あらすじ
食による脳や身体の成長が、人類の進化にどうかかわってきたのか、また「食」の革命が人類と世界をどう変えたかを明らかにする。 ●約400万年~約200万年前 アウストラロピテクス 脳容積は現生人類の35% ●約240万年~約140万年前 ホモ・ハビルス 狩りをして肉を食す。脳が劇的進化 ●約150万年 アフリカに出現 ホモ・エレクトス 石器の使用などを始める 食への欲求を司るブロードマン10野が発達した集団が自然淘汰の戦いに打ち勝つ 脳内のブロードマン10野が発達したヒトは、あらゆる動物のなかで、もっとも食べ物を美味しく食べられるように進化してきた。そして雑草、酵母を栽培化して、イネ、ムギ、パン、酒をつくり出してきた。作物の不作による西ローマ帝国の滅亡から大航海時代を支えた保存食、じゃがいも飢饉らによるバイデン政権の誕生など、食が動かした人類史を明らかにする。 ●人類の脳は肉食で大きくなった ●ヒトは雑草を進化させて食料を生み出した ●塩が古代文明を支えた ●古代ローマ人が愛した調味料ガルム ●イスラムが生み出した蒸留酒の世界 ●最初は危険と思われたトマト ●食の工業化が人口爆発を引き起こした
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Posted by ブクログ
かつて授業で聞いてボンヤリと覚えていた世界史知識の点と点が、「食」を通じて綺麗に線で繋がれてゆく爽快感が楽しかった。世界史を習っていた人は同じ快感を味わえると思うし、人間の好む食のメカニズムを科学の視点から解いているのも興味深い。誰かに話したくなる「へえ〜」ポイントがたくさん。
人類発展の歴史はグルメを追い求めるそれと共通していると同時に、争いの歴史でもあった。食に限らず、科学や技術が発展するタイミングには必ず戦争が伴っていると言っても過言ではない。皮肉なことだけれども。
印象に残ったこと(ネタバレを含む⚠️)
・人類が生まれた経緯と食の嗜好は切っても切り離せない。古代から脈々と受け継がれる食の歴史を知ることができる。本能的に美味いものは美味いと感じるように体って出来てる。
・イスラムの影響すごい。この間スペイン行った時にも感じたけど。
・蒸留酒は錬金術が生んだ副産物。
・ハインツは瓶詰め缶詰め技術で知れ渡って未だに世界一売れてるってすごい。
・授業ではおざなりになりがちな時代のボストン茶会事件、ジャガイモ飢饉なども、当時の人々の食生活や光景をありありと思い浮かべながら追体験できる。
・イモは世界を救う。
・読んでると知的好奇心は満たされるがお腹は空く。
Posted by ブクログ
歴史が苦手な私にとって、食を軸に解説される歴史はとても興味深く、読み進められた。
人類の進化、移動、文化、宗教、歴史の繋がりをなめらかに理解できた。必要な情報だけが十分量ぴったりに盛り込まれていて飽きない。
食だけでなく、視野が広がる本だった!
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 人類の進化と食~私たちは生まれながらにしてグルメである
第2章 先史時代の食~食糧不足が農耕と牧畜を誕生させた
第3章 古代の食~食が集まるところに文明が生まれた
第4章 中世の食~食の貧しさがイスラム国家を誕生させた
第5章 近世の食~新大陸の食が世界を変えた
第6章 近代の食~食の工業化が人口爆発を引き起こした
第7章 現代の食と未来の食~フードテックとともに
<内容>
世界史にしっかりと準拠しながら、新しい知見も取り入れた力作。コショウが肉を腐らせないから、これを必要とした欧州の人がイスラム国家を避けて東南アジアへ向かったのはウソとのこと。