あらすじ
NHKディレクターが「猟師」になるまで。
関野吉晴氏(探検家・医師)推薦!
「ヒグマ撮りからヒグマ獲りになった著者の、命に向き合う姿勢の変化が真摯に描かれている。何よりも、狩猟現場の描写が臨場感溢れていて、惹きつけられた」
物語は、NHK自然番組ディレクターだった著者がカナダの先住民を訪ねるところから始まる。トーテムポール彫刻家であり、ハンターでもあるタギッシュ/クリンギット族の“師”と知り合った著者は、狩猟を通じて野生動物の美しさとその犠牲の上に生きることの意味を学んでゆく。
「泣くな。行きすぎた悲しみは、我が身を捧げてくれた獲物に対し、失礼だ」
「獲物に最後の力が残されていたら、彼らが死を受け入れるための時間を穢してはならない」
「彼らの再生のために祈りを捧げよ」
さらに、新たな赴任地となった北海道で、一人銃を担いで山に入る「単独忍び猟」に挑みながら、野生動物たちの生態を知り、技術を磨いてゆく。そして猟期5年目、ついに「山の王者」ヒグマを仕留める。しかしそこには、思いもかけない「置き手紙」が残されていた――。
スーパーでパックされた肉を食べることが当たり前になった現代。人間がこれからも地球で生き続けるための知恵=先住民の思想と生き方に魅せられた著者が、NHKを退職して「猟師」になるまでの軌跡を綴る“生命密着ドキュメント”。
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Posted by ブクログ
魂を揺さぶるノンフィクションです。
本人が書いているので、正確にはノンフィクション
ではなく、自伝的エッセイとでも言うのでしょうか。
カナダの大自然に生きる原住民に影響を受けた著者は、北海道で狩猟者、つまりハンターとして野生動物を追います。
近年では北海道でもシカが害獣として目の敵にされています。
もちろん著者もハンターなので獲物は主にシカではありますが、最終目的は「食べる」ために狩猟をしているのです。
獲物を「仕留める」、そしてその場で「解体」、そして「食す」という太古より人類が営んできた行為をなぞっているのです。
普段我々は「肉」をスーパーでパック売りされているのが当たり前と思っています。
しかしそれは「命」を食しているのです。
「いただきます」とは「命」をいただきます。という意味であることを再認識させられる一冊です。
Posted by ブクログ
著者がラジオで話しているのを聞いて読んでみたいと思い購入。
体験した人にしか書けない内容を追体験させてもらいました。
普段、スーパーで買ってきたお肉を無駄にしないように気を付け、感謝の気持ちは持てど、その動物が生きていた姿を想像することはない。きっと楽しい環境で生きていた訳ではないだろうから、あまり想像もしたくない。
そんな風に、都会の日常には決定的に欠けている部分がある。その欠けている部分に、著者はあえて身を置いてもがいているかのようだった。
著者は動物を狙う気持ちと殺してしまった悲しみに矛盾があると書いているけれど、私には最も自然で純粋な心の動きなのではないかと思えた。
ちょっと不器用な感じが読み取れる文章に、嘘のない真実が描かれているように思えて、ワクワクしながら読んだけど、最後は少し詩的になりすぎていたかなぁ。結論は読者にゆだねて、退社後の生活などをチラッと書いてほしかった。
それにしても、師匠の二人がとても魅力的だ。
Posted by ブクログ
星野道夫の文章に似ている(著者は星野に憧れ、アラスカで彼の軌跡を追った)
自分の中で葛藤してる(便利で不自由のない生活が幸せか、疑問を持つ)
アラスカの原住民と交流してる(長期休暇でカヌーやナイフ造りを教わる)
狩猟を通じ、命との向き合い方について学んだ(狩猟の醍醐味や野生動物の生命力、命の繋がり)
NHKのディレクターという社会的に地位が高く安定した職を辞して、本格的に北海道で狩りを始めたそうだ!
現代版、星野道夫の今後が気になる!
是非これからも、エッセイを出して欲しい。
Posted by ブクログ
いのち
家畜の現状
これは世間には知らされない
お金が回らなくなる
商売が出来なくなる
見て見ぬふりをするのだ
知識を得た上で、どのように行動するか選択する
選択肢があることが人間の強みだと思う
幸せをどう定義しますか?
Posted by ブクログ
飽食の現代において、あえて狩りをする事を深い知見を得られる書籍。狩りの体験談の真新しさはもちろんのことが、もっとも特筆すべきは、文章のきめ細かさである。文字たちが踊るように輝いている。
Posted by ブクログ
野生動物との向き合い方には色々あるだろうが、狩猟に何故か関心がある。実際には自ら手がけることはないが。
筆者はその気持ちと行動が昂まっていることが伝わる内容で、この読書を通じて自然の凄さをこちらも感じることが出来る。まさに生前の星野道夫が写真で伝えたかった事と同じだろう。まさに今この時同じ時間に、どこかで熊や鹿や鷲が生きているという事実。
Posted by ブクログ
自然好きの三菱商事社員経由のNHKディレクターが、拗らせてアラスカの狩猟民の元でスピリチュアルに触れ、北海道への転勤に合わせて自身も狩猟に手を染め、一旦は東京へ戻ったが、結局退職した話。
当然だが、人は他の命を取り込まないと生きていけない。
狩猟はそのための手段に過ぎない。
のに、妙に神秘感を求めたり、食い物に感情移入して神格化したり、心の中で会話したり。何やっとんじゃ。
なぜなら、それこそ「人間」だからなのだと思う。
最初は面倒臭え、と思って読んでいたが、だんだん引き込まれた。
ナイフを作って贈る話も好きだなあ。
ちょっと書きっぷりが情緒的すぎてベタベタするのが好みではないが。