【感想・ネタバレ】硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リのレビュー

あらすじ

なぜ日本兵1万人が消えたままなのか?
滑走路下にいるのか、それとも……
民間人の上陸が原則禁止された硫黄島に4度上陸し、
日米の機密文書も徹底調査。
新聞記者が執念でたどりついた「真実」。

「僕は、硫黄島発の電報を受けた側にいた父島の兵士の孫だった。
『祖父の戦友とも言える戦没者の遺骨を本土に帰したい』
13年前に一念発起し、政府派遣の遺骨収集団への参加を模索し続け、ようやく参加が認められたのだった。
僕の心には、あの電報があった。
『友軍ハ地下ニ在リ』
硫黄島の兵士たちは今も地下にいて、本土からの迎えを待っているのだ。
電報を信じ、地を這うように玉砕の島の土を掘りまくった。
結果、僕はこれまでにどの記者も挑まなかった謎の解明に、執念を燃やすことになった。
その謎とは――。
戦没者2万人のうち、今なお1万人が見つからないミステリーだ」――「プロローグ」より

【本書の内容】
プロローグ 「硫黄島 連絡絶ゆ」
第1章 ルポ初上陸――取材撮影不可の遺骨捜索を見た
第2章 父島兵士の孫が硫黄島に渡るまで
第3章 滑走路下遺骨残存説――地下16メートルの真実
第4章 情報公開で暴いた硫黄島戦後史
第5章 硫黄島「核密約」と消えた兵士たち
第6章 戦没者遺児との別れ、そして再上陸へ
第7章 硫黄島の元陸軍伍長「令和の証言」
第8章 硫黄島ノ皆サン サヨウナラ
エピローグ 「陛下、お尋ね申し上げます」

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Posted by ブクログ

酒井聡平さん著「硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ」
作者は北海道新聞記者、過去3回政府派遣の硫黄島遺骨収集団のボランティアに参加されている。
自分と同い年の同学年という事も踏まえて素晴らしい活動をされている方で同世代として誇らしく思う。

自分と同年代の現40代50代の間でも第二次世界大戦の歴史に触れようとする人は極少数だと思う。何故か世間的にタブーな感覚が付きまとっており、すぐに極右的な思想と判断されてしまう事が多い。
戦争や公務で母国日本の為に殉職された方々の英霊が祀られた「靖国神社」「護国神社」の参拝すらとやかく言われるこの世の中。
忘れてはいけない事は後世の為にと命をかけた方々のおかげで今の日本国があり、日本人として今も我々が存在していること。今の豊かさは先人達の魂の賜物で、その上に存在しているという事実。
その魂を後世の自分達がしっかりと受け継ぐ事が大事だと思う。そしてしっかりとまた後世に受け継いでいかねばならない。
そういう意味でも作者のこの作品はとても価値の重たい作品であり、同い年ながら推重恭敬したい。
戦争そのものの価値観やその肯定否定とは別物の作品だと思う。

梯久美子さん「散るぞ悲しき」でも読んだが栗林忠道中将が命をかけて死守せんとした硫黄島。その戦死者達の遺骨収集にボランティアで今まで何人もの方々が携わってきた。勿論遺骨収集も大事だが、まず国家のために未来のためにと戦った英霊にその場所で最大の感謝の気持ちを唱えたい。いつの日か誰でも行けるようになれば自分も硫黄島へ渡りその想いを届けられたらと思う。

作品の終盤の天皇陛下への事前質問無しの関連質問で作者が硫黄島へのお気持ちを問う質問。天皇陛下は「戦争中の歴史においてもこれからも理解を深めていきたい」とのお言葉を申しあげられていた。天皇陛下だけではなく本来なら国民全体だろうが、少なからず自分自身だけでもそういう理解を天皇陛下の意志と共に深めていかなければならないなと思った。
作者の質問が功を奏したのかは不明だが上皇上皇后両陛下が硫黄島ご拝礼されてから30年の節目の本年2月、天皇皇后両陛下が硫黄島ご拝礼をされていた。とても深い意味が込められたご拝礼だったに違いない。
天皇陛下のそういった実直な真摯な姿、自分も見習わないとと思う。
今回のご拝礼に関しては作者の質問が実を結んだのかもしれないとも思う。今作品の発刊後の事であり作者や関係者も大いに喜んでいる事と思う。記者としてもボランティアとしてもとても素晴らしい活動をされているなと改めてその凄さと執念を感じた。

作者が本作の締めくくりに書いてあった言葉。自分もその言葉が忘れられなくなった。自分も真似てここに最後に書き残しておきたい。
「忘れてはいけない事は決して忘れてはいけない」

3
2024年07月25日

Posted by ブクログ

小笠原諸島にある硫黄島は1945年2月19日に米軍が上陸、日本軍との地上戦となった島だ。本土の防波堤となるべく戦った日本兵士たちは3月26日最後の総攻撃を仕掛け、壊滅した。
著者は若手の北海道新聞記者だが、祖父が小笠原諸島の防衛を担う部隊に所属していた。祖父は幸運にも生還したものの体の消耗がたたり、56歳で病死、父も著者が10歳のとき、47歳の若さで急逝している。遺児となった著者は戦争で家族を失った人に強烈なシンパシーを抱き、祖父の履歴書から硫黄島報道に執念を燃やすようになる。
そして、硫黄島に計4回渡り、うち3回は政府派遣の硫黄島戦没者遺骨収集団のボランティアとして渡島した。
「硫黄島の戦い」では守備隊2万3千人のうち、2万2千人が死亡したが、今なお1万人の遺骨が見つかっていない。
その背景には、硫黄島が日本に返還され、自衛隊基地として使用しながらも米軍が使用することを認めている理不尽さがある。過去には核兵器を隠す秘密基地として、島民帰還が不許可となり、今もFCLP(米軍の空母艦載機による陸上離着陸訓練)が実施されている。
著者は遺骨収集に関する報告書など日米の機密文書を徹底的に調査、硫黄島に詳しい人、歴史を知る人などの取材にも精力を注ぎこんだ。その半端でない熱量に圧倒され、感動的な箇所も多々ある力作になっている。
滑走路の下にある遺骨を求めて熱風が吹き上げる穴の中に入るという危険、灼熱の中での作業を30分も続けるというボランティア精神はとても真似できない。サウナですら10分も入っていられない自分が恥ずかしくなった。

3
2024年01月07日

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これは一級のノンフィクションです。

クリントイーストウッドの映画で「玉砕の島」
として広く知られる硫黄島(ちなみにイオウジ
マではなく、イオウトウです)

約2万人の兵士が犠牲になったと言われていま
すが、実はそれらの遺骨は現在でも半分が見つ
かっていません。

そもそも民間人の上陸は禁じられていて、遺骨
の探索も多くて年に4回程度です。非常に少な
いのです。

なぜか。

戦後、硫黄島が辿った歴史を掘り起こすことで
その理由が見えてきます。

遺骨の探索に関わる人は主に、硫黄島に散った
兵士等の遺児です。

しかし当然彼らも高齢です。残された遺族がど
んな思いで遺骨を探すのかが、痛切に伝わって
きます。

本文中に出てくる「戦争は終わっても戦禍は残
る」という言葉を理解できる一冊です。

2
2024年02月14日

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「戦争はまだ、終わっていない」。

読んでいて泣けてきました。

「硫黄島」と聞くと、映画(渡辺謙さん・二宮和也さん、イーストウッド等)を想起出来る人は多いと思うのですが、では「硫黄島の戦いのその後」について考えている、或いは考えた事のある日本人はどのくらいいるんでしょうね。。

この本に出てくる「国の不作為(収集作業の怠慢)は、トップ(歴代政権の代表)の意思の問題」という言葉は重いと思いますよ。

この本の著者は北海道新聞の記者。ただ、仕事とは関係なく「政府派遣の硫黄島遺骨収集団のボランティアとして4回渡島」しているようです。

この本はその時の遺骨収集の体験とか、「戦死者2万人のうち、未だ1万人の遺骨が行方不明」という現実について独自に調査したルポ的内容。

平和ボケしているお気楽なたくさんの日本人に読んで欲しいかな

2
2023年08月06日

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硫黄島での戦没者遺骨帰還事業について、進行していないという情報は知っていたのですが、何故進行していないのか、今後どうするつもりなのかなどについて刮目させられました。

加えて、硫黄島は日本に返還された筈ですが、ご多分に漏れず米軍への提供地域が少なからず残っている上に、名目的には返還されたものの、何分遠隔地である上に民間人が訪れることはできない土地であるので、実体的な支配はどうなっているのか?という疑問点もある事が判りました。

最後に、尾辻参議院議長の遺骨帰還事業に込めた思いというのは、この本で初めて知りました。深い思いがあるんですね。

この本の内容は、もっと知られるべきだと思います。

1
2024年07月24日

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硫黄島の遺骨収集から見えてくる地政学的位置づけによる硫黄島の立ち入り禁止の意味。戦後史が垣間見えるドキュメンタリーである。

1
2024年06月15日

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「硫黄島では一万人が未だに見つかっていません。見つからない理由の一つとして挙げられるのが『風化』です。」
物理的な遺骨の風化と、居住が認められていないことによる記憶と記録の風化、そして、米軍による現在までの支配と日本政府の忖度ーー。
色んな条件が重なって遅々として進まない現状。そんなこと言ってる僕自身も「硫黄島は住むのは無理な過酷な環境でしょうがない」という思い込みがあったし、そもそも読むまで「いおうジマ」だと思ってた自分を恥じる。
戦後を終えるためには僕らが知ること、忘れないことが重要だと痛感。
著者のこの島への執着、執念、情熱に、脱帽と敬意。個人的な意志もあろうがただただ仕事人としても尊敬。

1
2024年05月05日

Posted by ブクログ

サイパンで戦死したと聞いているおじいちゃんのことがずっと知りたくて、でも何もわからずで、近づきたくて、場所はちがうけどこの本を手にとった。国や家族や未来のために戦ってくれた方々に、亡くなられた方々に、その家族の思いに思いをよせ、おじいちゃんを偲び、自分の境遇の有り難さをあらためて思う。4章では最後の2文に共感。僕は霊魂を信じるというか、普通にいると思っている、見たこと感じたことがあるわけではなく証明できないが、いるように思うだけ。7章、8章では死が目前なのに笑顔でいられる境地、本土に帰る人を笑顔で見送れる境地に思いをめぐらす。同じ境地にたてるものではないけれど、残りの人生を生きる価値を見いだすヒントをいただいたように思う。また、本書とは関係しないが「何となく」というのは、生き方の方向を示すものだと読んでいる途中でふとふたたび思う。先祖(過去)と共にある生き方が、共に影響しあっている。読後、地道な継続は運命が顕れるというか、決まるというか、繋がるというか、そういう連続なんだと思え、また、伝承は未来にとって大事なんだと、思った。(さっきまで”う◯こ”の話しで小3息子と盛り上がっていた、おじいちゃんの孫)

1
2024年03月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者の祖父は父島に出征していた。
そして、10歳のときに父を亡くした。
祖父が出征していた父島は、硫黄島と同じ小笠原諸島の一つで、硫黄島の通信兵の一部は元々父島の通信隊の所属だった。
そして、父が亡くなったのは戦争とは関係ないが、10歳で遺児となった彼は硫黄島の戦いで父を亡くした、戦争遺児と自分を重ね合わせた。
そんな事情から、彼は硫黄島に関心を持ち、硫黄島での遺骨収集団に加わることになる。
そこには未だに亡くなった兵士の半分ほどの1万人が眠っている。そこに彼は疑問を持った。
その理由と思われるいくつかの仮説が本書に書かれているのだが、その中で戦後もなお米国の支配が続いているかのような硫黄島の現状が浮き彫りになる。
外交の絡む壮大な話だけでなく、
硫黄島で家族を亡くした遺族や、終戦間近まで兵士として硫黄島にいた人の話など、一個人の人生における戦争という出来事など、様々な角度から戦争を捉えていて、非常に読みごたえがあった。
闘い自体は終わっても、戦禍はまだ残っていると改めて気付かされた。

また、本書に出てくる映画「硫黄島からの手紙」で栗林忠道中佐を演じた渡辺謙の「我々の子供らが日本で一日でも長く安泰に暮らせるなら、我々がこの島を守る一日には意味があるんです」という言葉が胸に刺さった。
何故なら、一つ前に読んだ「散るぞ悲しき」の感想として、原爆投下で栗林中将の戦いは水泡に帰したと思ったからだ。当時の一日生きながらえることの過酷さに思い至らず、浅はかな自分の考えにハッとさせられた。

0
2024年08月13日

Posted by ブクログ

TBSラジオ「session」に、著者の北海道新聞記者・酒井聡平氏が出演していたことをきっかけに読んだ一冊。
祖父が戦時中、硫黄島の隣の父島にいたことを知り、祖父の戦友たちを見つけたいという思いで、並々ならぬ執念と行動力で遺骨収集団に加わる様子を読み、このような人、このような記者がいるのだと驚かされる。
当時の硫黄島を知る人や、遺族へのインタビューは貴重な話ばかりであり、戦後80年を前にこのような活動や記録することよ大切さを改めて知ると同時に、私たちも「知る」ことを続けなければならないと感じる。

「忘れてはいけないことは 決して忘れてはいけない」

本書の最後に紹介されている、酒井氏の座右の銘という、高木いさお氏の原爆詩の言葉が、今戦争について考えること、読むことの意味を教えてくれる。

0
2024年02月07日

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普段小説しか読まないからか、最初は読みにくく感じた。
でも伝えたい思いが伝わってきてこれは知らなきゃいけない、読みきらなきゃいけないという思いで読みすすめたところ途中から文体にも慣れ一気に読めました。
とても勉強になりました。

0
2024年01月29日

Posted by ブクログ

もう少ししたら戦争の語り部はいなくなってしまう…。戦争を知らないすべての人、特に若い人に読んで欲しい。

0
2024年01月23日

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北海道のローカル紙時代に抱いた個人的興味を、ブロック紙に転職して10年以上かけて取材し、これまで記者が上陸したのは若干1名程度に限られる硫黄島に複数回上陸し、最後は天皇陛下に硫黄島の所感を直接質問するという、、、興味関心が人をここまで動かすのかと。凄まじい熱意を感じた

0
2023年12月28日

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ずっと帰りを待っている遺族にとっては、遺骨はただの骨ではなく、肉体であり魂でありその人そのものなのです。決して蔑ろにしてはいけない忘れてはいけない、戦った人たちの魂。

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2023年10月20日

Posted by ブクログ

私が学生の頃の日本史の授業では、小中高校生時代とも現代史以降はスピードアップで、日本人なら知っておきたい昭和に入ってからの史実、極端に知識不足だなと。大化の改新とか鳴くよウグイス平安京とか戦国時代よりも、真珠湾とかミッドウェーとかインパールとか硫黄島とかヒロシマナガサキが現代を生きる私たちにとって、そして平和な未来のために必要だと思うけど。

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2025年08月26日

Posted by ブクログ

本書は、北海道新聞の記者が太平洋戦争激戦の地【硫黄島】で、政府派遣戦没者遺骨収集ボランティアをし、関連取材を纏めたもの。

著者の祖父が硫黄島と同じ小笠原諸島の父島で従軍していたことや、自分も10歳で父を亡くし遺児として寂しく過ごしてきたこと、それら自分のルーツを考えるうちに硫黄島で遺骨収集する中に戦争遺児が多くいることも知り、自分の境遇と重ね合わせシンパシーや使命感?なるものを感じ、更に深く戦没者遺骨収集に関することを調べ始めた。

著者の人生をかけて活動している執念と行動力に感服した。言葉を操るジャーナリストの真実に迫る探究心が半端ないとおもった。そして、戦没者や戦争遺児に対する彼の様々なおもいに接し、人間味のある優しい人だと感じた。

最後の天皇陛下に質問する場面で鳥肌がたった。

私も少なからず何か言葉に出来ない大切なものを受け取った。

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2025年01月22日

Posted by ブクログ

日本本土空襲の中継基地としてTokyoの南方1200kⅿにあるIwo Jimaを占領せんとする’45年2月19日から36日間の激闘、司令官は玉砕を許さず総延長18㌔もの地下道で抵抗、守備隊2万3千のうち2万2千が死亡したが米軍も海兵隊5931死亡、19920負傷など犠牲は甚大だった。英霊の遺骨はいまだ半数以下しか収容されていない/

第4章 情報開示請求で暴いた
遺骨行方不明の要因1 島の様変わり
2 米軍による壕の閉塞
「におい」に導かれて
悲惨な状況は極力記載せず「口頭報告」に
3 「先に遺骨を収容した日本人がいた」1951年2月から53年9月に「清掃工事」を受注した「高野建設」
4 3時間で幕引き
53年、初の「収集団」30体
高野建設の埋葬地には不可
5 「空白の15年間」
68年、第一次調査団は高野建設の日本人戦没者墓地を発見
69年度2837体収容
6 「生存者証言の限界」
地形の大幅な変化
7 「在島米軍兵士の盗掘横行?」
8 「ちらつく米国の壁」
第5章 
共同通信が核交渉を特報
68年 返還時に日本が誓約





日米講和条約後も米軍用地とされ(有事の核貯蔵の密約もあったらしい)、’68年小笠原諸島返還協定後も、中央の滑走路と北部一帯、西側南側海岸、などが米軍使用続行され、遺骨収集は7,9,11,2月の年4回、後の半年は米軍の陸上空母離着陸訓練のため行われない。/上皇陛下は’94訪島され「精根を込め戦ひし人未だ地下に眠りて島は悲しき」と詠まれた/
p329硫黄島や戦争の歴史の風化に抗い続けた僕の東京での5年間


火山活動を理由に旧島民の帰島は拒絶され、自衛隊の演習にも使われている。/米軍沖縄海兵隊の移転先との推測もあり

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2024年12月17日

Posted by ブクログ

戦没者の遺骨を祖国に返すのは、英霊のためのせめてもの償いである。まだ半分ほどしか回収できていない実情に、色々なしがらみや闇を感じざるを得ない。また硫黄島から本土への通信は、父島を経由せねばならないことも知った。少しでも力になれればと感じた。

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2024年12月16日

Posted by ブクログ

映画で硫黄島の戦いを知ってから、いくつかの本を読んできたが、遺骨収集といった観点で考えたことはなかった。核密約の話も全く知らなかった。とても勉強になりました。

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2024年12月15日

Posted by ブクログ

硫黄島の戦前、戦後のことや遺骨収集活動のことなど知ることができた。
戦時中の硫黄島を知る方の貴重なお話もあった。
何より著者の硫黄島に対しての執念がものすごく伝わってきた。

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2024年08月24日

Posted by ブクログ

とにかく酒井記者の執念というか並々ならぬ熱意に頭が下がる、硫黄島の〝戦後〟に斬り込んだ希少なルポ。自身の渡島体験記を軸に機密資料の紹介分析、帰還兵への貴重なインタビューなど読み応えある内容。遅々として進まない遺骨収集、未だ旧島民帰島不可の現状とその理由がよく分かった。とりあえず遺骨収集集中実施期間の5年延長が決まってよかったなと。戦争の記憶を風化させまいとする筆者の今後の活動にも注目していきたい。

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2024年08月24日

Posted by ブクログ

太平洋戦争の激戦地、硫黄島。未だ見つからぬ1万人の遺骨の謎を探るべく、調査だけでなく遺骨収集ボランティアにも3度参加した記者の著書。著者の祖父も戦争関係者であったため、単なる興味本位の行動記録ではなくその本気度が十分伝わる記録であり、硫黄島の現状を知る上での一助となる作品。

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

新聞記者による遺骨収集参加の体験記(ノンフィクション)であるが、硫黄島の戦後史を知る上で大変重要な研究書でもある。著者の執念、情熱に心打たれる。おすすめです。

0
2023年12月17日

Posted by ブクログ

ミステリー小説好きだけどこれは現実のミステリー
信じられない量の資料を忙しい仕事の合間でよくこんな華麗にまとめたなぁと感心してしまう
ジャーナリズムがすごすぎる
おかげで僕は本を読んだだけでこんな貴重な情報を知ることができた
今度は硫黄島の手紙と父親たちの星条旗観よう

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2023年12月01日

Posted by ブクログ

戦没者2万人のうち1万人が行方不明という太平洋戦争屈指の激戦区硫黄島。遺骨収集に執念を燃やす新聞記者の戦い(描く。筆者は本書が初著作。

筆者は北海道新聞の記者。遺骨収集にかける思いは伝わったくるものの、自分には文体が合わなかった。
どうも合わなかった。

0
2023年11月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

北海道新聞所属の酒井聡平氏による、硫黄島遺骨発掘のドキュメンタリ作品。

二万人以上が玉砕・戦死したという硫黄島で一万人以上の遺骨が未だ見つからないという現状、その背景、遺族の気持ち等を描く佳作。

・・・
きっと皆さんも、かつての戦地に埋まった遺骨の発掘というのがどのような意味を持つのか、という疑問はあるかと思います。

というか、なぜ硫黄島なのか、とか。

筆者の祖父は硫黄島ではなく、連絡中継地として小笠原の父島で勤務していたという。本土から硫黄島は遠すぎて直接連絡が取れなかったためという。その父島で、硫黄島の兵士たちの最期の声(電文)を聞いた一人ということです。

私とほぼ変わらない生年の筆者も、祖母から聞いた祖父の話、また幼い時に(戦争ではないものの)突然父を亡くしたという境遇の近接性から、遺族による硫黄島での遺骨発掘作業にシンパシーを感じられたように思います。

その他、戦争を知らない世代ゆえに、硫黄島の遺骨発掘の周辺を歴史的経緯やご自身の経緯とともに丁寧に説明されています。このあたりは非常に好感が持てると思います。

・・・
著作では遺骨発掘談の高齢化とともに、進捗はかばかしくない発掘作業についての記述があります。

その進捗しない理由の一つが、日本の当局による米軍への『忖度』。

平たく言えば、硫黄島は米軍の訓練地。安全保障の要衝として、当地を米軍訓練場所として提供することを許可しているものです。米軍の訓練中は発掘団は来島することができない。というより当局が許可しない、ということのようです。

なお、当局というのは当然の事ながら防衛省です。

この忖度の背景にはかつての政府高官と米国高官との密約があるというのは、既視感のある流れです。日本はこの密約を否定し、他方米国では機密期間が過ぎて少しずつ真実が明るみに出てきているというもの。

・・・
ただ、やはり本作で一番心に迫るのは、硫黄島に残された多くの人々の声、記録です。

もう死ぬ以外ない島に送られたとき、自分はもう本土に戻れないけど(生きては帰れない)今戻る同胞を笑顔で送るとき、死を前にして必死に無線で父島に最期の声を送るとき、そうしたシーンの数々の描写は胸をうちます。

同様に、残された人々、遺族や遺児の気持ちも、筆者はきめ細やかに綴っています。

繰り返しになりますが、酒井氏本人も父を突然亡くした遺児であります。また取材した尾辻秀久元参議院議長も戦争遺児であり、彼へのインタビュー・生の声も多くの人の琴線に触れることだと思います。

一家の大黒柱を突然失った苦しさ、その後の母の苦労、自らの夢の変節を余儀なくされること等々。

特段の教訓をわざわざ演繹するまでもなく、現在の豊かな生活が送れることへの感謝が湧いて出てきます。また、類似の困難に直面した人に、自分はどれだけ手を差し伸べられるだろうか、と自問せずにはいられません。

・・・
ということで、酒井氏渾身のドキュメンタリーでした。

戦争関連者が時と共に鬼籍に入られてゆくにつれ、遺骨問題は静かになくなってゆくのだと思います。

ただ、そこに送られた人々、地元で彼らの死を受け入れざるを得なかった人々、およびその家族や親族たち、多くの人々を悲しみと曲折の人生へと導いた戦争という存在。この憎むべき存在の意味を私たちは改めて考えてもよいと思います。

平和が続くことを真に祈念したくなる作品でありました。

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2025年03月19日

Posted by ブクログ

硫黄島の戦いについてなんとなくはしってたんだけど、読むことで1歩踏み込めた感じ。

なんで硫黄島が激戦地だったのか、
硫黄島で多くの人がなくなったけどその遺骨はどうなったのか、
みたいなのは考えてこなかったから
点でしかしらなかったんだなーと思った。

硫黄島で歯止めをかけることで、自分の愛する人や日本が守られると思い、必死に戦った人たちが居て、その方々の歴史と繋がって今があるということを忘れては行けない。

作者をここまで突き動かすエネルギーは何なんだろうか。
祖母が父島の兵士だったったというだけでここまで動けるなんて、、、
ジャーナリズムって人を変えられのではないかと思った。

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2024年11月04日

Posted by ブクログ

先の大戦前後からの硫黄島と遺骨収集にまつわる話がわかりやすくまとめられている。著者の収集、そして硫黄島上陸への熱意と実行力には感服する。新聞記者が書いてる割には少し読みにくい部分がある。

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2024年09月04日

Posted by ブクログ

故安倍元総理が確か硫黄島の滑走路で跪き、地面に手を当てて黙祷なさった。

違ったっけ?硫黄島じゃなかったかな。

このところ遺骨帰還の話をそういえば聞いてなかった。
こんなにハードルがあったのかと、それすら知らなかった。小笠原諸島返還の時の米国との色んなしがらみがあったのか。

いずれにしろ、誰がもはや戦後ではないと言ったのか。
色んなところで、我が国は、全く先の大戦を総括出来ていない、終わらせていれないことが分かる。

かの民主党政権も、そこだけはきっちりやってたんだってことは、これは驚いた。完クソだと思っていたのですみませんでした。それ分かったのもよかった。

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2023年12月27日

Posted by ブクログ

筆者の強い熱意・想いがひしひしと伝わってきた。
現在の硫黄島の状況、遺骨収集の取り組み、なかなか報道されない中、貴重なノンフィクション。

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2023年10月21日

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