あらすじ
忌名は、いわば生贄だと?
「この忌名は、決して他人に教えてはならん……もしも何処かで、何者かに、この忌名で呼ばれても、決して振り向いてはならん」
生名鳴(いななぎ)地方の虫くびり村に伝わる「忌名の儀礼」の最中に起きた殺人事件に名(迷)探偵刀城言耶が挑む。
人気作家の小説家を、豪華声優による朗読で楽しませてくれるライブ配信「STORY × LIVE」。今作は人気声優、大原さやかさんに朗読していただいた書き下ろし短篇「忌名に纏わる話」をきっかけに生まれた物語です。朗読劇とはまったく違う、長篇ならではの展開を、文庫でもお楽しみください。
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Posted by ブクログ
全てを作者の手のひらで踊らされ続けた。自分の推理力で真相に迫るのもミステリーの醍醐味だが、このしてやられた感を存分に味わえるのもミステリーの醍醐味だ。正直今回の話、あんまり盛り上がらないなと思っていた。事件自体もそこそこありふれている。不可思議な現象も言うほど起きていない。現代のミステリー過ぎて何をどう考えるのが正解かわからない。そんな状態がずーーーっと続いていた。推理章になってもどの推理もやや平凡、最後の結末も筋は通っているが、確かめようがなさすぎて尻切れトンボ感が凄かった。あんまり入り込めないのは僕が寝不足であんまり頭が回っていないからかと思っていたがそんなわけはなかった。最後の最後にとんでもないメガトン級のストレートパンチが僕の顔面に直撃した。それと同時にすべての描写が意味のあるものになってきて、「ああ、してやられた」と僕は悟る。刀城言耶が事件に絡むきっかけにしては何故かそこそこ出番の多い発条香月子。いきなり明かされるが特に発展しない雨乞いの話。河しろ家の理由のわからん村八分。描写に一切の無駄なんかなかった。全ては計算のうちだった。僕はただただ三津田信三の手のひらで阿波おどりを踊っていた。
犯人は尼耳李千子。家柄を重んじる香月子に自分の家が由緒ある家と認めてもらうためには村八分であることがばれてはいけない。そのため殺人をし、葬式を行うことで相互扶助を発生させ、村八分であることを誤魔化した。ここ最近で一番の犯行動機だと思う。こんだけ動機で震えたのは「時計館の殺人」以来かもしれない。それだけの破壊力のある殺人動機だった。最高だ。
Posted by ブクログ
今回も子どもに対して容赦ない地方の奇っ怪な儀礼、「忌名の儀礼」の李千子の体験に第一章から震える。人生の災厄を忌避するための儀礼でありながら、こっちの方が危険極まりないじゃないかw
ヒヤリが半端ないホラーとミステリーの組み立てを存分に堪能した後は、いつにも増して残された事件の謎が大きく、推理が推理のままで終わっちゃったなと油断していたら終章でドカンと真相の爆弾が投下されてやられた~!怖くてしょうがなかった第三章の終わりの伏線がここにきて炸裂しようとは…。
「マジかぁ…」と何度も呟いてしまう読後だった。
Posted by ブクログ
今回は未解明な部分も多く残る結末。それでも許されるのがこのシリーズの特徴である。
八百屋のお七的なサイコパス動機は衝撃的だったが、村人への聴取から尼耳家が村八分であることがバレる恐れはなかったのか。また、遠隔操作殺人というのが現実的じゃなくていまいちしっくりこなかった。約束どおり市糸郎が滝の側で望遠鏡を使う可能性、その望遠鏡が滝壺に落ちる可能性はいかほどか。仕掛けが別の場所で作動したら…望遠鏡が滝壺に落ちず現場に残ってしまったら…李千子も充分容疑者になり得ただろう。
また、李千子の怪異体験は結局何だったのか。なぜ怪異は「生名子」と忌名のほうを呼ぶのか。忌名の儀式にも謎は残る。
謎が残ることに不満があるわけではない(冒頭で触れたようにそれこそがこのシリーズの特徴だからだ)が、今回は言耶の推理が最後まで想像の範疇を出ず、何ら根拠がないものだったため、どこにも足をつけられないまま物語が終わってしまって消化不良だった。