あらすじ
反転、反転、また反転――! 本気の「仕掛け」を堪能せよ! 『珈琲店タレーランの事件簿』の著者がおくる、2023年大本命ミステリー。 ●STORY 大御所ミステリー作家・室見響子の遺稿が見つかった。それは彼女が小説家になる前に書いた『鏡の国』という私小説を、死の直前に手直ししたものだった。「室見響子、最後の本」として出版の準備が進んでいたところ、担当編集者が著作権継承者である響子の姪を訪ね、突然こう告げる。「『鏡の国』には、削除されたエピソードがあると思います」――。削除されたパートは実在するのか、だとしたらなぜ響子はそのシーンを「削除」したのか、そもそも彼女は何のためにこの原稿を書いたのか……その答えが明かされた時、驚愕の真実が浮かび上がる。
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Posted by ブクログ
読んでから数日ってこの感想を書いているが、いまだに時々この本良かったなあと噛み締めるほどに、自分には素晴らしい作品でした。
この本のタイトルのもある「鏡」がモチーフになっているが、小説の中での鏡の使い方が本当にすごい。
ここでそうやって使うのか!と衝撃を受けるシーンもたくさんありました。
現代のシーンはいるか?と言われていることもあるようですが、自分にはこの小説の中に2つの物語があり、一度読むだけで二度美味しいみたいな本でした。
削除されたエピソードを載せるべきなのか。
そんなことよりも削除されたエピソードがあった事で救われた気持ちになった気がします。小説だが、素晴らしい手記を読ませてもらった気分でした。
Posted by ブクログ
顔にまつわる認識障害を持った3人の若者と、主人公の同僚の男性。不可思議な縁で集まった4人が、主人公たちの幼い頃に起きた放火事件を追っていくうちに、事態が予想しない方向に突き進んでいくミステリ。それを亡き高名なミステリ作家の遺作として読んでいき、さらにその中に秘められた謎にも挑んでいくという、二重構造の作品。やや長い部分もあったものの、全体的には読みやすくて良かった。あれだけの内容を綺麗にまとめられたのは凄いと思った。
Posted by ブクログ
読み応え抜群の骨太ミステリー。「装丁まで伏線」と書かれていたので、まず眺めてから読み始め、途中でなるほどな〜〜〜と大きく頷いた。他にも伏線がたくさんで、うわ!っと何度ページを捲り返したことか。めちゃくちゃ楽しめる、忙しい読書だった。
『鏡の国』は、なんと主人公の叔母が書いた小説のタイトル。
主人公は2063年を生きており、『鏡の国』が書かれたのは2023年。
大作家の叔母はデビュー前に書いたこの作品を遺作とし、亡くなってしまう。
読者は主人公とともに『鏡の国』を読むことになるのだが、原稿を持ってきた編集者曰く「小説とは言っているが、ほぼノンフィクション」「削除されたエピソードがある」らしい。
削除されたパートは実在するのか、だとしたらなぜ叔母はそのシーンを「削除」したのか、そもそも彼女は何のためにこの原稿を書いたのか……。
叔母の過去と、その答えが明かされた時、驚愕の真実が浮かび上がる。
これが大枠。
実際はほぼ叔母の小説『鏡の国』を読むことになるんだけど、これ自体がめちゃくちゃ面白くてハラハラする。なんならメインと言っていい。メインを読んだ後に、デザートとして「削除されたエピソードがある」話が付随している、くらいの感じ。デザートと言ってもハーゲンダッツくらい、嬉しいもの。
『鏡の国』は、響(ひびき)、郷音(さとね)、伊織、久我原の男女4人の物語。響は、かつてアイドルをしていたがあまりにも自分の前髪が気になって仕方がない。最終的に人前に出られなくなりアイドルを辞めてライターに転職する。それでも前髪が気になり仕事に遅刻を繰り返す。ある日、病院にいたっところ「身体醜形障害」だと告げられる。見た目に関する悩みが日常に支障を与えてしまっている病気で、実際にこれで苦しんでいる人は多いらしい。
そして主人公の幼馴染、郷音は顔に火傷の跡があり、その傷をつけてしまったのは響だった。
あとの二人も魅力的な登場人物で、思惑の絡みあった上質なミステリー。
なんだけど、なんだけど、なんだけど!
「前髪、伸ばせばええやん」と単純に思ってしまった。
前髪上げるか、伸ばせば気にならんやろ。伸ばせよ。だから、伸ばしてロングにしろ!
と思いながら読んだ。
という話を、女友達に聞いてもらった。「そうツッコむんて、野暮かな?」と。
曰く「似合う似合わないがある」「顔が大きく見えるからコンプレックスに繋がってる人いる」「やりたい髪型ができないのはストレス」と言われる。
全く自分にない視点だったので目から鱗。勉強になった。
Posted by ブクログ
なん、、、ええ、、、これ、、、えぐいて。
ミストリーの構造は最高だし、人間的な、人情的な部分、友情とか、そういう人同士のストーリーもすごく深いし、身体醜形障害とか、相貌失認症とか、そういった現代で蔓延してる、問題がネックになってるところもすごく、よかった、深みが出てて。
んでこれが、ストーリーなんじゃなくて、物語の中心ってとこも、すごく、すごい。
まじでなんだこれ。
タイトルに「鏡の国」ってつけるため、っていうのにすごく共感。
削除されたエピソード良すぎる。どうするんだろう。
作中で、響が、自分の病気とか、犯人のこととか、社会のせいてきな感じで思っちゃってるのはちょっとだけ、違うよーって言いたかった。でもそれが、削除されたエピソードで書かれてる感があるから、よかった、かな。
えええ、これ、すごい、、、やばい、買いたくなる。。。
Posted by ブクログ
めちゃめちゃ面白かった! 作中作が現代、時間軸が50年後の枠物語なのだけれど、とにかく仕掛けが多くて楽しい。タイトルも表紙も何度も見返しちゃった。
Posted by ブクログ
個人的にとても好みの作品でした。
基本的には、叔母の遺作とその作品のモチーフと
なった出来事を元にお話が展開していくのですが、
最後の最後まで響と朔音の関係性と正体に気づく
ことができませんでした。
ルッキズムとミステリーを上手く融合されており、
もう一度読み返したらまた違う感想を抱きそう。
アニメ化とか映画化とかしてほしいけど、
難しいかな〜〜〜〜〜。
Posted by ブクログ
おもしろかった。途中で退屈することなく読み切った。身体醜形障害や相貌失認について深く知れたし、自分が知らない病気で苦しんでいる人たちもいて、その人たちの気持ちや生活を想像して寄り添わなければならないと知った。ねをはすでこの本を手にとってよかったと思った。まず、郷音のわがままさや、自分勝手さ、自分のことしか考えてないところがとても気になった。そういう性格として描かれてるけど、響がなぜそこまで郷音にかまうのか、共感できなかった。(もちろん過去に自分がしたことの負い目もあるだろうが。)ていうかまず、響はキャンドルを持って行っただけで、それに火をつけたのは郷音だし、鏡を取りに戻ったのも郷音だから響は全く悪くないやん、と思った。郷音も響が私の夢を奪ったとか言ってるけど、他責思考がすぎる気がした。作中作が終わった時に残った疑問、伏線が全て回収されて気持ちが良かった。逆に言えば、郷音が顔の近くに火が来るのが苦手なのにタバコを吸っていたという疑問がそのままにされていたことから、削除されたエピソードは郷音のレーザー治療に関することなんやろなと思っていたのが的中して嬉しかった。また、郷音がお姉ちゃんにitoで高い点数をつけていたことなど、最後まで疑問が回収されていてよかった。郷音の人格について(お姉ちゃんと本当は親しくしたかった)などは、納得できないこともあったが、伏線もうまく回収されており、よくまとまっていて読みやすく、ボリューミーながら無駄な部分がない面白い作品になっていた。作中作を全て読み終わった後の、勅使河原さんの解説シーンは読んでいて
精神科の先生の、「いつかは失われるもの、いつかは失われるとわかっているものに、決して自分のいちばんの価値を置いてはいけないのです」と言う言葉はその通りだと思った。
Posted by ブクログ
「反転」が話題だったので、楽しみに読んだ。
反転の仕掛けに、途中で頭がごちゃってなったが、たしかに、ラストは視点が変わった。
読み応えはあって満足。
Posted by ブクログ
これは素晴らしく当たり!!って本だった!
舞台は今生きる私たちが老人になったくらいの2063年。ミステリ作家の叔母の遺作、若い頃のほぼノンフィクション小説に残された謎を読み解いていくミステリ。
幼なじみの関係性や、配信・炎上・ルッキズムなどめちゃくちゃ面白かった!!
Posted by ブクログ
"表紙も伏線"そう読んでいたから、久我原の正体や響の正体など何となく予想できてしまった。
なので、あまり驚かなかったが、読み応えはあって面白かった。
Posted by ブクログ
装丁すら伏線
その情報だけで読み解けない
面白かったの一言
人気ミステリ小説家の最後の作品(ほぼノンフィクションの2023年のミステリ実体験)をその姪が2063年に真相に迫る
醜形障害と相貌失認を少し理解できたし
小説の中のミステリ小説と伏線の回収、構成には唸る
読んでよかったし
しばらくしてまた読み直したい作品
おすすめ
Posted by ブクログ
こういう形式の本を初めて読んだ。
小説を読ませつつ、読んでいる人を描く。。。なかなかに斬新だったし、内容も面白かった。最後の章は入れない方が小説としては私も良いと思う。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて読んでみたが、めちゃくちゃ面白かった。
現代社会への問題提起しつつの、まさかのどんでん返し。
タイトルに4つの意味が込められているとは……
作者天才すぎる。もっと人気になってもいいと思う。
世界でいちばん透き通った物語2、迷路館の殺人などを思い出した。
Posted by ブクログ
削除されたエピソードがあるとのことで、疑いながら「鏡の国」を読んだから、なんとなく謎解きは分かった。(いつもミステリーは疑いなく読んでしまうから、分かったことはないのに)
鏡の国だけでも普通にミステリーとして面白いのに、そこにエピローグプロローグを足してくる。
Posted by ブクログ
今っぽいミステリの結末だなとは思いました けど幸秀が醜形恐怖症で〜っての、なかなか女みたいで笑っちゃった そういう男性が一定数いることはもちろん理解しているけど男性の容姿が著しく劣ってる日本という国でそこまで思えることは素晴らしいね…実際ホストとかやらないと男でそんなふうにはならない気がしますけどね
Posted by ブクログ
物語の中の物語
なかなかユニークな試み
一緒に読んでいるような気持ちになって
面白かった
女の子特有の妬みとか嫉妬の類は
あんまり読みたくない
でも それだけじゃなかった
ミステリ要素が含まれてきて
読むペースが上がった
認識出来ていなかった
苦しみの元
気づかないだけで
同じような苦しみの中にいる人が…
意外と近くにいるのかもしれない
他人には分からない痛み
ジョークに イジりに 出来ないことが…
植え付けられた固定観念にしばられていては
見えない事が…
鏡の国。確かになぁ。。。と
読みながら考えた
少し物足りない気もしたけれど
これはこれで良いのかもしれない
メインは物語の中の物語だから
そして私がとても好きだったのが
この単行本の手触りだ!
紙質が。。。凄く好み
1ページ1ページ
ずっとめくっていたい。。。
何なら頬ずりしたい…
と思わせるほどだった 笑
Posted by ブクログ
新しい形の展開で面白かった
まさか、登場人物も鏡で見ないといけないとは…
誰かに聞いた誰かではなく
自分で見た誰かを見られるようにしたいと思う
Posted by ブクログ
2025.9 クセがあるけれど、それなりに青春群像で、楽しんで読むことができました。ただこれだけ精神の同じような病を抱えている人が重なっているのはいくら小説と言えどもやりすぎかな。
Posted by ブクログ
装丁がとても好みで、帯の文言が気になって即購入。
大半を占める作中作が確かにおもしろく読む手が止まらない。…とは言え、反転に対し驚きはするが帯ほどではなかったのかも。
勝手にダークな感じをイメージしていたけど割といい感じに終わったし。映像化するとおもしろいのかも。
Posted by ブクログ
亡くなった推理小説家の遺作には削除されたエピソードがある。相続した姪は遺作を読み削除された部分について考える…
現代的ルッキズムを主テーマに置きつつ、登場人物達の精神的疾患など重そうな要素を読みやすく纏めてはあるが、反転部分がちょっと肩透かしなのが残念かなと思った。
Posted by ブクログ
私たちが容姿を気にするのは、世界が美しさを静かに強要するからだ。
それが当たり前になって疑問に思わなかったけれど、それはとても恐ろしいことだと思い知った。
Posted by ブクログ
★3.4
「鏡の中に映るのは、真実か、虚構か。」
これは、物語をめぐる、物語。
繰り返される“反転”の仕掛けに翻弄され、“見た目”と“本当の自分”に揺らぎながら、引きづり込まれていく。
なぜ物語はこのように構成されたのか?
なぜ“その章”が削除されたのか?
次第に「読まれる物語」と「読んでいる物語」さえ、じわじわと反転してゆく──。
メタ視点も重なり、もれなく、自分自身も鏡の迷宮に入り込んでしまうようだった。
「削除された一章があるかもしれない」
大御所作家・室見響子の遺稿を、その姪と編集者は、“削除”の痕跡に潜む違和感に迫りながら読み解いていく。
この作中小説に描かれるのは、見た目に強いコンプレックスを抱える高校生たちの群像劇だ。
若者たちの繊細な心理描写は、身体醜形障害やルッキズムへの誠実なまなざしでもある。
「反転、反転、また反転!」
そのキャッチの通り、平衡感覚をぐらつかせながら、散りばめられた伏線を丁寧に追っていくことになる。
ただ、作中の編集者が、推理に付き添ってくれるので、見逃しがちな伏線にも気づけるだろう。
(親切すぎて冗長に感じるかもしれないが。)
ミステリ好きには「伏線と反転の快感」、社会派読者には「見た目への問い」、そして物語としては「人間理解の余韻」を残しつつ、多層的に楽しめる一冊だ。
ただし、ミステリーという枠組みで読むと、意外性のある展開や強いサスペンスは控えめ。むしろ、終始“静かな推理”が続く印象だ。大きなカタルシスやドラマを期待するなら、やや物足りなさを感じる。
見えていると思った本質も、実のところ、鏡写しなのかもしれない。
"いつかは失われる"美しさ。
だからこそ、ニキビ一つに一喜一憂したって、いいじゃないか。
ただし、本質は見失わないように。
Posted by ブクログ
ミステリー作家・室見響子の遺稿「鏡の国」。
担当編集者と響子の姪が読み進めていく中、編集者が指摘する「削除されたパート」とは。
見事に二転三転に振り回されながら読みました。楽しかった~
作中作も読み応えたっぷり。
このラストが良い。これで読後感もとても良くなった。
Posted by ブクログ
子供の頃、親友の郷音の顔に火傷を負わせ
彼女の夢を肩代わりしてアイドルになった響。
しかし、ファンからの心無い一言に心身を病み
今は福岡ローカルの情報誌で働いている。
そんなある日、響は取材対象のライブ配信者が
火傷を加工アプリで消した郷音だと知り…。
というミステリ作家の遺作が作中作で
「この作品には違和感がある」と
編集者から告げられた彼女の姪が
ゲラを読み直して、その正体を探ろうとする。
私は普通に作中作を楽しみましたけど。
そっち(あの火事が実は放火だったのでは)の
物語だけでもおもしろかった。
逆に言うと、外側がちょっと腑に落ちない気分。
響と郷音に呼応するように
事件の調査に関わってくれる伊織と巧という
男性たちも合わせて4人とも
ある悩みを抱えて生きてきた。
そのキーワードが「鏡」なのですね。