あらすじ
顔も知らない婚約者、アンソニー・チャンドラー卿との結婚が間近になり、貴族の娘クロエは憂鬱だった。2年前の舞踏会で1度踊っただけの相手と、義父の言うなりに結婚だなんて…。なんとか逃れたいクロエは、偽装誘拐を思いつく。兄の協力のもと、しばらく家出をするのだ。事件が噂になれば、やがて向こうから縁談を断ってくるはずだった。ところが兄が手配した犯人役の男が、思いもよらぬ悪漢だった!「まさか、私は本当に誘拐されてしまったの!?」
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婚約者が可哀想すぎる(笑)
ハーレクイーンでこんなに男性を可哀想というかみじめと思ったことはないくらいヒーローの立場が悲惨だった。ヒロインのクロエは、父の決めた相手との結婚式をまじかに控えて、この結婚を阻止すべく兄の協力の下、自作誘拐を思いつく。そうすれば、自分の評判が下がり、相手が結婚を取り下げるだろうと考えたから。他方、2年間の婚約期間中、婚約者のアンソニー卿は戦場に赴き祖国のために戦い、危険な目に会うたびにクロエを思い出して奮起していた。自分の顔を全く覚えておらず、結婚の承諾をしたことさえ記憶が怪しいヒロインの心を動かすべく奮闘するヒーローはひたすら不憫だったけれど、プライドがずたずたなはずなのに、それ以上に好きな子を失いたくないという強い気持ちでヒロインの気持ちを動かしていく流れが良かったです。さすが佐柄先生。クロエが結婚を毛嫌いするには十分に理由があり、結婚を嫌がったのはヒーローに問題があったわけじゃなくてよかった。
Posted by ブクログ
兄に紹介され、たった一度ダンスした顔も覚えていない婚約者が戦地から戻り結婚させられそうなクロエ。
義父の鞭打ちや支配から結婚に夢が持てないクロエは、自分の評判を落とし結婚を断られるために自分の偽装誘拐を企てた。
兄に協力を依頼された偽装誘拐犯は、実は婚約者のアンソニーだった。
そうとは知らず、一緒に過ごす中でクロエは平民の猟番のラッシュと思いながらも惹かれていく。アンソニーは猟番ではなく自分こそが婚約者と何度も名乗ろうとするが、言えないままに…
アンソニーの自分であって自分ではないラッシュに好意を寄せるクロエに対しての想いが滲む箇所やライラックの花が出てくる所が好きです。