【感想・ネタバレ】夜間旅行者のレビュー

あらすじ

被災地を巡るダークツアーを担当するヨナは、自社企画の査定を命じられベトナムへ向かう。企画は新味に欠け、ヨナは会社に打ち切りを提案しようとするが、たまたまひき逃げ事件を目撃したことで謎の一味に新たなダークツアーを「捏造」するよう脅迫され……。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ダガー賞読書会のために読んだ本その2。
韓国ミステリ小説は初めて読みました。ミステリというより、サスペンスやスリラーかな。

裏表紙のあらすじでかなりネタバレされているとはいえ、ハラハラしました。
旅行先で、災害ツアーを保つために、人為的な災害を引き起こそうとする企みに巻き込まれてしまう。
旅行企画会社の社員でも、「ワニ75」を与えられてしまう…「自分は読者じゃなく、読まれている側」だと思い知ってしまうのはかなり怖いです。

一人一人にはドラマがあっても、大きな災害となると個人は見えなくなってしまう。
番号で描かれていく終盤の災害描写、あまり読んだことがない形式で、ほんとに台本みたいでした。こんな作品だとは…


旅行前に読んでしまったのを後悔しましたが、こちらも引き込まれて引きずった読書でした。

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2025年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ユン・ゴウンの初訳作品。ポケミスで一段の縦書き、そこまでの厚さはなく中編程度の長さ。

地震や津波などの被災地を訪れるツアー会社に勤めるヨナは、いつからか雑用しかもらえず、上司からも酷いセクハラを受けるようになる。自分のキャリアは終わったのだと薄々気づき、退職願を出すが、一週間のリフレッシュ休暇を命ぜられ。。。

ミステリというよりはサスペンス、もしくは人怖系のホラー。サクッと読め、更にはちょうどいい怖さで満足。あえていうなら、そこそこ値段が高いので、少しコスパが悪いか。
実際自分の身に起こると、誰しもパニックになるだろうなぁと。そういう意味では、終盤より中盤に降りかかることの方が怖い。

あと、裏表紙のあらすじが結構な中盤まで説明しているので(全体の3分の2ほど説明している笑)、なるべく読まない方が良いです。

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2024年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

韓国発、ダークツーリズムにスポットライトを当てた中編小説。

災害地を訪れるツアープログラマーのコ・ヨナ。
弱肉強食、栄枯盛衰の職場でそれなりの地位を得ていたものの、いつの間にか落ち目の扱いを受ける日々に浴していることに気付く。
嫌気が昂じて退職願いを出すも、表向きは出張扱い半ば慰労休暇の、廃止候補ツアーに自ら参加し商品としての存続可否のジャッジを下す任を受け入れ、その決断を先延ばしにする。
訪れた先で直面する観光地の虚構と欺瞞にまみれながらの生存戦略。
いつしか災害の捏造に加担することに。。

ミステリと謳われてはいるものの、謎という謎が現れるわけではなく、打ちひしがれたヨナの心情を抱えながら、その命運を辿るサスペンスのような、むしろ純文学のような趣きさえある。
にわかに現実感のない展開や、終盤のふわふわとした意識の流れと事実が混濁した描きぶりの地に足の着かなさはディストピア小説のようでもあり、少なくともミステリとは思えない何とも言えない読み心地だった。

2021年、CWA(英国推理作家協会)トランスレーションダガー賞受賞作。
著者あとがきに記された年(本国での発行年?)は2013年。

ゴールドダガーとかシルバーダガーはよく耳にするけれど、トランスレーションダガーは初耳だったのでちょっとググってみたら2019年には『新参者』が、2022年には『マリアビートル』がノミネートされていた!!
また、過去の受賞作を見るとピエール・ルメートルだったり、ヘニング・マンケルだったりがあり、こちらから見ると海外小説としていっしょくたになってしまうものが、英語圏からは翻訳小説として扱われていることに、当たり前といえば当たり前なのだが、新鮮な感覚を得た。

なお、アジア圏でのトランスレーションダガー賞受賞は本作が初とのこと。
日本勢も惜しかったねー。

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2024年04月13日

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