あらすじ
老境に差し掛かるころには、人の「深み」の差は歴然と表れる。そして深みのある人は周囲から尊敬を集める。だが、そもそも深みとは何なのか。「あの人は深い」と言われる人が持つ考え方や習慣とは。深みの本質と出し方を、人気教授が解説。
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Posted by ブクログ
何となくタイトルに惹かれたので購入。
「深み」という言葉はかなりの抽象概念ですが、本書でも「深さ」を様々な解釈で評価し、その在り様から獲得のヒントが述べられます。
中には「それって”深さ”と呼べるの?」と感じる点もありますが、広く意味解釈していることは悪いことではないと思います。
それ以上にこの「深さ」という言葉をキーにして、古典の引用から著名人のエピソード、そしてこれらの著者なりの解釈が参考になります。
読めばわかると思いますが、本書の内容は結構浅いです。サクサク読めるという点では良いことですが、「構成や論展開が単純だなぁ」だったり、古典やエピソードの引用が多いので自身の文献知識を用いたスピードリリース本の典型、みたいに感じる方もいると思います(私もそう感じなくはなかったですが)。
しかし重要なのは、著者が「深み」そのものではなく、「その観点を提供してくれている」ということではないでしょうか。著者も本書の冒頭で述べていますが、「"深み軸"という自分なりの尺度を持つこと」が重要だということです。
著者は教育者なので本人なりに執筆の動機があったのでしょう。それは本書にも触れられていますが、若者を中心に(SNSやYOUTUBEなど)タイムパフォーマンスを意識したコンテンツになじむ一方で、深みのある機会を失っていること(著者は「"浅瀬"で遊んでいるばかり」という表現をしていますが、少しドキッとしました)。
深さを知る人間は、同じものを見聞きした他人と比べてはるかに大きな喜びや感動を得ることができるし、そういった機会を数多く経験することが人生の目的であると考えていること。そういったある種の「もったいない」精神から本書をリリースするに至ったのだと思います。
私もそれに大いに共感しますし、それがゆえに本書の内容をヒントに自分なりの「深み」を追求したいと感じました。