【感想・ネタバレ】野の医者は笑う 心の治療とは何か?のレビュー

あらすじ

若き臨床心理学者の冒険譚にして青春物語

われらがカウンセラー、東畑開人の一般書デビュー作、文春文庫版の電子書籍化。

文庫版あとがき「8年後の答え合わせ、あるいは効果研究」を付した完全決定版です。

人生に痛めつけられたからこそ、
人を癒やす力を得た野生の医者たち。
彼女・彼らと共に過ごした
灼熱のフィールドワークの記録!

気鋭の心理学者にしてカウンセラーは、精神科クリニックを辞め、学界を揺るがすこと必至のフィールドワークを開始。沖縄で人々の心を癒やし続ける謎のヒーラー達を取材しながら自ら治療を受け、臨床心理学を相対化しようと試みた。「野の精神医療」と学問の狭間で辿り着いた驚愕の発見とは? 涙と笑いの学術エンタテインメント。

単行本:2015年8月 誠信書房刊
文庫版:2023年9月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「技法というのは結局空っぽの容れ物なのだ。そこに好きな思想を詰め込んで、それぞれの治療がなされる。」(p.212)が、心理療法は科学的で優れていると盲目的になっていた自分に非常に心に刺さった。

臨床心理学、特に心理療法にはそれぞれの世界観や価値観があり、創始者の思想や信念、価値観が大いに含まれているという点では「野の医者」と同じであるが、定説や常識と呼ばれるものを疑い、確認してみるということを繰り返す「学問」という側面を持っている点に違いがある。「良くなるとはどういう状態なのか」「心理士は何をして人の心を癒していくのか」について自問自答していきたいと思えた。

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2025年05月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

漠然と感じていた「心理学と宗教・スピリチュアルって何が違うんだろう」という問いを突き進んだ本だった。癒しの物語を共有しケアする点は共通しているが、臨床心理学は学問のため客観的に問いを立てて少しずつ内容が変わっていく違いがあるのかなと認識した。
またスピリチュアルでご飯を食べゆく人たちは、稼ぐ手段の一つである側面も紹介されており、居るのはつらいよと同様に資本主義・お金の問題を絡めてくるんだなと感じた。
文章の勢いがすごい。

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2024年07月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

スピリチュアル系が流行る理由として、マーケティング戦略の側面が大きいという話が現実的で納得できた。東畑さんが色々と試していく姿も面白おかしく書かれており読みやすく、新しい世界を知ることができた。

治癒とは何か。軽躁状態を目指すのか、それとも弱さや苦しみの抱え方を探していくのか。治癒とは何か。
臨床心理学とスピリチュアルは何が違うのか。完全に切り離そうすることは乱暴なのかもしれない。揺れる状態を見つめ抱えること。問い続けること。この本はその精神を教えてくれたように思う。

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2024年09月04日

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