あらすじ
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この本は「美術解剖学に基づいた人体のポーズ集」です。解説は第1部だけで、第2部は気軽にパラパラとめくって眺めているだけで創作のインスピレーションを得られるような体裁にしています。
人体ポーズのイラストに使用した資料は、衣服やサポート(彫刻を支える支柱)で体が隠れたりしているものも多く、そうした箇所は体の輪郭を推測したり、加筆したりしました。描く回数をこなしていくと、これらの隠れた部分を容易に推測できるようになりました。もちろん、実際の像を観て確認していないものもあるので、それらについては正確かどうかはわかりません。「美術解剖学を研究している人が、欠損部分を補うとこのようになる」という作例とお考えください。
この本の人体ポーズのイラストは、素体(人形などの土台となる基本的な形)と解剖学的な構造を掛け合わせたような表現にしています。図形的に整えられた人体像を、少しだけ解剖学的な構造に寄せて、分割線をデザインしました。
胴体、腕、脚はそれぞれを色分けしました。胴体だけ、腕だけ、脚だけに注目することで、「大きさの割合」「長さの割合」「どの程度ひねっているのか」「どの程度曲げているのか」「左右でどう変化しているのか」などの情報を整理できて、わかりやすくなると思います。
最後に、この本を読んでくださったあらゆる人にとって、ポーズや人体表現のインスピレーションの源になってもらえればいいなと思っています。難しそうな漢字が並んだ用語も、この本ではあまり使用していません。これまで「美術解剖学って難しそう……」と思って敬遠していた人も、この本をきっかけとして美術解剖学に触れてもらえれば幸いです。
※カバー画像が異なる場合があります。
感情タグBEST3
分かりやすい!使いやすい!
※購入からしばらく経って、改めてこの本使いやすい!と思ったのでレビュー内容を修正しました。
前々から気になっていて、絶賛してる人と酷評してる人で分かれてる本だなぁと思ったのですが絶賛してる人のレビュー内容がどうしても気になったので買ってみました。個人的にはこの本はかなり良いです!私の使い方としてはこれ単体を参考にするというよりは、着衣の写真+この本を両方参照することにより、服の下の体がどのように繋がっているかを理解するのに役立てています。
ただ酷評がある理由も少し分かります。各ポーズは美術作品を元に描かれているとのことですが、それもあって体型が「悪い意味で現実的すぎる」という印象はあります。女性、男性、細身の人、肉付きの良い人、筋肉のついている人、身長が低めな人、高めな人、子供など色々な体型のポーズが収録されてはいますが、アニメや漫画のキャラクターの体型からすると全体的に体型のメリハリが少ないので、人によっては「描きたいのはこういう体型じゃないんだけどなぁ」と思うかもしれません。
また、元の作品の写真は載っていないので、ポーズによっては腕や足の隙間から見えているのが何の線なのかがわかりづらいものもあります。(全てのポーズが統一した描き方になっているおかげで、何回も描いているうちにある程度推測できるようにはなりますが。)
この本の特に好きなところは、複数人のポーズがあることです。ポーズ資料は1人のポーズの方が多く、複数人のポーズは結構見つけづらいので非常に助かりますし、しかも抱擁やキス、相手にもたれかかったりするようないわゆる「絡み」のポーズが多いのがありがたいです。
基本的に1ポーズにつき1つの角度しかないことや、体型が寸胴なことが多いこと、指など詳細な部分については簡略化されているので、この本だけでは作画資料として完結することはあまりないかなと思いますが、ただこの本を参考にしているうちに体のどの部分の線を捉えればいいのかが分かるようになってきますし、着衣のポーズ資料を見てどの部分の線を捉えるべきか混乱してしまった頭を整理するのにかなり便利なので、ちょっとお高いですが買う価値はあると思います。オススメです!
Posted by ブクログ
この本を「読み終わった」と言っていいのか極めて微妙だが、一応感想を書いておきたくなったので、全編目を通したことをもって「読み終わった」とした。基本的には、絵を描く練習用に買った積読(?)本で、自分の中では、感想を書いたりするような類のものではない。
この本を見ながら絵の練習を始めて1週間ほどしか経たないが、自分がこれまで描いてきた絵が、いかに想像力に乏しいものだったのかということを痛感した。我が絵の指導者にして兄である先生に、「線が硬い」「自分の描きたいもののイメージが固まってない」など「かたい」「かたくない」など言われて久しいが、その意味がよくわかった。ここにポーズ見本として描かれた人たちに表情も服飾もないが、そのポーズだけで様々なことを語っていることが分かる。
自分は、何気ない人の姿を、いかにこれまで見てこなかったのか。
加えて思ったのは、絵を描けないのは、やっぱり技術の問題ではないのではないかという現実であり。これは、兄にも言われたが、上手に描く技術云々に、仮に高度に上達した技術をもっていたとしても、その技術をもって描きたいものがないというのは、その通りな気がしてきた。
ここに描かれた、無味乾燥で、それでいて平準化されたメッセージを伝えている「ポーズ」をみながら、人はいつそのようなポーズをとるのだろうかと、妄想を広げてみる。その妄想が、現実的な像を明確に結んだとき、もう一度、兄貴の絵画教室に通おうと思う。そんな一冊であった。