あらすじ
ロバと歩いて旅したい。新聞記者の職を辞し、「私」は旅に出た――。雌ロバ、スーコとの旅路で一躍話題を集めた著者が、朗らかなロバ達と歩いた日々、出会い、別れ、葛藤をしなやかに綴る。
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Xでずっと見ていたロバと旅する作者の本。時間がかかってしまったけれど読み出すとスルスルと読める文章で、リアルな旅なのに異国の地名や風景はまるで異世界のよう。童話のような世界だけど追い剥ぎにあったり銃を向けられたり波瀾万丈。けれどチャイに誘われたり家に呼ばれたり人の温かさも感じられる。読めば誰もがロバを好きになると思う。2頭のロバ、ソロツベ、スーコ、そして新たな相棒クサツネ。クサツネと日本を旅した『ロバのクサツネと歩く日本』が発売予定らしいので予約しよう。
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個人的な体験ですが、遠野のクィーンズメドウという所に4泊5日宿泊して、毎朝30分、ただただ、草をはむお馬さんのそばにいて、心癒され、すっかり魅了されました。
ある日、Xのおすすめに、ロバのクサツネと旅する晃太郎さんのツイートが突然現れ、すぐに遠野のお馬さんを思い出しました。
馬とロバは、たぶん全然違う生き物なのだろうけど、晃太郎さんの気持ちが、東京で暮らす私にも、すぐに想像できて、「いいなぁ!すてきだなぁ!」と思いました。
そこから、もっと深掘りしたくて、この本に辿り着きました。すごく良かった…!!幸せな気持ちになれました。
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のどかな旅の記録だと思って読み始めたら、存外に過酷で驚かされた。なにしろいきなりロバが死ぬ。筆者が命の危機に晒されるのも一度や二度ではなく、時には雨風に心折られそうになりながら歩く。まるで修行僧のような姿に「自分には、こんな旅路は絶対に無理だ……」と恐れ戦く。
それでいて、書き味はすっきりと読みやすい。
筆者は「ロバほど感情に素直な生き物はいない」と言うが、わたしには筆者もまるでロバのようだと感じる。旅路の最中で、嫌なこと、苛立たしいこと、不快なこと、面白いこと、ありがたいこと、幸せなことに筆者は出会う。人の好意にも悪意にも晒される。そのひとつひとつに怒ったり喜んだりし、しかしあっけないほどに気持ちを切り替えながら旅は続く。ロバの写真見たさに読み始めたのに、やがて筆者そのものに面白さを感じていることに気がつく。
奇しくも筆者とわたしは同年代だ。34歳(2023年時点)というのはとても微妙な年代で、若者ではなく、しかし老成というにはまだ早い。キャリアがある程度固まってくる年代だからこそ、人生のあまりの長さに挫けそうになる。そんな同世代の目からして、筆者の生き様はいかにも危なっかしい(筆者自身も度々不安を口にする)。同時に憧れる思いもある。自分がそうなりたいというわけではない(絶対無理だ)、旅人という生き方に対する畏敬の念に近い。
旅路はX(旧Twitter)にて今も綴られている。そこだけ聞くといかにもイマドキ風だが、実際覗くとわかるが結構内向きなのだ。今の時代、いくらでもマネタイズできようものを。その辺の不器用さに焦れったくなり、でもそれこそがこの筆者の持ち味だよなあとも思う。
見知らぬ旅人に一宿一飯を施すひとのことを、かつては不思議に思っていたが、この本を読み終えた今は少しわかる。旅行へは誰でも行けるが、旅人は誰でもはなれない。旅人になることを決めたものに旅人でない者ができることは、旅の無事を祈ることと、幸運にも出会えたならば一宿一飯をご馳走することくらいだ。お代はいらない。代わりに彼らの愛するロバの背中をひと撫でさせてもらえれば、それでいい。
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SNSでロバと日本を旅されていることを知りました。失礼ながら、最初はバズることが目的なのかと思っていたのですが、本を発売するタイミングで鍵アカウントになったり、ポストの内容から、有名になることが目的ではなく、この方にとってはただ「ロバと旅をする」ことが当たり前なのだと感じました。
この本にも、Twitterは昔でいえば旅先から手紙を書くようなものとあり、納得がいきました。
SNSでもロバがかわいそうなど過剰な愛護の声がありますが、一緒に歩き荷物を運んでもらいお別れの時にはこの方なりの精一杯の愛情を感じました。毎日を共に生きるパートナーというロバと人間の本来の関係が描かれていると思います。
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コロナ前の話ではなかった!というところでまずびっくり。ロバのイメージがますます固くなる方向で、変わるわけでもないのにもびっくり。読んでてしんどくならない話の持っていき方が今風だなあ。
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ロバと共にあてのない放浪の旅へ。
イラン、トルコ、モロッコでの、ロバとの出会いと別れ、
人々との関わりを綴った、旅行記。
・はじめに
第一部 イラン 第二部 トルコ 第三部 モロッコ
・おわりに
スーコはモロッコで旅を共にしたメスのロバ。
トルコではオスのソロツベ、イランでは名付けなかった。
名付けたことで愛着が湧いてくる様子には、
歩きたいという気持ちを与えてくれたロバの相棒感が増している。
ロバと歩いたことで出会う、人の情けや助けとトラブルや危険。
直に接するその国の厳しい事情、アフガニスタン人のこと。
現地でのロバの実情にも触れている。
ロバといつまでも歩いていたい。でも別れはやってくる。
長らく共に歩いたロバを人に託するときの想いは、切ない。
実は、ロバについては関心があって調べていたのですが、
物語や絵本ばかりで、馬の本に添え物的に載っているだけ。
もっと生態を知りたいと思っていたので、
この旅行記で写真や文に現れる生態を知ることが出来たのが、
大変有難かったです。
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イラク、トルコ、モロッコをロバと旅する。
都度パートナーは変わり、そのたびにその個性に翻弄される。旅の終わりには別れの寂しさも。
にしても、トラブルはあれど、出会う人々の優しいこと。
旅人をもてなす心が素敵だなと思う。
様々な土地を訪ねてみたくなる。
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Twitterで、トルコやモロッコの親切な人々との交流等、楽しそうな発信を見て、私もソロツベやスーコと一緒に歩きたい! 旅したい! と思っていましたが、本書を読んでみると、実際にはたくさんの危険があり、驚きました。
淡々とした語り口の著者ですが、本当に旅とロバが好きでなければできない日々の積み重ねがあり、特にロバたちへの気持ちが深いことが、本作を通して伝わってきました。
一方で、ロバのほうは悲しい別れの際でも、意外にあっさりしていたり、気持ちが一方通行気味なところも面白かったです。
現在は日本を旅しているそうなので、私もどこかで出会えないか期待しつつ、これからも応援を続けたいと思います。
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この本を読みながら『深夜特急』を思い出していた。独白のような語り口、少し冷えた目線が似ているように思う。自分では決して出来ない旅を味合わせてもらえた気がした。
トルコでの相棒ソロツベ、モロッコでの相棒スーコ、どちらもかわいい。2頭とも今でも満足に草を食めているといいな。日本でのクサツネとの旅もまた本として読めたらいいなと思う。
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イラン、トルコ、モロッコをロバと旅した記録。イランでは警察に急にロバと引き離されてしまうが、トルコではオスのソロツベ、モロッコではメスのスーコと、のんびり歩いて旅をする。土地の人の温かさと、旅の厳しさと、ロバのマイペースさと、なんとも味わい深かった。
チャイをご馳走して話をして仲良くなる、そんなイスラム圏の人たちの暮らしがとてもよい。
最後に書いてあった、SNSで別れたくない人と繋がっていられるようになった現代、人は別れるのが下手になったという言葉に胸をつかれた。千キロ以上一緒に旅をして愛着が湧いたロバも、現地で次の飼い主に渡して別れる。たまたま出会った人とロバが一緒に旅をして、別れるべき時に別れるそのサバサバした関係こそがあるべき姿なのだと思った。執着や束縛になってしまうから、というのは本当にそうだなと思う。一緒に旅をしてくれる、旅をさせてくれるロバに感謝して、その時が来たら別れるというのは、人と人との関係でもきっと同じくあらまほしい姿なんだろうなと思う。
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ロバのスーコと旅をするのはモロッコ、その前のトルコはロバのソロツベと旅をし、その前のイランで旅したロバには、名前はない。
ただ歩く旅ではなく、ロバと一緒に歩く。コロナ明けの2022年イランに舞い降りた著者は、現地でロバを買い、共に旅する。追い剥ぎにあったり、犬に襲われたり・・・完全に安全な旅ということではないが、多くの人たちの親切で旅を続ける。交通機関を使えば安全な旅ができるんだけど、路上を歩き、路上に寝る旅は、それが日本だってリスクがあるように、同じ程度にリスクを抱えながら旅を続ける。そんなリスクを抱えても、個性あるロバとの旅は楽しい。
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世界を放浪と聞くと、人類みんな友だち愛してるぜウェーイという印象を抱くが、意外にも堅実に歩を進め、計画の立て方も無理しないところに好感が持てた。現地の人たちの親切と、容赦のない差別も興味深い。
人間以外の生き物がそこにいてくれることの大切さを思った。これからもSNSで旅をおすそわけしてほしい。
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タイトルから和やかな雰囲気を想像して読み始めましたが、旅の入り口から思わぬつまづきがあり、その状況やロバに対する作者の冷静な目線はノンフィクションなんだなと、当然の感慨を受けました。
勝手に、作者はロバへの愛着や愛着を起点に物語が構成されてると考えていた分、少し物足りなさを感じつつ、読み進めると少しずつロバに気持ちが入っていく様子があり、温かい気持ちになりました。
現代の人は、別れ下手というのが印象的でした。
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X(旧Twitter)で、ロバのスーコと旅する太郎丸さんのツイートが偶然目に入り、この様な生き方をする若者がおられるんだと注目し、本を出されたので楽しみに拝読。
ロバと徒歩の旅というと、ロマンティックに考えがちだけど、現実をありのまま書かれた著書は、知らない世界を見せてくれ、面白く、時には危険な事態にハラハラ。
毎日乗り慣れた通勤電車内で読んでいて、旅の世界に引き込まれて降りる駅に気がつかず、乗り越してしまうくらい、夢中になった。
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作者の、日本人が別れ下手になっているという考え方がなんとなくいいと思った。
最後のほうで内澤旬子さんの話が出てきて、この間著書を読んだばかりだったのでおもしろかった。
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著者が、ロバと一緒にイラン、トルコ、モロッコを歩いて旅する。
「スーコ」という名前のロバは、モロッコにしか登場しない。
トルコで旅をしたソロツベと名付けられた雄のロバ。濃いキャラで声を上げて笑ってしまった。
日本では考えられない各国の人の受け入れ能力。文化の違いを感じた。
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ロバは寓話に出てくるイメージが強く一緒に旅をする事がイメージができなかった。この本を読み始めると不思議とその場面が目に浮かびロバ達に愛着がわいてくる。どこかでスーコーが草を喰んでいると思うとほっとする。
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動物を旅する本二冊目。今回は徒歩だ。歩いてどこへでも行けることを実感した筆者は、ロバと徒歩で中東イランからトルコ、アフリカ大陸モロッコを旅する。ロバって可愛いな。旅はできないけど、田舎に住んで、ロバと暮らすのもいいな、と思えた。
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Twitterでロバと旅する様子を書いていた人。2023年夏現在は、日本をロバと旅している模様。 目的があっての旅ではなく、そういう意味でも本として読むよりは、Twitterのつぶやきで様子を知る方が向いているような気がする。 タイトルのスーコは、本書終盤、モロッコの旅の相棒で、途中までは別のロバとの旅。
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この人よく生きて帰れたな。よりにもよって危険な地域ばっかり、ロバ連れて旅するなんておとぎ話みたいなこと、そりゃ現地の人が信じないでしょう。それでもかなり親切にしてもらえて、ものすごくラッキーだったとしか思えない。ロバの立場が可哀想で何とも。そんなにこき使って(現地人の)バカモノ呼ばわり、ひど過ぎる。
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ロバと歩いて旅したい。新聞記者の職を辞し、「私」は旅に出た――。雌ロバ、スーコとの旅路で一躍話題を集めた著者が、朗らかなロバ達と歩いた日々、出会い、別れ、葛藤をしなやかに綴る。
すごい、こんな突拍子もないことを考えて実行まで移す人がいるのか~~。世界は広いなと思わざるを得ない。もうとてもじゃないけどいろんなリスクを考えて私にはできない。だからこそ他人事で面白いんだろうな。様々なトラブルがある中でもちょっとのんきに旅する人間とロバ。でもロバにしたら突然連れまわされ長距離歩かされて、可愛そうなのかもしれないと思ってしまった。死んでしまったり結構ショックな場面もあるし、単に面白かった!と消費していいのか少し引っかかるところはある。
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読書記録6.
『ロバのスーコと旅をする』
高田晃太郎 著
現在ロバのクサツネと共に日本国内を旅している著者さんのsnsを見て読みたくなった一冊(24年2月7日現在四国を進行中)
イランやトルコ、モロッコを歩いて旅する
しかもロバと共に歩いて
旅先で出会う人々やそれぞれの民族、宗教、地域や気候、住居など
よい部分もそうではない部分も含めて淡々と描かれている
共に歩くロバとの巡り合い
あたたかく迎え入れてくれる旅先の人々とのやりとりはこの著者さんのパーソナリティあってこそなのだと読みながら感じ入る
日本で現在進行中の旅もクサツネと著者様のご安全を願っています