【感想・ネタバレ】未完の肖像のレビュー

あらすじ

愛に破れた女は幸せに背を向けて生きるすべをおぼえるのか??何不自由なく育ったシーリアは、結婚に破れ、絶望の淵に沈み込んだ。幼い娘を抱えて生きなければならなくなった彼女は、なにゆえ愛を避け、ひとりで歩もうとするのか? 女の愛の哀しさを絶妙に描く、クリスティーの「愛の小説」。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

シーリアという女性の半生が描かれている。
優しい両親や、前時代的だがよき理解者である祖母に愛され、シーリアは満ち足りた幼少期を送る。父の死で一家は傾くものの、美しく成長したシーリアには数多の男たちが言い寄ってくる。そんな中でシーリアは、のんびりして包容力のあるピーターの求婚を受ける。シーリアには慎重に結婚相手を決めてほしいピーターは、外地勤務の終わる2年後まで結婚を待つように言って旅立つが、その間にダーモットが現れる。結局シーリアは、ピーターとの婚約を破棄してダーモットを選ぶことに。
優しくて魅力的なダーモットとの間に娘も生まれ、シーリアは幸せだった。だが、幸福に思われた結婚生活にも次第に翳りが見え始める。シーリアの中に積み重なっていくダーモットへの小さな不満が、現代的な感覚から見ても非常にリアル。また、娘のジュディーとの不和も胸を締め付ける。このあたりは『春にして君を離れ』にも見られるクリスティの母娘観に通ずるものがある。
どんな時でも味方でいてくれた母ミリアムの死を契機にシーリアの人生は瞬く間に暗転し、ついに破局を迎える。
1年を「長過ぎる」と言って待つことができないダーモットが、選ばなかったピーターとの対比になっている。
選ばなかった後悔や人生の悲哀、虚しさが凝縮されており、シーリアの、繊細で優しいが故の苦しさが読者にダイレクトに伝わるところもこの作品の大きな特徴である。
愛さえあれば、という幻想を真正面から打ち砕く冷徹さ。500ページを超える長編なので、時間をかけてゆっくり読み進めることでより一層シーリアの人生を垣間見ている感覚を味わえる。ダーモットがシーリアに言った「いつまでも美しくいてほしい」という呪いの言葉にゾッとした。

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2024年06月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

メアリ・ウェストマコット名で書かれた小説は、どれも面白い。
アガサクリスティの本を数十冊読んだ後で、同じ作者だということを知っていて読んでいるからかもしれない。
特に、アガサクリスティの自叙伝を読み、アガサクリスティの一生を知ってから、メアリウェストマコット作の作品を読むと、どれもアガサクリスティが登場しているように読める。

マープルものの「ミスマープル」、ポアロものの「アリアドニ・オリヴァ」、トミー&タペンスの「タペンス」など、アガサクリスティの分身は多い。
アガサクリスティの分身を見つけることが、アガサクリスティの作品の楽しみ方の一つになっているかもしれない。

アメリカ出身の親、イギリスでの生活、
結婚、出産、失踪、離婚、再婚、中東への発掘調査への随行など、
アガサクリスティの作品には、自分の経験が十分に反映されているように思う。

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2011年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『右岸』を思い出した、というよりあちらがもう一つの『未完の肖像』と言うべきか。
クリスティーの愛がテーマの作品はどれもこれもずっしり来ますね。

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2017年01月04日

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