あらすじ
中村明日美子初のサイコ・サスペンス、描きおろしエピローグ22pを加えて、ついに感動の完結!誰が『ウツボラ』を書いたのか?謎の死を遂げた美少女「朱」。入れ替わるように作家・溝呂木の前に現れた、「朱」とそっくりな美少女「桜」。溝呂木の最新作『ウツボラ』が盗作であることに気づく編集者の辻と、少女の正体を追う刑事達。それぞれの思惑が絡み合い、物語はクライマックスへ。「顔のない死体」とひとつの「小説」をめぐる物語。すべての謎が、いま明かされる――。
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Posted by ブクログ
「ウツボラ」という一冊の小説を巡る愛と狂気と官能の物語。誰が誰なのか?私はあなたを知っているけれど、果たしてあなたは私が知っているあなたなのか?
謎が謎を呼ぶ、藪の中的展開の一巻から一転徐々に全容が明らかになっていくラストに鳥肌が立つ。所々に散りばめられた付箋に脱帽。まっとうな人生を歩んできた男の堕ちていく姿がエロティックで狂おしくて切なくも哀しい。
狂った世界で唯一清らかな存在だったコヨミと、生かされて生きる選択をした彼女が交差するシーンに、女性の力強さとしたたかさを感じます。明日美子さんの漆黒の魅力が最大限に溢れた作品です。
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誰が三木桜で誰が藤乃朱なのか。誰がウツボラを書いたのか。溝呂木とそれぞれのシーンで会った女性はどっちなのか。
そういうのをラストシーンから時系列逆算して表にマッピングしていきたいくらい入り組んでてわかりにくいお(^ω^)
でも、そこまできっちり判別せずになんとなく雰囲気で読んでいても非常に面白かった。
精神がおかしな人ばかりの作品の中、一服の清涼剤あるいは箸休め的存在のコヨミちゃんはかわいらしく一見まともなようで、やはりこの作品のキャラに相応しい狂気も孕んでいる。
まっとうな性格の登場人物というのは望月刑事と矢田部先生の二人だけだったと思う。
そう、矢田部先生は最初から最後までその眼力が凄くて大正義だった。
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思ったよりサイコな感じにはならなかったけど、試されてるような駆け引きされる展開。
そして結局は最後まで明言はされていなくて、初読じゃ解釈が難しい。
どうしようもない思いつめた感じがそれぞれ絡み合って、静かに悲しみが満ちてせつない。
それでも、やり遂げた彼はもう戻ることはないんだなぁ。
仄暗い狂気と、どこか覚めた冷ややかな情事が印象的で素敵です。
2巻目はさらに
中村明日美子先生のミステリーは初めて読みました。2巻は1巻以上にさらに難解というか、え?どういう事?と何度も返し読みをしました。辻さんまじか…という場面も多々。
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出版物を巡っての登場人物それぞれの思い入れがどの考えも一概に間違ってはいないなって思えました。
文豪の行く末の儚さが悲しくも素敵だな終り方だなって思いました。
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心理描写が複雑な作品。
何度か読み返してなぜあの人はあのようなことをしたのかわかる位複雑です。
ミステリー小説を漫画で読んでいるような作品です。
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どっちがどっちで、どうしたかったのか
ぜんぶ考え続けられたら
この世界は生き続けるんだよなっておもうことにした
最後に
作中の作家さんもてるのかあ・・・・って思って読んでたけどラストの色気に納得した
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明日美子さんの絵はカラーだと抵抗を感じていましたが、実際漫画を読んでみるとすんなりと読めました。綺麗な女性の曲線を描きます。
とても混乱し、とても官能的で、本能的で、それでいて、最後には物語に入り込んで泣いてしまった。
Posted by ブクログ
最後まで読んでも、だれ?どっち?どうして?と謎が深まるばかりでしたが、間違いなく名作です。
文学的な側面は他の方が絶賛してるのでおいといて、俗っぽい目線から。
溝呂木先生が情けなくてかっこ良くて卑怯です…!
老成した作家と見せかけて、ヒゲを剃った後の顔や過去を見ると、実は多分40代くらい…?
一番初めに「藤乃朱」を会ってから◯◯されるシーンなんかはゾクゾクします。
中村明日美子さんの描く官能的なシーンはなんて艶かしくて美しいんでしょう。
Posted by ブクログ
一気に読んでしまった。ネタバレになってしまうから多くはここでは書かないことにするけど、とにかく一気に読んだ。すごく独特の世界なので好き嫌いは分かれると思う。いろんな伏線を辿りにもう一度読みたい。
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うーん、うーん…面白かったんだけど
わからんー。
結局自殺したのはどっち?
と、考え込んでいるのは自分だけではなかったようなので
ちょっと安心(笑)
きっと解釈はいろいろあるんだと思う。
それでいいってことで。
絵はいつものようにエロティックで素敵。
どっぷりと浸らせていただきました。
Posted by ブクログ
1,2巻読み終える。
購入を躊躇って、本を握りしめていた過去の私に言ってあげたい。
さっさとレジへ行きなさい!(笑)
なんて凄い引力!
息つく間も惜しく、夢中で読む。
謎の真相に追い付きそうで、置いてけぼりをくらい、読み進め、読み返す。
あっちとこっち。
主観と客観。
境目の危うさ。
真相の解釈は難しいです。
が、魅力的な登場人物の言動に胸が苦しくなり、凛としたラストに心を持っていかれました。
本当に読んで良かった。
ようこそ私の本棚へ(笑)
Posted by ブクログ
ダメだ…非常に混乱している…
話の軸は至極明快なはずなのに、そこに複雑に絡み合う個々の想いと、圧倒的な見せ方とで、わけがわからなくなってしまう
このウツボラという作品は作中に出てくる「ウツボラ」をなぞっているのかな…?
かといって「ウツボラ」がノンフィクションなわけではなく…
作家、溝呂木舜はいろいろな形でたくさんの人間に愛されていたということはわかった
「次」につなげられない溝呂木だからこそ、作家としての生き方、そして死に方を選んだのかな
溝呂木が「次」へとつなげる人なら、一番大事だった人を一番幸せにできたのかもしれないと思うとちょっと切ない
そしてその溝呂木が一人の女(正確には一人ではなく二人かな?)を救う
「次」につなげない男が「次」につながるものを救う、結果的に「次」をつなげたところには痺れたね
溝呂木は多分アレだよね…?辻と「桜」の描写はそれを示してるんだよね…?
「桜」のお腹の子の父親は多分辻だよなぁ…?
「桜」は結局、「朱」になった秋山富士子を演じてたってこと…か?
富士子=藤乃朱で「藤乃朱」、つまり溝呂木の作品の中の人間になりたかったってことだよ、ね?
…と考えたけど、ううん、難しい
また何回も読む内に解釈も変わりそうだ
読む人によって解説の幅がある作品てのは素晴らしいよね
登場人物の心情描写が生々しくて、どれも理解できるんだよなー
コヨミが健気でかわいいこんな嫁がほしい
先生の髭剃り後は男前すぎるが、「朱」にいいようにされてた先生エロくて萌える
Posted by ブクログ
作画も然ることながら、ストーリー展開とコマ割りが上手な作家さんだと思いました。
ページめくったら突然、恍惚とした少女の顔とか。
最後のお子は先生の子だよね。
Posted by ブクログ
最高のエロ漫画だった。
エロスを突き詰めると結局はタナトスになってしまうって、たしか写真家のアラーキーも言っていたけど。
これはたぶん「幸福論」なんじゃないだろうか。
生の情動と、死の情動。追加されたエピローグのラストカットには、この相反する二つを同居させた象徴のシルエットが、強く美しく描かれている。
ジャンル分けは難しいが、やっぱり端的に「エロ漫画」が相応しいと思う。
作者の方、見事な完結ありがとうございます。至福でした。
Posted by ブクログ
そして5月に出る2巻・完結編に期待
5/17追記:買って読んだ。傑作である。が、もひとつよくわかってない気がする。細かい伏線もいろいろあったように思うので1巻から読み直してみなければ。でも巧い。巧すぎる。
Posted by ブクログ
やはりわたしの理解力が乏しすぎるため
他の方の解説を見ながら5回くらい読んで
ようやく納得できるところまで到達しました。
2巻に入ってから三木桜の表情や感情にも変化が
現れ始め人間らしくなってきたところが個人的に
お気に入りです。
あとは髪型が徐々に変化していくとこもよい、、
ボブも素敵だったけど…
ミディアムヘアの三木さんも素敵。
中村先生の描くキャラクターは魅力的。
最後の1頁に思わず鳥肌が立ってしまいました。
最初から最後まで「美しい」
そんな一言がぴったりな作品でした。
Posted by ブクログ
よくできたミステリー。
顔のない死体→双子、とくれば陳腐になりがちだが、
ここに創作物への過剰な愛、という要素を入れ込むことで、
「登場人物になりたい自分」という胸をうつ展開に。
一種の創作論にもなっている。
さらには種を残せない身体というギミックは、同性愛というテーマにも重ねられている。
蠱惑的重層的。
Posted by ブクログ
『エロ』ってグロテスクだし、油断するとすごく滑稽なものに成り下がります。
でも中村明日美子が描く『エロ』は違うのです。
隙がなく美しい。
艶かしい描線は冷ややかな感触で、溝呂木の「温かかった」という言葉が際立ちます。
静謐さの中にある温度の低い狂気。
謎は謎のまま、読者の共感も拒み、でもそれが魅力の漫画です。
Posted by ブクログ
あれっ……誰が誰だか……
………。
溝呂木さん、髭がないと一気に若返りますね。海のシーンは爽やかすぎてすごくびっくりしました。
辻さんはどうなったんでしょうか。
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二巻でてたー!
うん、良かった。終わり方も綺麗だ。淡白なタッチでなければ濃厚なエロス漫画になっただろう。レトロさがとても良い、個展文学のような雰囲気がある。
Posted by ブクログ
2017/04/20
一度読んだだけじゃ何も書けねぇよ!!pt.2
各々の前に垂れ下がっていた糸を手繰り寄せたり
引っ張ったり括ったりな二巻。
時系列が前後してるから難しいんだな?
考察サイト読んで再度照らし合わせながら読んでしもうたけど、ごっちゃになるorz
落ち着いて再読したいと思います
先生が最後の最後で本当の姿を見せてきた時にゃ眩んだ。
胸のざわめきと鼓動で苦しかった二巻。
三木桜と藤乃朱(秋山富士子)が報われそうな展開は好きになれなかった、コヨミに情が湧いてしまったので星3。面白い本だけど先生を失ったコヨミが可哀想だもの
Posted by ブクログ
日頃、世間のペースやリズムとのズレを痛感しながら生きていて、
急にフッと少し前に出ていたマンガを読む気になって買ってみたら、
それが「盗作」を巡る話というか、
「その作品の真の作者は誰か」という物語だったので、
ある意味タイムリー【※】だな~、と苦笑してしまった。
それはさておき。
創作に行き詰った作家が、編集部にて、
新人賞応募作の山から見覚えのある作者名を発見し、
原稿を無断で持ち帰り――つまり盗んで、自作として連載を開始。
タイトルは『ウツボラ』。
見覚えがあったというのは、自宅ポストに原稿を投函し続ける
ストーカー紛いのファンがいて、まさにそのペンネームだったから。
しかし、相手は自殺し、
双子の妹と名乗る瓜二つの女性が接近してきて彼を翻弄する……
といった筋立てで、彼女の正体と目的は何か、
問題の小説の本当の執筆者は死んだ女か現に生きている女なのか、
あるいは――というサスペンスミステリ。
小説における叙述トリックにも似た仕掛けがチラホラ見受けられ、
それらを押さえていくと真相らしきものが浮かび上がってきます。
上手い。
そんなこんなでストーリーは大変面白いのですが、
主人公および彼に纏いつく女たちの人物造形がどうにも気色悪いです。
常に×××が×××[自主規制]いるかのように
ベシャベシャしててヤダ(笑)
ラストも、
ああいうイタイ人たちに救いがもたらされるパターンって
苦手なんだよなぁ。
でも、主人公の姪・コヨミちゃんが素直でかわいい。
彼女には幸せになってほしい。
ガチのネタバレ覚え書きは非公開メモ欄へ。
【※】
2014年3月10日現在、
疑惑の作曲家騒動第二幕、居直り謝罪会見(笑)に
世間の耳目が集まっております。