あらすじ
マリリン・モンローの死は自殺か他殺か。世紀の美女の急死にマスコミは騒然、好奇心が突出した取材攻勢に検視官は沈黙の反抗を起こす。奇遇なことにアメリカで冤罪事件を調査していた著者は、くだんの検視官へと到達することになる。大宅賞受賞作家がシャロン・テート、ロバート・ケネディの担当官でもあったトーマス野口に取材し、その謎を探る「M・モンローのヘア」他、人種差別のからむアメリカの実情をひもとくとともに日本の冤罪事件を取り上げ、刑事司法のあり方を問う注目作。
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Posted by ブクログ
マリリン・モンローやロバート・ケネディの遺体を司法解剖した検死官トーマス・野口へのインタビューを中心に、日本とアメリカの冤罪事件・未解決事件や司法制度について考察をめぐらしている。
「モンローのヘア」という通俗的な副題の通り、モンローの死やケネディ兄弟暗殺の謎にも言及してはいるが、むしろ過去の判例史上重要な刑事事件の考察を通して、アメリカにおける人種差別の根深さ、日本の司法制度の前近代性をあぶりだしていることが重要である。
30年以上前の古い本だが、日本の司法の構造的欠陥はなんら変わっていないので(権力と一体化したがる大衆の司法への介入、被疑者や少数者への攻撃はむしろ悪化している)、今日でも十分に読む価値がある。