが、最新の学問の進展状況を鑑み、2つのタイトルを合併させるべきかもしれませんね。私、買うと思います(w。
分権と集約の波、集約時の原動力には国際性が関与する。これからの日本は、分権のステージでしょうかね?国境が曖昧になり、気軽に容易く飛び越える人材が頻出するのでしょうか?未来へと思考を誘う歴史、いいですね!
Posted by ブクログ
科目が分かれているから日本史と世界史を区別しがちなんだけど、戦国から江戸の大名たちは世界と繋がっていたんです。ヨーロッパで有名人だった豊後王の大友宗麟とか。イエズス会布教のキーマンになったアンジロウのくだりが面白し。
Posted by ブクログ
西日本の戦国大名を中心に、積極的に展開された海外交流の実態を明らかにし、世界史における戦国時代の位置付けを示そうとする内容。分散した外交権が統一政権のもと集約される過程や、近世以降への視点なども興味深い。
Posted by ブクログ
世界史の中で、戦国大名がどのように貿易をして評価されてたかを、主に海外の文献から調べた一冊。
大友宗麟をはじめ、日明貿易や南蛮貿易をしていた戦国大名について知ることができた。
Posted by ブクログ
やっぱり戦国時代は面白い
グローバル化する大航海時代のなかの日本
戦国時代にこれほどのコスモポリタン性が日本にあったからこそ、徳川鎖国によって日本文化は熟成していったのかもしれない
Posted by ブクログ
大友や島津といった九州の戦国大名が、自らの両国を「国家」と認識して、東南アジアや西欧の海外勢力と活発に外交を行ったという、とても刺激的な内容です。
西国大名の勘合貿易への参入と対立、「地域国家」による独自外交、秀吉による強硬外交、家康による協調外交、そして「鎖国」へと、まさに、世界史の中の戦国大名の姿を見て、新鮮な驚きの連続でした。
Posted by ブクログ
世界の国々の目線で見ると、大友宗麟などの九州の大名が主に東南アジアやポルトガルで知られていた。あと、世界史と日本史の垣根を無くす動きがあるのにも驚いた。
グローバルヒストリーというワードが歴史学の間で、トレンドになっている事にも注目したい。
Posted by ブクログ
中盤やや細かいが、大友、大内など地方大名がいかに明や東南アジアといった外国と対等な対外活動を行う存在であったか。
朝貢と倭寇、天下たる中央政権に対する地域国家、またBVNGOが世界から見た日本の一側面であった事実、そしてインドを往復したりアユタヤと交渉するなど広く活躍した商人たち。
視点を変えるための一冊。参考書籍も充実している。
Posted by ブクログ
足利政権による明との勘合貿易の主体が有力守護大名へ移っていく流れ、キリシタン大名の動きと西欧との関係、カンボジアとの善隣外交を行う島津氏などなど、戦国大名の政治的、経済的な諸外国との付き合いや、その時代の各地域の国際性などあまり知らなかったテーマだったので面白く読みました。これらの動きを知ることで、秀吉や家康の外交的な動き、あるいはその後の徳川政権の鎖国へ向かう流れなどをより立体的に考えられるようになったのが読んで良かった点です。流石に最後に幕末や維新への影響を断じ始めたのは勢いが余りすぎてる気がしましたけども。
Posted by ブクログ
国外の文献に戦国大名がどのように描かれているかという記述は少なく感じたが、戦国大名それぞれの独自外交で活発になった外国との交流が統一政権樹立で下火になっていく経緯が勉強になった。
Posted by ブクログ
<目次>
プロローグ 戦国大名は世界史の中でいかなる活動をしていたのか
第1章 「倭寇」となった大名たち~戦国大名と中国
第2章 外交交易対象の転換~対中国から対東南アジアへ
第3章 対ヨーロッパ外交の開始とその影響
第4章 戦国大名領国のコスモポリタン性
第5章 東南アジア貿易豪商の誕生
第6章 日本と世界をつないだ国際人たち
第7章 戦国大名の「世界」と徳川政権の「世界」
エピローグ 「世界史の中の戦国大名」の精神性
<内容>
簡単に言えば、戦国時代は世界にひらかれた日本であった、ということだ。室町時代後半、日明貿易を独占した大内氏、ポルトガルと深く付き合った大友氏、そこにザビエルがやってきて、島津氏や大村氏、有馬氏、松浦氏なども介入した。やがて秀吉の朝鮮侵略は、一面でこうした先行した戦国大名を乗っ取る形で、東南アジアからせかいに目を開いた秀吉が、その精神性に対し、行動が戦国大名の発想だった故に、朝鮮で躓いたともいえる訳だ。江戸時代当初、新たにノヴィスパン(メキシコ)経由のスペインと、家康や伊達政宗がチャレンジしたのも、この流れにつながる。江戸幕府が九州の大名を押さえ込むためには「鎖国」しかなかったのは、残念だったのかも知れない。