あらすじ
長野県安曇野。半年前に山で行方不明となった妻の頭蓋骨が見つかった。三井周平は悲嘆に暮れながらも、遭難場所から遠く離れた場所で発見されたことに疑問を持つ。あれほど用心深かった妻に何があったのか? 数週間後、沢で写真を撮っていた女子大生が行方不明に。捜索を行う周平たちをあざ笑うかのように第三の事件が起こる。山には、一体何が潜んでいるのか!? 稀有の才能が遺した、超一級のパニック・エンタテインメント!
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Posted by ブクログ
失踪した原因はクマだろうというのは真っ先に考えるが、初めは凶暴化したツキノワかと思った
しかし、あの地にヒグマが出るという経緯が何とも人間の愚かさを現している
想像できる展開ではあるが、最後はドキドキした
文章が読みやすかった
Posted by ブクログ
長野県安曇野市を舞台に、山で失踪したのち遺体で見つかった妻の死から、物語は始まります。
序盤はミステリー風味ですが、ほどなく熊の仕業であることが判明します。
熊は怖い!
日本人にとって熊は割と身近な存在ですから、他のパニック物と違い、リアルに怖いですね。
遺体が食害されていたことから、犯人(犯熊)はツキノワではなくヒグマだろうという推測がなされるシーンがあります。
それが強く印象に残りました。
なぜなら2016年にツキノワグマによる連続食害事故があったから。
(十和利山熊襲撃事件)
小説ではあり得ないとされていたことが、現実で起きている。
ちなみに話の展開が2012年の秋田八幡平クマ牧場の事故に似ていたので、てっきりそこから着想をえたのかと思っていました。
ところが、小説の発表年は2007年。
現実が小説を超えていく怖さ。
あるいは作者の懸念が現実化してしまったのか。
そういう小説外の状況も含めて、面白く読める、そして考えさせられる一冊でした、
Posted by ブクログ
ヒグマは最初に男性を食べると、その後男性しか食べません!
このストーリーでは、最初に食べられたのは、女性なのでその後の食害は女性ばかりなのです。
3/7/31
Posted by ブクログ
山中で起きた事件の犯人は何か?オカルト的な何か、もしくは山岳ミステリをイメージ(期待)して読み進めましたが、そうではないと分かった時に別の面白さに変わりました。登場人物と同じ視点で淡々と真実に迫っていくぶれない筆致に引っ張られました。巻末の映画監督黒沢清氏による著者(故人)との思い出を綴った解説もよかったです。ストイックと映画的という表現になるほどと思いました。
Posted by ブクログ
私も田舎のやや山育ちのため、山、川の知識がある。
自然の恐ろしさは幼少から身についているから、都会から
キャンプ、登山にくる人の安易さに危惧している。
この作品は山に関わる人への警鐘ともいえる作品かもしれない。
自然災害は単なる異常気象だけでなく、昔からのウイークポイントであることが伝承されていないのである。
海でもそうだが、遊泳禁止は必ず、死と隣り合わせという危機感をもっているのか?毎年、残念なニュースを目にする。
決して自然は侮っていはいけないということだと思う。
Posted by ブクログ
長野県の山で次々と失踪する女性。
獣害事件かと見せかけて真相は殺人鬼による犯行かと思っていたらそのまんま獣害事件だった笑
でも変に真相を引っ張っらないし、話を複雑にしなかったのがかえって好感が持てた。最近の本は最後の20ページくらいまで読まんと真相分からんし。中盤でネタばらししても最後まで読ませてくれる、そんな本こそ称賛されるべきでは?
そもそも基本情報なしで読んだからどんな話なのかわからなかったのもあるが…
たまにはこういう読み方もいい。
文章も余分な物がなくて読みやすいしスリルもある。
なかなかよかった。
Posted by ブクログ
調子が悪くて一日中布団の中にいた、ということもありますが、
一気読みでした。
犯人は何なのか、ということは最初から薄々勘付いては
いるのですが、次々と人が殺されていくのがもう、怖くて怖くて。
実際に昔北海道で、たくさんの被害者を出した熊の事件があったんだなぁ。
この本を読んでいる途中でネットで調べたけど、恐ろしい事件でした。
ヒグマの恐ろしさを改めて知りました。
この本を読み終わった途端、テレビで「初のクマサミットが開かれ…」とやっていてビックリ。
くまの被害とかを報告したりするんだって。
そこで、ツキノワグマが人里に現れたとかで、射殺されたりしてるのを見て「あれ? この本ではツキノワグマはよっぽどのことがないと人を襲わない、とあったような…。殺すなんてかわいそう」と思ったけど、それもまた、対岸にいる私と、実際に農作物とかに被害を被っている地元の人たちとの、温度差なんだろうなぁと思いました。
Posted by ブクログ
以前に読んだのだが、最近『羆嵐』を読んで思い出し再読。
羆嵐の時代と比べると、人間は自然や野生生物に対して、ずいぶん傲慢に生きているのかもしれないと改めて考えさせられる。
信州の山中で神隠しのように女性が姿を消す。
主人公が妻の失踪と死の真実を追い、やがて羆が人を次々に襲うのだが、結末に向けてハラハラしながらも、羆の怒りと悲しみが胸にくる。