あらすじ
「チーロさまは――だったのではないでしょうか?」約束していたサロメの呪いの解呪に向かうエラルド。一方、クロエは自身に起きた違和感から黒幕の正体に近づき始める。それは、二年前に殺害されたチーロの真実を知ることで、確信へと変わっていき、黒幕が仕掛けたさらなる罠に気づくことになる――…
『薬屋のひとりごと』日向夏&『終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅』浅見ようのタッグでおくるファンタジー×ミステリ、神子候補殺人事件の犯人が明らかに!!
感情タグBEST3
クロエの真実を見抜く力は鳥肌もの。
ヒロインのその観察眼。薬屋のひとりごとを思わせます。
イネス、チーロ、そしてまさかのエラルドの秘密に驚き。
そしてチーロを殺した犯人は。
度肝を抜かれる展開。
面白かったです。
チーロ○害事件が解決。
ついに、チーロ殺害事件の全貌が明らかになりました。解決編なので、最初から怒涛の展開でした。
クロエの魔道具がすべて消費されたことに気づき、ゾエの祝福が判明。そして、物語の根幹である「神子」と「聖女」の違いに着目し、事件の衝撃的な真相にたどり着く流れは、読み応えがありました。ゾエの祝福についてはある程度予想していましたが、チーロ自身の秘密についてはまったく考えていなかったので、意表を突かれましたね。
しかし、個人的には気になる点もいくつかありました。ゾエが伯爵令息や聖騎士団など、かなり広範囲に祝福を行使していたのは、少し都合がよすぎるように感じました。これだけの人数を、いつ、どのようにして操っていたのか、その綿密な計画を考えると、無理があるように思えてしまいます。ゾエが祝福を使う対象をもう少し絞っていれば、読者もそれを推理のヒントにできて、より納得感のあるミステリーになったのではないでしょうか。
もう一つのマイナスポイントは、エラルドとイネスがクロエに情報を隠しすぎている点です。推理が進むにつれてイネスが情報を隠している様子が目立ち、不信感を抱きました。チーロに関する重要な情報は、事件解決のためにクロエに最初に伝えるべきだったのではないでしょうか。それを隠し、クロエに指摘されても誤魔化そうとする姿は、真相解明を望んでいないように見えてしまい、物語のノイズになっています。それを隠すだけの正当な理由付けがなかったのは残念です。
1 巻から総括すると、3, 4 巻の展開が退屈だったのに対して、5 巻での解決によるカタルシスが上回れなかったかなという印象。事件の全貌について分かったときは面白かったのですが、前述の通りのマイナスポイントもあって手放しには褒められず、1 巻の時の期待にはあまり応えてくれませんでした。まだ続くようですが、多分読まないと思います。