あらすじ
あなたの幸を希う以外に何物もない――。鹿児島県知覧の特攻隊基地から飛び立った穴沢利夫少尉。二十三歳で散った法学徒が婚約者・智恵子へ宛てた便りには愛する者への一途な思いと純粋な真情が綴られていた。戦後六十年以上を経て、婚約者が語り尽くした、あの時代の現実とある愛のかたちとは。全面改稿を施したロングセラーの新版。
【目次】
まえがき
第一章 出会い 図書館から戦場へ
第二章 覚 悟 マフラーになりたい
第三章 婚 約 たった一晩の子守唄
第四章 特 攻 あなたをたどる旅
生きる時代は選べない――新潮文庫版あとがき
新版あとがき
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Posted by ブクログ
戦争はほんとうに誰も幸せになれない。
どうして離れ離れにならなければならないのか。
涙なしでは見れません。
この本を読んで知覧に行こうと思いました。
日本のために戦っていた彼らを忘れてはいけないな。
Posted by ブクログ
愛する人の写真を胸ポケットに入れ、どんな思いでその瞬間まで操縦桿を握っていたのか。考えると胸が苦しくて仕方ありません。知覧特攻平和会館で拝借した穴沢さんのご遺書も、この本に登場する過去の手紙のやりとりを理解した上で見ると全く違ったものに見えました。また早いうちに知覧に行きたい。
Posted by ブクログ
戦後80年の今年、あらためてこの本に向き合いたいと思いました。
小学6年生の頃に訪れた知覧特攻平和会館。あの時、特攻隊という部隊の存在を知り、衝撃を受けたのを今も覚えています。
当時は「自分よりずっと年上のお兄さんたち」が命を懸けたのだと思っていました。
でも今になって読み返すと、むしろ自分よりも年下の年齢で、一番これからという時期にすべてを犠牲にしていたことに気づきます。
恋をしたり、結婚を夢見たり、本来なら未来に希望を描く年代。
それなのに「国のため」と信じて旅立っていった姿は、覚悟と誇りに満ちていて胸を打たれると同時に、国の在り方がどれほど残酷で間違っていたのかを思わされます。
今の私よりもずっと若いのに、自分を奮い立たせて覚悟を決めた姿は、言葉にならないほどに切なく、尊い。
穴澤さんと智恵子さんが、天国で再びめぐり逢い、幸せでありますように。
Posted by ブクログ
手紙の中の日本語が美しすぎる。とても同年代の人が書いたとは思えない。
自由に選択ができ、物量が飽和になった今、自分たちはどう生きるか考えさせられる。
Posted by ブクログ
11月18日から19日の日程で、子供の頃から是非とも行ってみたかった鹿児島県知覧に妻と行ってきた。目的は、知覧平和特効記念館。どうしても、神風特攻隊が飛び立って行った知覧をこの目で直に見てみたかったからだ。
そこで、この本を買ってきた。話は、特攻隊員と相思相愛の恋人の若い2人の恋と、その悲劇的な結末。しかし書かれていることは、全て紛れもない事実であり、感動を期待して作られた創作ドラマ等ではない。
彼等の出会いは、今の若い男女のそれと幾分も変わらない。純粋で実直で実に気高く、されど壊れやすく傷つきやすい。実際、私も自分と妻の付き合い始めた頃とこの本の2人を重ねて読むことが少なくなかった。
違うことと言えば、彼等は非常に教養があり、高い志と国を思う強い気持ちを持っている。たがらこそ、余計に切ない。
どのように考えても、彼等こそが生き残って幸福になるべき存在ではなかったかと、誰もが考えるのではなかろうか。
言葉が見つからないというのが、今の正直な気持ちである。
言いたいことはたくさんあるのだが、書けば非常に安っぽく極めて使い古された言葉になってしまう。
戦争が悪いとか、命を大切にとか。そういう言葉では全く語ることが出来ない事実がそこにあり、そして何とも表現出ない今の自分の感情がある。正直、そんな作品である。
ちなみに、この本の作者は私と妻の大学の後輩らしい。
これも何ともはや、計り知れない何かの縁である。
Posted by ブクログ
知り合いに勧められ手にした一冊。
2人が育む純粋な愛に心打たれた。
もし智恵子さん、利夫さんが戦争のない時代に生まれ、出会っていたらと考えてしまう。
利夫さんの為と思いを馳せ行動する智恵子さんの純粋な愛に、智恵子さんを想い続けながらもふさわしい行動をと葛藤を抱えながら、溢れそうな思いを堪えながら役目を全うする利夫さんのどこまでも誠実な心に、胸打たれた。
マフラーを通じたプロポーズがとても素敵で、心惹かれた。
利夫さんが智恵子さんに送った遺書に書かれた言葉にも心を打たれる。
死が目の前に迫っているにも関わらず、欲に飲まれることなくただ純粋に智恵子さんへの感謝や愛を伝えようとする利夫さんのその誠実さが心に残っている。
健気な2人であった、と書かれていたが本当にそのように思う。
2人が再会し、それぞれの望みが叶っていることを願う。
Posted by ブクログ
美しいな。。
2人の心が美しい。。。
その分叶わなかったのが悔しいし切ない。
あと半年早く日本が降参していたら、一体何万人の命が助かったのか。。
どれだけ悔いても過去は変えられないので、命懸けで日本の為に戦った人達に恥じない生き方をしたいなと心から思います。
生きる時代は選べない。
自分がこの時代に青春を過ごしていたら、毎日何を考えていたのだろうか。
2人の手紙での文章の表現力には驚かされました。。これ同世代!!?って。笑
インターネットがなかった時代だからこそですかね。。
智恵子さんは2013年に90歳で亡くなられたとのこと。
2人が天国で再会して、笑いあっている姿が浮かびます。