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Posted by ブクログ
最後まで読んだあと、「全てを知った上でもう一度読み返した方がいい。つま先から毛先までどっぷりと浸かりたい」と思った。これは2回目を読んでの感想です。
冒頭の「やっぱり6月は嫌な月です。」から始まる嫌な理由の中で、「あなた」の部屋からくすねた万年筆もウォークマンも偏頭痛の前兆も全て入っていて、この時点で読み返してよかったなと思った。
ここで、万年筆のことをペンと表記することで、年頃の女の子が無くしたもののイメージがつくのも上手な表現だと思う。
1/10の選択を下すことで、タマキ(メイ)と出会うしずく。
この偶然としか言えない選択も、私たちはすることがある。(少なくともわたしはそういう気分になる時がある)
それで出会えたというのをわざわざ「1/10を選択した」というのが素敵だと思う。運命とか、偶然とかを表現してると思うから、好き。
柿の木の下の縛られ地蔵。ここにしずくは昔、妹が産まれませんようにと頼んだ。
多分、「あなた」と母が写っているのもこの場所。お地蔵様は「死んだ人を守ってくれるありがたい神様」だった。母は、「あなた」に祈りに行ったのでは?と思った。勘ぐりすぎかもしれない。
「あなた」のウォークマンに入っていたオズの魔法使いのオーバーザレインボー。虹の向こうへ。
私もしずくちゃんと同じで、オズの魔法使いを見たことがないから色々調べた。
(大雑把に要約すると)、虹の向こうには何でも夢が叶う国があって、悩みもレモンドロップのように溶けるそんな場所に僕は行くんだ…というものだった。
オズの魔法使いでは希望の歌?のようなイメージであるらしく、前進した先であなたに会えなくてもきっとまた会える、大丈夫といった意味らしい。お気に入りの歌だったようだ。
「あなた」は自殺したのもあって、なんだか死んだら楽になれると思っているように、死んだ先で母と娘を待っているような気がする。
きっとしずくちゃんも同じように感じたことがあって、最後に濁流のようにあなたへの気持ちを全部吐き出したんだろうな…と。「全ての繋がりを断ち切って、一人楽になろうとした。死後の世界があるなら貴方は地獄に落ちるんだ」と。
この歌は最初、「あなた」の思い出として。次に歌詞が出てくる時は、タマキを連想して登場する。
ぐずついた天気は母の機嫌?気持ち?
ガード下の表現とか、まだまだ深堀できそうな所がある。まだ書ききれていない。また読み返したい。