あらすじ
「日本人」を取り戻す旅――われわれは何を忘却し、何を守ろうとしてきたのか? 歴史をひもとくと、古代の日本社会は多様な思想や価値観に満ちていた。しかし、いつからか「日本は集団主義的で同調圧力が強い」と評されるようになった。いったい、なぜ? ターニング・ポイントは? 我々の「日本人意識」は、どのように形成されてきたのか? そもそも、我々はいつから日本人なのか? 本書では、古代から現代までの「日本人のものの考え方」のルーツを探る。その過程で、時代ごとに影響を与えた思想を「マトリックス」で図解・整理。日本思想史を俯瞰する「見取り図」を通じて、その構造と大きな流れを読み解いていく。壮大な物語を読み解くナビゲーターは、駿台予備校のカリスマ世界史講師であり、YouTubeで14万人のファンがいる茂木誠氏。世界史の視点から、日本で繰り広げられる「大いなるドラマ」を解説する。日本人の思考様式・行動原理・アイデンティティは、どのように醸成されてきたのか? 日本人とは何か、どこへ向かうのか。そのすべてがわかる!
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日本思想史マトリックス 茂木誠 PHP
歴史を二次元座標軸で表してみる
上がグローバリズムで下がナショナリズム
左が国家主義で右が個人主義
世界史の視点から日本の思想を俯瞰してみる
1章 神話から読み解く古代の世界観
2章 神仏習合に見る相手を否定しない文化
3章 モンゴルショックによる多様性の危機
4章 日本思想における朱子学と陽明学
5章 日本にルネッサンス=国学
6章 国民の意識の芽生え
7章 格差と社会主義の萌芽
8章 敗戦への道を進んだ日本型ファシズム
9章 敗戦後の日本人の現在地
縄文から岸田内閣安倍晋三暗殺事件までを網羅
残念ながら著者は昭和天皇や岸・安倍贔屓のようだが
全体を通じて常識とは別の
著者独特の推測があってとても面白い
アナーキズムとリバタリアニズムについて少し見解が違うので
ここに記して置こうと思う
人の世は心しだいです
どんなに豊かな社会で優れた法律があっても
そこに暮らす人間が利己的であればデストピアとなり
逆に管理者や支配者がいない無法地帯であっても
そこに暮らす人々が利他的であればいやでもユートピアとなる
それは枠組みのない自由自在が花咲くアナーキな関係であり
けして自分勝手で強い者勝ちのリバタリアニズムとはならない
利己性は依存心と不信感を強くして競争心を煽り
利他性は自主性と自律心を育み切磋琢磨の関係を求めてやまない
そこでは道徳心が生まれ不安や恐怖心に悩まされることもなく
お互いの素直さを発揮して自由自在を謳歌できる
よしんば独裁者が統治する国家であっても
その者が利他性を以って統治を行えば
依存性に溺れた国民をユートピアもどきの時空間に置けるが
残念ながら一代限りでしかなく
依存心を卒業させて自由自在性の関係を育むことはできない
すべては集う個々人の心次第なのです
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人気予備校講師である茂木誠先生の著書。
460ページもの大部だが、面白く読むことができた。
特に近現代の政治思想について、分かっていない部分が多かったことに気付かされた。
自民党内の派閥のスタンスなどはもうちょっと詳しく調べたいと思う。
Posted by ブクログ
縄文人気質:直感、感性、自己責任、個人・家族単位
弥生人気質:計画性、コツコツ、同調圧力、ムラ社会、自然を改変・開発
日本人:DNA、多民族
国家と宗教の成立は「認知革命」の賜物、国家という共同幻想。
神仏習合、相手を否定しない文化。
中華グローバリスト蘇我氏vsナショナリスト物部氏。
中臣・藤原氏:仏教・律令制を導入、唐との対等外交。
大伴部博麻:白村江の戦いで捕虜になり長安へ。自らを売って奴隷となり仲間4人を日本に帰し、唐の動きを伝える。30年後に帰国し持統天皇から恩賞を賜る。
大仏建立、行基。平安京遷都、最澄と空海。
両部神道:真言密教と合体した神道、金剛界と胎蔵界=外宮のトヨウケと内宮のアマテラス。
鎌倉幕府の最大の仕事は武士同士の土地の争いの調停、御成敗式目、男女同権、女性も家督を継げる。
元寇によるナショナリズムの再燃。
吉田神道(吉田兼倶)、伊勢神道(度会家行)
北畠親房の神皇正統記、易姓革命ならぬ易統革命、正統性に徳を求める。
江戸幕府の檀家制度により仏教は葬式仏教へ。
朱子学:中華文明の正統性、序列をつける、大義名分論、モンゴル支配への反発。
陽明学:知行合一、感情を発火点として現実を変える理論を生み出す。
日本陽明学の祖、中江藤樹。
西欧グローバリズム、蘭学、杉田玄白、高野長英。
国学、平田篤胤、賀茂真淵、本居宣長。
ナショナリズム、水戸学、会沢正志斉、藤田東湖。
(中央 レファレンス 104536852 121.0モ)
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宏池会とか、清和会とか学校で習った覚えがないのだが、結局、人間が集まるとサブグループができて対立し合うんだなというのを、古代から例示してもらってます。
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縄文のアニミズムが神道の起源であり、古事記、万葉集では祭祀王としての支配を「しらす」、豪族たちの軍事行政的支配を「うしはく」と表現して区別している。
「しらす」は「知る」が語源で、民をよく知る、民に心を寄せるというニュアンス。
「うしはく」は軍を指揮するニュアンス。
これが皇室が長く続く理由であり、日本の特徴。
1935年の美濃部達吉の天皇機関説に対して、上杉慎吉が天皇主権論を唱え、天皇神格化が始まる。
国防思想の強い日蓮宗の信徒であった石原莞爾が満州を足がかりに、アメリカと最終戦争を行い勝者による世界統一をプランする。
陸軍内の皇道派と統制派の争い。皇道派は北一輝の革命思想の影響を受けた青年将校が中心。統制派は軍の上層部。政治家や財閥と妥協を図り思想がなく東條英機はこの典型。
二・二六事件で陸軍の主導権を握った統制派がなし崩し的に中国国内へ戦線を広げてしまう。
このように、縄文時代から現代までの日本国を特徴づけている宗教と政治思想がよく分かる本です。
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思想史、というのは聞き慣れないジャンルだったが中々どうして面白かった。個々の歴史的事件も、その時代の背景となっている主流な思想を知ることでよく理解できた。
また、仏教と神道の絡み合いや、何となく聞いたことのある朱子学儒学なども簡潔に要点がまとめられており勉強になった。
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駿台時代にお世話になった世界史の茂木先生の著書。世界史選択の自分でも、古代から現代までの日本思想史を読み物として非常に面白く理解できた。教養としての一冊。全日本人に読んでほしい名著でした。
あと今まで知らなかったが、陽明学が好き。
最近流行りのビジネス用語で言うと陽明学は「デザイン思考」、朱子学は「ロジカル思考」になるかも。
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前半の南北朝時代くらいまでの思想史はすごい面白かった。歴史上の出来事は全てどこかの誰かの思想に紐づいていて、その思想をの基礎になる出来事がまたどこかにあってっと紐解いていくのが面白い。
後半の政治思想史は見てて絶望することばかりだからあまり読み進められないけれど、現在に至るまでを俯瞰で見ることは大切だとは思う。
Posted by ブクログ
日本思想の流れを知りたくて読んだ。
前半の縄文と弥生の思想の違いと、戦前の思想の無い軍人による判断の誤りのところが特に面白かった。
縄文→弥生にかけて農耕の始まりなどで思想も変わってくるという話は、サピエンス全史で読んだことと一致していてそうやなぁと思いながら読んだ。
戦前の思想では、二二六事件でどんな結末でも全体主義が力をつけるという構図は知らなかった。そういう意味で歴史的にターニングポイントとして捉えられているということでより理解が深まった。
思想の無い人による全体の流れに沿っただけの意思決定の怖さを知った
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日本人とは何か――世界史の大きな流れの中から光を当てる。儒教や仏教、西洋思想の影響を受けながら日本独自の価値観がどう育まれたかを縦横に描く。ざあっと読めてわかりやすく興味深く書いてある。歴史を通して見えてくるのは時に受け入れ時に跳ね返してきたこともある日本人のしたたかな姿だ。付き従う今の日本人よ、ひとり立ちしようよ。
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日本の思想の系譜が日本史と世界史の観点からわかる本。
体系的に、思想の繋がりが見えるのは面白く、色々な発見もあった。
ただ、少し著者の主張が強すぎて、かくあるべき、この思想は好き嫌いというのが見え隠れしていて、近現代の思想の部分はちと読んでいて苦しいものだった。
保守の本当のあり方や、多様性と寛容さが大事という主張には大いに賛同できるものの、何となく鉛を飲んだような気分になった。
それは、本書を読んで、思想というものが、下手をすると自分の理想や頭の中で描いた都合の良さを論理的に説明するもののように見えてしまったからかもしれない。政治的に統制をかけるとか、自身の価値や権力に箔をつけて、正統性を出すようなツールとして思想が使われているからかもしれない。
信仰と同じく、思想も、体制と結びついたり、集団と結びつく時、その価値がなくなるのかもしれぬ。
下手に被れたら危険なものが思想なのだという感覚を得られたのは良かったかもしれない。
されど思想なくしては、社会集団は動かず、成り立たないような気もする。
そうなると、禅のような無字の世界や、身体論、山伏などの体系化されていない世界にあごかれが募る。それも一つの思想?なのか。
ただ、江戸時代も、明治大正も、言論統制は比較的緩かったことはよくわかる。
それぞれのマトリクスでも、それぞれの思想が、それぞれの局面で機能して社会を前に進めているもので、誰かの拠り所にもなっていたりする。多様性が大事で、一つの思想にまとめることの弊害があり、だからこそ、日本古来の習合や、和をもって貴しとなす、と言った多様性と寛容さ、良い意味での良い加減さが大事なんだと思う、
Posted by ブクログ
1,これを読めば日本の思想の変遷がわかると思いたい
2,総裁選が今後行われていく中で、今(2024/09/14)読むべき本
3,未来と世界史の視点に立つとリベラル的に、過去と日本史の視点に立つと保守的な考えになるのかなと思った
Posted by ブクログ
後半の小泉政権当たりの現代史あたりからは著者の思想が入りすぎている感がある。だが、前半の宗教と日本人思想は読む価値あり。
かつて日本はひとつの国ではなく、多くの国があり、そしてそれを大和が滅ぼしていった、地方の王を「鬼」とした物語が「桃太郎」説はなるほど興味深い。日本昔話の「鬼」のどこかもの悲しさは、大和に敗れた王だからではないか、と。
鬼による被害は描写されず鬼をやっつけて財宝うばってめでたしめでたしの桃太郎に疑問を持つ人は多いと思うが、なるほどこの説だとなんだか納得できる。
Posted by ブクログ
日本に生まれ、住み、暮らしているので、私の価値観や考え方は、日本全体を包んでいる思想や歴史に、少なからず影響されているのだろうなと思い、手に取ったのがこの本である。
平易な言葉で分かりやすかったが、あと少し、もうちょっと、字が小さくなってもよいので、深く掘り下げても良いかも、本当はもっと書きたいことがあるのでは?という匂いを感じた(まぁ、入門書なので、このくらいが良いのかな、、、)
最後の方は、政治思想を中心とした解説が多く、それらの思想を私に結びつけるには、まだまだ勉強不足だなぁと分かった。この入門書を参考に他の本も読んでいきたいと思う。そもそも日本人の思想なんてあるのか分からなくなってきたけども。
感想を書いていて気づいたが、入門書としての役割は大いに達成された(笑)
Posted by ブクログ
わかりやすい。天皇とは?縄文から令和まで、日本国のあらましがみえる。朱子学と陽明学の違いなど、ふとした疑問が解決する。神話時代、明治から昭和が特に興味深い。
Posted by ブクログ
駿台予備校の人気世界史講師によってまとめられた日本思想史の本。教科書のような端的で分かりやすい文章だが、情報量が多いのでじっくり楽しめた。
歴代の日本思想家(宗教家や政治家)は、「国家主義」か「個人主義」か、「ナショナリズム」か「グローバリズム」かのグラデーション内で分類できるらしく、今までバラバラに理解していた有名な歴史上の人物が、キレイに「国家主義」と「個人主事」を両端に置くX軸、「ナショナリズム」と「グローバリズム」とを両端に置くY軸のマトリックス上に収まり、点と点が線や面として繋がってゆく様が快感であった。
実際は本書が「政治思想マトリックス」の続編に当たるらしく、そちらも読んでみたい。
Posted by ブクログ
ポップな表紙デザインで手に取ったが、なかなか思想の濃い内容だった。
うろ覚えだった日本史をおさらいするかのように読めた。面白い。
著者の色が濃く出た記述もあるので、そこは各々が考えて捉えるべきだろう。
天皇を主体として日本人の思想が形成されているという点は面白かった。南北朝時代の微妙なニュアンスも興味深い。
Posted by ブクログ
星3.5
思想史とはあるものの、
ほぼ実質宗教史および政治史。
前作「政治思想マトリックス」と同様、マトリックス図を用いて、各思想の立ち位置を明示している点、
また、誰が誰に影響を受けたかを必ず書いているので、歴史の流れがとても分かりやすい。
この本を読んだ後に歴史ものの作品を見ると、その人の思想史の視点が加わってとても面白くなる