【感想・ネタバレ】節電社会のつくり方 スマートパワーが日本を救う!のレビュー

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Posted by ブクログ 2018年10月14日

今、世の中には無責任なエネルギー未来図を説く本がいっぱい出回っているが、この本はしっかりした知識と洞察に支えられていて、とてもいい本だと思う。
それでも、著者の提唱するエネルギーネットワークのスマート化というのは、経済、ITのバックグラウンドの人が信じるほど容易いものではないし、エネルギー問題を解決...続きを読むする切り札にはなりえないと考える。
今後、再生可能エネルギーを今よりも増やすことは、著者の言うとおり「非常時・災害時のロバスト性、利便性確保」の点ではうなずけるのだが、結局のところ自然エネルギーは、本来、木々や海や鳥や動物が享受していた太陽エネルギーを「収奪」するものであることは忘れてはならない。屋根に乗せる太陽光パネル程度なら良いが、それだけでエネルギー供給を大きく支えるものとはならない。
また蓄電池は交直変換で結構大きなロスを伴う。継続的にネットワークに接続して用いることがそれほど合理性があるとは思えない。
そこでよく言われるのが、ネットワークを直流にせよ、というものであるが、これは効率的な電圧変換の困難さ、大電流での安全性、そして何よりも多数の電源が接続したネットワークを安定に運転することについて、技術的な課題が大きいため、見込みはないと思う。
かといって、連系先は交流ネットワークを基調にしたとしても、電源がパワーコンディショナーだけで構成される大規模な電力系統は、不安定な振動モードを除去するのに手こずるだろう。確実に安定的に運転される見込みはないといってよいのではないか。
分散型電源は、コンセプトでいえば、とてもよいものに見えるのだが、実際にはすべてをネットワーキングして、はじめてその効用が現れる。しかし、そのネットワーキングの技術的ハードルは、おそらくかなり高いものだということだ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年05月14日

本書は(社)スマートプロジェクト設立の元通産省役人の著者が、自らの団体と一緒にエネルギーのスマート化を進めることで節電社会を作っていきましょう、と呼びかけている本です。全体的に役人的なコンセプトペーパーのきらいは否めませんが、関連情報を提供してくれると言う意味はあるかもしれません。例えば、

○ 日...続きを読む本のエネルギー源の64%は捨てられている。これは山奥につくった発電所からの長い距離による送電ロスと発電プロセスでの電力変換効率が半分以下で後は熱として逃げているため。これは他国でも同様で米国で62%、イギリスで63%、フランス72%、そして中国は78%といずれも高い数字。

○ 分散型エネルギーとはこのような一極集中型発電のロスを減らすために、地域地域で創エネをすることでエネルギーの有効利用と自立が図られるというもの。再生可能エネルギーは消耗する化石燃料との対比で人類の目から見れば無限に生み出せるエネルギーのこと。

今後の節電社会は、再エネ、スマートメーター、国・地域・コミュニティの三層構造となったスマートグリッド、蓄電池、コジェネを活用したスマートプロジェクトにより実現されると提唱しています。そのコンセプトを紙に落とすと以下のようになるとか。

また、リアルタイムで電力需給を把握・調整できる仕組みを活用すれば、リアルタイムの料金設定などで節電を促すことができ、ライバル会社間での競争により料金費用負担の削減も期待できる。そのためにも、アメリカ競争社会のように配電・発電の自由化を認めるべきとの考えも述べています。

行政に求められるのはこのような自由化の制度に変えることなどの制度作りや、インフラ導入のための導入補助や安心して参入してもらうための債務保証などの支援が必要と考えているようです。
(イギリスではスマートメーターの設置が義務付けされたことや、EUではコジェネ導入目標を定めているという情報も載っていました。)

この分野について、現在は「スマート」という言葉が先行している状況で、実際何をするとどれ位の効果があるのか、それを推進するならばどのような体制でやっていくのか、などについて未だ検証段階の気がしますので、進んでいると言われる欧米の状況も含め、分かりやすい説明と理解が重要で、その上で国・地域・コミュニティがどのように主導して進めていくのか、それぞれの整合性も考えていくことになるのでしょう。

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Posted by ブクログ 2012年05月02日

同じことを繰り返し述べています。特に蓄電池推し半端ないなと思いました(笑)手始めの1冊でも物足りないかなと感じます。スマートシティ、スマートグリッドについて詳しく知りたい方は別の本を読んだほうがいいかもしれないです。僕はスマートグリッド?なにそれおいしいの?っていう人だったので、へぇ~と思うところは...続きを読むありましたが。ビギナー中のビギナーが読む本ですね...多分。ざっくり書かれているので、読むスピードがそんなに早くない人でも2時間ぐらいで読めると思いますよ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年10月04日

2011年6月に発刊された新書。スマートプロジェクトを提唱する筆者の節電で縮み志向に陥りがちな発想ではなく、分散型のマイクログリッドを張り巡らした電力ネットワークを駆使した手法でのぞむべきという主張。原子力は今後も20年間は基幹電力として有用で、これに早く先述のネットワークが層状に重なるべきという。...続きを読む明るくわかりやすい論調だが、後半がどんどん楽観的になるので読むのであれば前半まで。

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Posted by ブクログ 2011年07月06日

今のエネルギーの需給の問題やスマートグリッドについてとてもわかりやすく解説されている本です。もともと、著者は地域通貨を提唱されていた方という印象だったので、どうしてこのような本を書かれたのかなぁと思っていましたが、「エコポイント」という手法での国民的活動を提唱されているところで、納得。経済価値とそれ...続きを読む以外の価値(環境に良いという価値)を通常の貨幣とは違う媒体で交換・循環させる、ということなのかな、と思います。
惜しむらくは本のタイトル。
「節電」というコトバの概念が狭いので、この本が扱う世界の幅広さと合っていない気がします。流行りのコトバで「耳目を集める」というやりかたも、善し悪しだと思います。

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