あらすじ
大学三年生の佐倉聖は弟を養うため、就職を決意。
元大物政治家・大堂剛の事務所でアルバイトをしながら、コネに頼らずシューカツに励んでいる。
秘書三人連続退職、当落を予想する“神”の正体探し等、奇妙な謎を軽やかに解決する聖だが、
インターン先を突然クビになるなど、悪戦苦闘。
ところが、エントリーしていない会社から五通の「内定」通知が届き……。
ベストセラー「しゃばけ」の著者が贈る、ユーモア青春ミステリー!
当シリーズ誕生秘話を盛り込んだ文庫版あとがき「主人公・聖と物語の始まり」を特別収録。
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Posted by ブクログ
就職活動のとき、自分にどんな仕事が向いているかなんて全然分からなくて、志望動機と言われてもそれっぽいことをうまくまとめられなくて、うっすいことしか書けなくて途方に暮れたことを思い出す。
氷河期と言われた時代だったこともあって、とにかくちゃんと働いてそれなりにお給料が出るならいい、くらいの勢いだった。そのなかで、自分に結構向いてたんじゃない?と思える職種に入り込んだんだから、とりあえず自分のことは褒めてあげたい。
というわけで、いざ就職活動となって、給与や福利厚生の条件ばかりが膨らんで、どんな仕事をしたいのかに迷ってしまう聖の気持ちはよく分かる。ついでに、なんでもいいならここでいいじゃんと言いたくなる周りの大人の気持ちもとても分かる。だって多分向いてるし。
自分の適性は自分では分からないのかも、というよりも、ハタチそこそこの学生に、自分で適した職業を選択せよという方が無理があるのではとか思う。
最近の学校では、どういう職業に就きたいのかから、何を学ぶか、どんな大学に行くかを考えて、というようなことをさせたがるし、それがキレイなルートだとは思うけれども、そこに乗らない仕事も山ほどあるよとも思うのだよ。
だからといって、周りの大人で就職先を決めてしまうこの結末もいかがなものか。
前作がすごくよかった、わけではないのだけれど、シリーズの次が出ているならば読んでおこう、という感じで手に取った2作目。
ちょうど選挙のタイミングで、タイムリー……ではあるかもしれないけれど、そこまで選挙活動が深く描かれているわけでもなく、今回は特に聖の就活の方がメインテーマ。元大物議員の事務員、という立場をうまく活かせているのかいないのか。
日常謎解き系としても、まぁ普通。前作の方がおもしろかった気がする。
ついでにやっぱりどうにも登場人物たちが話す言葉にところどころ古い言い回しが混ざってくるのが違和感として残ってしまう。