【感想・ネタバレ】悩んでもがいて、作家になった彼女たち イタリア人が語る日本の近現代文学のレビュー

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Posted by ブクログ

導入が面白いし、読み込みが深いし、大好き。
とにかく有吉佐和子さんの全ての著者を読み尽くしたくなった!!

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2023年12月02日

Posted by ブクログ

レビューの前に、本書のテーマにまつわる私怨を成仏させたい。(いい迷惑)

高校の現代文で文学が苦手になった。
作家や代表作を時代順に暗記させられる。あんな実を伴わないカリキュラムと空気感では読んでみようと思う方が難しい。
本書にも取り上げられている与謝野晶子は「恋心を情熱的に詠った歌人」という超絶ライトタッチな解説で、情熱よりもよそよそしさの実感が湧いた。そんな風に文学の垣根は次第に高くなっていき、越えようとする気力も削がれていった。

でもイザベラさんは違う。
日本文学者の彼女が大好きな10名の女流作家(「女流」を付けることに”NO”と言う風潮は自分も賛同する)を本書に集結させ、作風や作家自身を好きなように解説している。
長い在日生活によって日本人化が進んでいるのか、彼女は良い意味でイタリア人らしくない。今昔の日本語をたくみに操り(「アウト・オブ・眼中」は久々に聞いた笑)、燃えるような恋愛には奥手、大の銭湯好きで湯船では頭の上に畳んだタオルを乗せている。

しかし「彼女たち」の話になると、水を得た魚のように生き生きと語り出す。手垢までつきそうなくらいにベタベタと作家たちに触れ、時にはゾッとするくらいに褒めちぎる。そこはさすがイタリア人と言うべきか…。
でもそのくらい力説してくれると却って興味が芽生えやすく、結果また積読リストが膨れ上がった。私怨を完全に晴らすべく他の著書も読みたいし、何なら彼女の授業を受けてみたい!笑

彼女たちの生き方はまさに「十人十色」という言葉通りだが、時代の規範からはみ出しながらも自分らしさを貫いた点は共通している。
そこから紡がれる物語や登場人物も、世間がイメージする「女性らしさ」で片付くものでは決してない。樋口一葉の作品も、原文が難しいだけで人物設定から何まで巧妙に計算し尽されている。

「女だって好い児になれ、女だって好い児になれ」

たおやかな女性の代表格みたいに思っていた幸田文さんですら、そういった複雑さを作品の中で垣間見せていた。
幼少期より父 露伴から(!)家政学の手ほどきを受けてきたが、それがのちの作品に活きてくる。世間がいう「女性らしさ」に該当する一面もありながら、よく見ると一筋縄ではいかない。
それが男性評論家やフェミニスト達をも上手く騙しているみたいで地味に痛快だった。『風とともに去りぬ』のメラニーにちょっと近い?

大好きな有吉佐和子さんもピックアップされている。
しかし賞に恵まれなかったのは、「文学」から程遠かったから…という見解が本当だったとしたら、それはいただけない。冒頭に戻るみたいだけど、「これだから文学は!」だ。現代にも通じるトピックを器用に練り込んだ上質なストーリーなのに、一体何を考えとるんだ。
有吉さんはそれを無念と捉えていなかったかもしれないが、やっぱり腑に落ちない。有吉作品の布教を目論む著者とともに、自分もいっぱいレビューしていこう!

あれ、ひょっとしてイザベラさんから熱貰っちゃった…?

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2024年03月22日

Posted by ブクログ

まず、これを書いたのがイタリア人だということに驚く。日本文学を読み込んでさらに文化的背景も理解していないと書けない文章。森鴎外の子供達、孫達のキラキラネームがすごい。当時はさぞかし奇異な目で見られただろうなぁ。樋口一葉、林芙美子に森茉莉、、、ぐっと身近に感じる事の出来る一冊でした。

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2023年11月06日

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