あらすじ
念願だった映画の宣伝会社に転職した弥生。そんななか、夫から切り出された「ある提案」を受け入れられず、忙しさにかまけて決意を先延ばしにしていた。だが、その日は確実に迫っていて……(「あなたのママじゃない」)。
優良メーカーに内定が決まった大学生の健生。サークルで知り合った恋人未満の彼女から同棲を仄めかされるが、うやむやにしていた。そんなある日、アパートに帰宅すると、かつて池袋で暮らしていた美空が現れ――(「BE MY BABY」)。
初対面なのに物怖じせず、屈託のない転校生の美月を前に、副担任の杏子の心は騒めいた。懸念されることの一つは、クラスの中心的人物で問題児である莉愛の虐めの標的になることだったが……(「まだあの場所にいる」)。ほか全5話。
閉塞的な現実を背負う人たちの、さまざまな葛藤の中で現れた「気づき」とは。
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Posted by ブクログ
映画会社で働く妻が、コンビニのイートインでパスタを食べる義母を見る『あなたのママじゃない』。ともに第一希望の企業に内定の決まった大学生男女。男の家にかつて一緒に住んでいた女が乗り込んでくる『BE MY BABY』。行き詰っている漫画家が、過去に喧嘩別れしてしまった共同制作者のことを思い返す『デイドリームビリーバー』。ワンオペ育児に根を上げかけている妻が、実家の団地で、幼馴染に振り回される『ビタ―マーブルチョコレート』。副担任が、学期の途中で転校してきた生徒の身を案じる『まだあの場所にいる』。の、五篇。
どれも、あえて書かないことで読者の目を欺き、最後にびっくりさせるという仕掛けがある。ネタバレします。ともに引っ越しをする準備をしている仲のいい夫婦と思わせて、引っ越しは離婚のため夫が出て行くことだったり、元カノと見せかけた女が、若い母親だったり、男同士のパートナーだと思っていたら、片方は女だったり、いじめられていたように見せかけて、いじめた側だったり、かわいいかわいいと褒めていたが、それは「XLサイズだけれど」という但し書きがつくものだったり。叙述トリックというやつ。これは、漫画、ドラマ、映画、などでは出来ない、小説ならではのたくらみだなと、改めて思う。騙された感はある。ただ、ミステリではないので、「ええー、マジか!」という頭の中がひっくり返るような驚きはなかった。