【感想・ネタバレ】政治学(上)のレビュー

あらすじ

「人間は国家を形成する動物である」。この有名な定義で知られるアリストテレスの主著の一つで、後世に大きな影響を与えた政治哲学の最重要古典。王制と独裁制(単独者支配)、貴族制と寡頭制(少数者支配)、共和制と民主制(多数者支配)。六つの国制を基盤に現実的な最善の国制を探究する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

国家とはどういうもので何を目指しているのか、そして最高の国家とはどういうものか、先人の見解も紹介しつつ考察していく本。
国家を「人が善く生きることを目指す共同体」と位置付けて、その発生過程や基礎となる家庭の運営について考えるところからはじめ、プラトンなど先人の国家観を検討・批判する。そして国家を構成する市民を「任期の限られない仕方で公職に就ける人々」として細かく検討し、さらに国制を「どのような人々が権力を持つか」に着目して王制・貴族制・共和制・独裁制・寡頭制・民主制の6種類に分ける。当時初期の小規模国家の体制ととらえられていたらしい王政について考察してから、現実的に成立できそうな中での最高の国家について検討を重ねていく。当時ありがちだった寡頭制と民主制をうまく混合した政治制度を作り、中間層を厚くするのが良いというのがアリストテレスの考えで、ここまでが上巻の内容。
女子供と奴隷は自然本性的に支配されるべき存在であるという前提から出発する序盤はさすがに少々面食らったけど、単純に権力を持つ人数の多さで国制が分類されるわけではなく、寡頭制は富を基準として権力を配分する正義を持ち、民主制は自由を基準として平等に権力を分ける正義を持つというのはなるほどと思った。
プラトンの「国家」「法律」から継承した部分もありながら、細かなところの批判がたくさんあるのは対抗心が見えて面白い。

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2024年07月17日

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