あらすじ
わたしたちには家族をめぐる秘密がある
母の不妊治療の失敗、凶暴な白い光と共に襲ってくる片頭痛。
しずくとタマキは、持て余した心を抱えて
縛られ地蔵に会いに行く――。
傷つき、傷つけ、思いあう。痛切な家族の愛のかたち。
「ふと脳裏に、幼い未発達の実が木から落下する光景が過りました。
どうして自分は彼らと同じ道をたどらなかったんだろう」
第66回群像新人文学賞受賞作!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
なんだか可愛い響きだけど、ジューンドロップとは生理的落果。自ら弱い果実を切り離す現象。人間もまた要らない存在だと切り離されていってしまうのか。メイとしずく、傷付きながら、もがきながらも精一杯生きているさまが良かった。それにしても願いを込めてお地蔵様を縛るか…検索してみよう。
Posted by ブクログ
伏線がすごく多い気がするけど少し難しいので2回読んでわかる物語かなと思った。
不妊治療や妹の死、親の自殺や再婚に偏頭痛と詰め込みすぎてる感じはあった。
しずくとタマキがだんだんと分かり合っていくところは良かったと思う。
Posted by ブクログ
植物の生理落果と人の命。ところどころ出てくる「あなた」が誰だかわからず途中モヤモヤしたが、終盤でスッキリ。しずくが小さなうちに自ら命を絶った父、不妊治療に悩む母、妹弟が出来たら自分に親からの愛情がなくなってしまうのではと不安なしずく、事故で妹を亡くして後悔するメイ、みんな人の生死に思いをもつ人たち。植物なら確かに自然落果は起きてしまうし、生存戦略の一つだけど、人の命だったら同じようには考えられない。そこが植物と人間の差なのでしょうか?