あらすじ
ほんとに夜型? 天敵は何? 大きさはどうやって決まる? カブトムシの生態を解き明かし、仮説の立て方、調査方法なども解説。自然研究の魅力はここにある。
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Posted by ブクログ
著者はカブトムシを中心に研究をしている研究者で、子ども向けの本もたくさん出している。
これは中学生以上という感じだけど、内容は小学生向けと似たようなものだろうと思ったら、違いました。
テーマ(謎)を見つけて仮説を立て、実験・観察を行って実証するということをやるのは研究者としては当然だけど、著者は近場でできるもの、短い期間でできるもの、専門的なソフトや機械を使わずに行えるものをたくさん行っており(それを本書で詳しく紹介)、生き物に興味がある人、将来研究者を目指している若い人にめちゃくちゃ参考になるのである。
著者がアドバイスしたことで、小学生が素晴らしい研究を行い、学術論文として発表し、評価されたことも詳しく書いてある。要するに、良い研究者であり、良い先生でもあるのである。
カブトムシは中南米と東南アジアが分布の中心で、日本のカブトムシは角を持つ大型のカブトムシとしては最北に分布する特異な存在。子どもたちに人気なのは言うまでもなく(最近は昆虫に興味を持つ子どもが減ってきているようだが)、研究はとっくにされており、謎なんか大してないんじゃないかと思っていたが、意外に大学や研究機関ではあまり研究されておらず、謎も多いのだという。
なぜか。それはいくつか理由があるのだが、一番ショックを受けたのは、カブトムシが害虫でも益虫でもないため研究しても役に立たないと、研究費がつかないから、という点。だから外国の研究者が日本のカブトムシを研究しているそうで、日本の学術研究に対する意識の低さを改めて実感した。カブトムシに限らず身近な生物は、他の生物や環境と関わり合いながら生きているわけで、それを害か益かだけで研究するかどうか判断するのは愚かなことだと思う。
これを読んで欲しいのは、小学生以上の生物や研究に興味のある若者。そして文科省をはじめとする政府関係者ですね。私はどちらでもないけど。
Posted by ブクログ
カブトムシ(他の虫の記述もあり)に関して、基本的なことから最新の研究まで記載されており勉強になりました。
著者のエピソードが随所にあり生き物好きであることがよく伝わってきました。
・学問的なバックグラウンドがないと目の前で面白いことが起こっていても気づけない
・探し方を知る。引き出しが多いほど観察が楽しくなる。覚えればそれしか目につかなくなる。
・身の回りに少し注意を払うだけで、世界が広がる、人生が豊かになる
といった内容について共感しました。