あらすじ
そうだったのか! 雑草魂のほんとうの意味。
「雑草にとって大切なことはタネを残すこと。
だとしたら、踏まれても踏まれても立ち上がるって、
ムダなエネルギーを使っていると思わない?」
(本文より)
国立・私立 中学入試[国語]3年連続最頻出著者(2021~2023年 日能研調べ)であり、『はずれ者が進化を作る』『生き物の死にざま』の著者が初めて「私(自分)」を題材に、ライフワークである雑草と、イマドキな教え子たちを絡めてつづる、アンチ雑草魂エッセイ。
頑張りすぎたり、細かすぎたり、要領が良くなかったり・・・・・・不器用だけどまじめで実直な彼らとの日々は、常識に凝り固まりがちな教授のアタマと心をゆっくり溶かし、やがて気づかせる。
指示待ち学生が適確な指示を与えられたときに発揮する大きな力や、
好きなことしかやらない学生の視野の狭さがニッチな発見を生むことに。
効率を求めムダを省くのが優先される時代に、自分の武器をどう見つけるのか?
著者は苦労している割に報われない若者に、どんな言葉をかけるのか?
生きづらさに悩むZ世代、そしてZ世代との付き合いに戸惑う中高年にも、きっとヒントを与えてくれる一冊。
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Posted by ブクログ
あなたはまだ雑草を知らない。
雑草をテーマとする研究室の教授が、学生たちの研究を小説形式で紹介。ちいかわ、ジブリ、ワッフルさん、Z世代と縦横無尽な「雑草」研究の世界へようこそ!
タイトルに惹かれて手に取った。冒頭のとっつきやすい小説のような会話文で一気に引き込まれて読み切った。そのタイトルに関連する7章の鳥海さんの気付きは印象的である。「置かれた場所で芽を出さない」ことも大事。雑草は踏まれても立ち上がらない。雑草魂は、踏まれても立ち上がらずにタネを残す方向にエネルギーを使う強かさなのである。
他にもナウシカの農業について語られる章では、雑草にとっての1000年が「少し先」であること、それを「平家のかくれ里」の言い伝えに関する研究と繋げていくところに壮大な物語を感じた。理屈がわからずとも伝わってきた知恵と、1000年変わらずにある植物のロマンは大変興味深い。
雑草で探究的な授業を考える学生との、校庭の雑草の研究の様子を語る章は、わくわくする授業のアイデアが次々と湧いてくる先生たちの姿に微笑ましいものを感じつつ、今はなかなか見られない雑草が校庭に残ることを面白いと思った。自分もすぐ何か面白いことを授業に結びつけようとするから多分これは教師の職業病である。しかし学会発表で出てきた意見で、著者と同じようにハッとする。お勉強にせず、ただワクワクするだけでいいのだ。
雑草のように様々な個性を持ち、それぞれの強みでそれぞれのペースで研究を進める学生たちのエピソードをまた読みたい。そして明日は道端の雑草に注目してみよう。何か面白いことが見つかりそうだ。