あらすじ
天文学者と旅する宮沢賢治の星空
少年、宮沢賢治は夜空を見上げ、何を思ったのだろう?
見つめる星々の先には、何が見えたのだろう?
天文学者も舌を巻くその正確な天文知識は作品にどう映しだされたのか?
天文学の楽しさを一般の人びとにわかりやすく伝え続けてきた天文学者が、賢治が作品に描き出した天体に私たちを招待する。
この本は宮沢賢治の生涯を天体で物語るプラネタリウムだ。さあ、一緒に旅に出よう!
【内容】
旅のはじめに
第一章 賢治の生きた時代へ
第二章 教師、宮沢賢治の星空
第三章 賢治、大地に根ざす
第四章 ふたたび石に向きあう
第五章 そして、宇宙へ
旅の終わりに―あとがきにかえて―
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Posted by ブクログ
宮沢賢治の作品とその生涯を同時に知られる良い本
宮沢賢治に関する研究にも詳しく、天文学に関する知識も豊富な為、変に調べて無駄に知識がある私でも納得しながら読むことが出来た。
例えば、カンパネルラが賢治が関わってきた人の誰がモチーフになってるか?はよく考察で聞くが、その文献達を綺麗にまとめつつ、著者の意見も書かれていて読みやすかった。
時系列での事実とそこから推測される賢治の世界は、本当の愛が伝わって私も賢治がより好きになった。
Posted by ブクログ
“宮沢賢治“の作品は何度か読んだ事あるし、なんとなくどんな人なのかは知っていましたが、、、この本を見て、宮沢賢治がどんな人なのか、どんな人生を辿ったのか、どんな物語を作ったのかが分かりやすく、とても読みやすく、読んで良かった!と、本当に思いました。
賢治が物語に登場させた星を、夜空で探したいと思ったし、もっと賢治を知りたくなったし、著者の渡部さんの本をもっと読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
宮沢賢治がどんな状況でどんな空を見上げながら作品を書いたのかに想像力と天文学的知識を使ってアプローチしていくのがとても面白かった
読みやすく親しみやすい文体で、詳しくはこちら、と先行研究をしっかりと挙げているところもよかった。
Posted by ブクログ
大好きだったNHKの宇宙番組『コズミックフロント』のホームページ連載をまとめた一冊
宮沢賢治の人生を振り返りながら、その不器用で献身的な人間性に科学がどう関わっていたのかを紐解き、彼が生み出した作品群に現れる星々や自然現象について分かりやすく解説してくれる
星そのものについて掘り下げるというよりは、なぜその星を賢治が選んだのか、賢治が書きたかった想いはなんなのか、といった文学方面での掘り下げに重きを置いている
宮沢賢治の概要として、とても分かりやすくまとまっていると思う
天文学知識を求めてというよりは、宮沢賢治は一通り読んだけれど、もう少し詳しく知りたい!という層におすすめ
先行研究についてもきちんと引用元が明記されているので、この一冊を手始めにして、更に別の研究書へ繋げていくこともできるのが有難い
Posted by ブクログ
「なにがしあはせかわからないです。ほんたうにどんなつらいことでもそれがたゞしいみちを進む中でのできごとなら峠の上りも下りもみんなほんたうの幸福に近づく一あしづつですから。」(銀河鉄道の夜より)
タイタニックの犠牲者をストーリーに登場させている。
映画化された『銀河鉄道の父』が紹介され、
「銀河鉄道の夜」の作品を通して、賢治の父について触れれている。(P.241)
天文学者の目を通した新たな発見もある!
Posted by ブクログ
むかしから星や宇宙の話は好きで、小学生のころ町にできたプラネタリウムによく通っていた。今でも、プラネタリウムの解説員になれるならなりたいと思っているほど。同じころ、鉄道も大好きで、ふたつの要素が並んだ「銀河鉄道の夜」を初めて読んだのは確か小学6年生だった。宮沢賢治がどんな風に夜空を眺めていたのか知れるなら、と思って購読。
著者の渡部先生は国立天文台の所属。きっと、研究よりも発表や観察会によく出られる方なのだろう。とても取付きやすい語り口で、賢治の考え方の推論や彼が生きていた当時の天文界、科学界のトレンドを解説していて、読み飽きなかった。楽しみにしていた銀河鉄道の夜についての解説は後半からだが、それ以外の天体に関わる童話は詩歌についての解説もおもしろく、それぞれもう一度原典を読み返したいと思えるものだった。内容を思い返しながら、夏の星座を眺めるのも楽しみだ。
銀河鉄道の夜からは、通りすがりに親しくなった人たちや、一番大切な友人を亡くして一人ぼっちになっていく寂しさを一番に感じていた。ところが改めて紹介された推敲中の原稿を読むと、むしろ自分の運命を再確認し、家族と前に進むストーリーなのではないかと思うようになった。
「なにがしあはせかわからないです。ほんたうにどんなつらいことでもそれがただしいみちを進む中でのできごとなら峠の上りも下りもみんなほんたうの幸福に近づく一あしづつですから。」