あらすじ
樹木はどんな科学技術よりも優れた力で二酸化炭素を吸収し、雨量や気温を適切な状態へとコントロールする。そしてその調整の仕方を子や孫へと受け継いでいく――。長年、森林の管理をしてきた著者が、樹木の秘められた力を明かし、環境問題解決の道筋を説く。
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Posted by ブクログ
前作、『樹木たちの知られざる生活』に対し、わたしはやや傲慢な(というか、過剰に自分たち人間を信じすぎた)評価を下してしまった。レスポンシビリティという、植物と人間たちが、互いに助け合うことができるという考えを信じたかったからだ。だがわたしはこの考えのことも森のこともーー引いては人間がどんなに強欲で誤魔化しをきかせるウンディゴより悪いものになり得ることも、実際知らなすぎたのだ。
本書には人工林、木材のほか、木製品、紙、トイレットペーパーや本、肉食及びそのための飼料がいかに「野生」(真実古代からの天然)の森を苛みつづけているかが記してある。一種、あこがれでもあったドイツの林業の実際、起きている現実の被害を直視せず同じ過ちを繰り返し続ける林業者たちの業が語られる。悲しくなるのは、わたしたちのくにも同様の過ちを侵しつづけ、さらにわたしたち自身が消費と無知というかたちでその片棒を担いでいることに気付かされるからだ。
著者は同時に、木々の生命力の強さを述べ、人間が「ほんとうに何もしなければ」野生の森が帰ってくると述べている。そう、わたしたちがいま進んでできる「木々へのお返し」ーー与え合いとは、著者が述べたように、かれらの生きよう、また実際の有様を知ることにほかならず、また、無頓着に食べているもの使っているものの出どころを意識することだろう。