【感想・ネタバレ】タイパの経済学のレビュー

あらすじ

Z世代を中心に、コスパならぬ「タイパ」(時間対効果)の追求が当たり前となった。時短とは異なり、「限られた時間でより多く」「手間をかけずに観た(経験した)状態になりたい」という欲求が特徴で、モノやコンテンツをコミュニケーションの“きっかけ”“手段”ととらえているという。背景にはサブスクの普及、動画のショート化などの環境変化と、「時間を無駄にしたくない」「いますぐ詳しく(=オタクに)なりたい」といった意識の変化がある。もはや純粋に消費を楽しむことはできないのか? 一見不合理なタイパ追求の現実を、気鋭の研究者がタイパよく論じる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

【本を読もうと思った理由】
文化系トークラジオLifeで聞いた。「ファスト教養」を読んで、タイパに関して他の角度からも読んでみたいと思ったため。

【本の感想】
本書の冒頭にもあった通り、肌で感じていることを言語化する手伝いをしてくれる本だった。タイパを、「手間を掛けずに〇〇の状態になる」ことであるという定義したのはとても腑に落ちた。ファスト教養と比べると、タイパを批判するだけではない点が特徴的だった。生存に不可欠でない消費を、タイパを追求する消費と、そうでない消費(モーメント消費)に明示的に分類し、モーメント消費にコストを割くためにタイパを追求するならいいんじゃない?というのが本書の論旨だった。過程が冗長に感じるほど、結論はシンプルかつ普遍的な内容だったように思う(これもタイパ追求してるのか…?)。冗長に感じたのは、なぜ働いていると本を読めなくなるのか、ファスト教養を読んだあとだったからかもしれないが。
私はファストにコンテンツを消費するのが苦手だと思う。ながら見はできないし、MCUにハマって、エンドゲーム公開までの1ヶ月間に全作品をちゃんと視聴したタイプの人間だ。「今期のアニメは〇本追ってて、録画を消化する」という言い方は、私が学生時代の2010年前後から理解不能だった。一方で、自分は必ずしも根気があるわけではないので、真面目にコンテンツを追っている途中で、挫折することもしばしばある。
自分のコンテンツ消費の好みを考えた時に、「ナラティブ」は1つのキーワードであると感じる。Jリーグはその最たるものだ。過去の試合の経緯や因縁、選手の努力を知れば知るほど、感情移入して観戦に熱が入るのだ。必ずしもサッカーの試合を純粋に楽しんでいるのではなく、そこに至るストーリーを込みで、カタルシス(エモさ)を感じている。そのため、ハイレベルな海外サッカーよりも、選手やチームとの距離が近いJリーグを推しているのだ。前述のMCUにしろ、ノブロックTVのDRAW MEにしても、エヴァにしても、特撮にしても、自分の好きなコンテンツの一部には間違いなくその傾向がある。
本書に寄せて考えた時に、ナラティブ的なコンテンツ消費と、タイパの相性はどうなのだろうか。MCUを例に考えるのが分かりやすいと思う。
アベンジャーズなどの集合作品は、より多くの作品を網羅したほうが、カタルシスが大きくなるように設計されているし、ファン側も「ここまでついてきたご褒美」と好意的に受け止められていた。だが、ファンが好意的だったのは、映画館上映が主たる視聴手段だった間(=インフィニティサーガ)までだ。一般的には、フェーズ4以降、ドラマ配信により作品数が増加し、クオリティの低下と新規参入の難しさからファン離れが起きたと言われるが、この現象は、本書で説明されていたタイパの文脈からも説明できる。コロナ禍も重なり、ドラマも映画も主たる視聴手段がサブスク化したことで、視聴者側が視聴作品や視聴環境を選択することができるようになり、結果、タイパの追求が可能になってしまったことも、原因の1つと考えられる。「〇〇を楽しめる状態」になるためには最低限AとBとCを観ておけば大丈夫!的な言い方は特に顕著であり、ドラマシリーズを流し見して展開が分からなくなる…、なども実際自分が身をもって体験している。その結果、作品同士のつながりによるエモさが大きな価値だったMCUとしては、単体作品のクオリティ低下以上のダメージを受けてしまったと考えられる。
 以上のことから、カタルシスを味わいたいからといって、その過程でタイパを追求し、おいしいところだけを味わおうと思っても、なかなかうまくいかないのだろうと思う。本書は結びに、『読者の皆さんにとって何が大事なモノで、何が「じゃないモノ」なのか、自身を振り返るきっかけとなれば幸い だ。』と書かれていた。私にとっての大事なモノは、ある種ナラティブ的な性質(作り手が意図しなくても自身がそう捉えることができるものも含まれる)を持つのだと思う。その点において、タイパを求めて面白さを損なうくらいなら、挫折してしまったらそれまでだと割り切って、これからもまじめにコツコツ頭から作品を楽しもうと思う。

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2026年06月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

若者らしいって言ったら失礼だけど、そんな文体でわかりやすく書かれていたと思う。精神的に自分のための消費はゆっくり噛み締めて、他のものは時間を捻出するためにダイパコスパを求めていきたい。

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2025年05月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイパの定義を、手間をかけずに○○の状態になる、としている。どっちかというと、時間をかけずに○○の状態になる、だと思っていたのでその点は慧眼。合理性の追求ではないことの指摘も激しく同意する。タイパ市場を総括したレポート、読んでみたい。
うーん。タイパとそりの合わない暮らしをしているかも。

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2023年11月16日

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