あらすじ
宮城県出身の菅野直は、石川啄木を愛し、短歌を詠む文学少年であった。そんな彼は、祖国日本を護りたい一心で戦闘機乗りになる。赴任した南洋では、零戦を駆って敵戦闘機と死闘を繰りひろげた。戦局が日増しに悪化するなか、本土防空のために松山基地で新編成された第三四三航空隊(通称「剣部隊」)に召集された菅野大尉は、新鋭機「紫電改」を装備した戦闘飛行隊を率い、襲来するB29の大群にもひるむことなく、戦いを挑んでゆく……。本土防空戦に命を賭け、散っていった若者たち。その壮絶な戦いと祖国への思いが胸をうつ感動の戦記ノベルス!
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Posted by ブクログ
史実を基に著者の想像も加えた戦記小説。菅野直を中心とした343空のエースたちの本土防空の戦いを描く。
誤字脱字、似た表現とか同じ内容の繰り返しとかがちらほら。堅苦しくなく読みやすいけど、上手な小説かといわれるとそれほどでもない印象。
空戦機動を文章のみで表現して、それを読んで理解するっていうのはなかなか難しいな。いまいちそこの迫力が伝わらないところがあった。
大戦終盤でも、質量ともに勝る米軍に対してこれだけの戦いができていた部隊があったことは素直に驚いた。時代劇の剣豪のように寡兵で大軍に切り込みよく立ち回るも、刀折れ矢尽き、一人、また一人と斃れていくのが悲しい。
あと、単純に紫電改というネーミングが美しくてカッコいいと思った。
紫電ってたしか紫色の稲妻という意味の他に、紫電一閃っていわれるように研がれた刀の刃に閃く光みたいな意味があったと思うけど、大戦後期に、追い詰められた帝国海軍が放った最後の一瞬の稲光という意味でも、研がれた刀のような名機という点でも、ピッタリの名前だな。このネーミングとこの機体の運命との不思議な一致が、さらに紫電改の物語のドラマチック性をかきたてている。