あらすじ
スウェーデンは社会保障が進み男女平等が徹底された福祉国家であると讃美するのも、税金が高く社会主義的な国であると批判するのも、一面しか捉えていない。「伝統的な家族」は崩壊してしまっており、母子家庭・父子家庭や片親の違う兄弟も普通のことだ。ボルボやサーブが破綻しても政府は救済しないなど、米国以上に市場原理主義的な国でもある。その特異な社会・経済を理解するためには、国家を支える理念と、それが生まれた背景を知る必要がある。戦後の高度成長期に必要とされた「国民の家」の理念は、H&Mやイケアの企業戦略、年金制度改革などに、どう実践されているのか。スウェーデンは福祉を経済成長にもつなげている。しかし、それを表面的に真似ても、うまくはいかない。この国から学ぶべきは、個々の政策ではなく、政治・制度に対する国民の信頼という無形の社会資本を形成し、担保するしくみだ。日本がとるべき道を示唆する
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
他に類を見ない、独自の社会・政治システムで現代を生き抜いていくスウェーデンについて総合的に書かれています。
内容は、スウェーデンが現在の状況に至るまでの歴史的流れや、頻繁に取り上げられる社会保障システム、スウェーデン企業のスタンスや、政治指針など、総合的内容が素人にもわかりやすく説かれています。スウェーデンは移民問題に直面していますが、世界規模で先進国が高齢化社会に突入し、経済が低迷下する中で、古くからいかにプラグマティックに問題に取り組み、それを支えるための情報の透明性の維持を重視し、なにより政治への国民の信頼を大事にしてきたことで、極めて柔軟に時代に適応してきたかが本書を通して論理的によくわかります。良書でした。
Posted by ブクログ
スウェーデンにあって日本にないのは、政治に対する信頼…、という結論。ほんとだねー。選挙に行くけど、誰に入れたらいいか分からない国、ニッポン。投票率が8割ってすごい。
Posted by ブクログ
伝統的な家族の崩壊を受けて、国家が「国民の家」となる制度が出来上がったこと。国民の負担が増えてでも、持続可能な制度を構築することを重視したこと。福祉政策がむしろ経済を成長させる効果を持つこと、などについて書かれています。
日本にとって必要なのは、明確な未来のビジョンを持ち、国民の間で共有すること。情報公開や透明性を徹底し、政治への信頼を取り戻すことだとまとめておられます。