あらすじ
巷の日本語は不思議でいっぱい!常に新しい言葉を「採集」し、検証しながら使っていく価値があります。当たり前のように使ってみれば、そこに人間が持っている「気配」が生じる。
Zoom、LINE、メール、Twitter…。ネット社会の言葉の伝え方。
あなたの気持ちはしっかり届いていますか?。
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Posted by ブクログ
前半に置かれた1~3章では、コロナ禍を通して改めて認識された「気配」に関する論考が述べられる。
思っていたのと違うノリだったが、これはこれでなるほどと思う。
特に「机の上にコップが置いてあります」と「there is a cup on the desk」の対比で示す、日本語の中の気配は面白い。
英語ではそこに誰かが置いたかどうかは表現されないが、日本語ではそこに至るまでの過程を気配として扱い、言葉に組み込んでいるとのこと。
確かに気配がある。
4章は、その都度テーマとして掲げた言葉をめぐるエッセイ集。
これぞ期待していた形のもの!!
面白い!
新語が携えているこれまでになかった気配、何か本来の意味とはちょっと異なるようになってきた言葉の使い方、この言葉よく考えてみると不思議じゃないですかといった、言葉に対するおもしろ考察満載。
総じて、本書タイトルが示唆するような「言葉の使い方が間違っとる!けしからん」というようなことはなく、どちらかというと新しい言葉を生み出す若い力に期待すると共に、変化する言葉のカタチを言語学者として興味深く見つめているという感じ。
時に小言を言っているかのようなときもあるにはあるが、「小言」という項を設けるくらいに自らの発言を内省できているところに好感。
唯一、テクノロジーめいたものに「わからない」といった拒絶感に近い感情を示されているところに、もっとしなやかに無視すればいいのにと思ってしまう。
無自覚に使ってしまいがちな言葉だが、自分の気持ちを正直に綴れるよう、言葉を大事にして行きたいと思った。
Posted by ブクログ
自分が普段の生活でよく使っている単語や言い回しが本に沢山出てきて面白かったです。
単語の意味や成り立ち、単語に対する違和感などを考えながら話して来なかったので、この本を読んで「たしかに、言われてみればそうだよなぁ…」と思うことが多くて楽しかったです。
Posted by ブクログ
コロナ禍時期を含む近年に普及した新しい日本語(流行り言葉?)を題材にしたエッセー。どれも耳にしたことがあって用法もなんとなくわかるので、世の中についていけてる感があってちょっと安心。それらについて、言語学者的視点だとそうなのか~、という論評がとても面白いし、興味深い。
知らなかった言葉は
・ダム汁
・ブースター
・まじまんじ
・て
・ネコハラ
といったところか。
「二刀流」とか「みだりに」とか「”そだねー”」とかは大いに納得。
Posted by ブクログ
とても嬉しく感じる一冊だった。
なぜって、普段、腑に落ちないが「きっと考えすぎなのだろう」「言ったら厄介者扱いされるぞ」と思い、グッと飲み込むような内容が綴られていたからだ。
ただ、一つだけ訂正したい。
先生、「うp」はもう10年以上使われているネットスラングであって、ここ最近の若者言葉ではないです。
Posted by ブクログ
スピード感の説明には大いに納得し、笑えた。その通りです。
大器晩成の異なる意味には「へえ」ボタンを押したくなった(古い)。国語学者の斬り込みはウィットもきいているし、読みやすい。
Posted by ブクログ
言語学者として現代の言葉遣いに辛辣な評価が列挙されるような読み物かと思いきや金田一氏はかなり寛容な人なんだということがわかった。とくに若者が作り出す言葉には若者への賞賛もしている。ちょっと物足りないと思いながら読んでいたが、コロナ禍での「不要不急」について、不要不急の定義を決めろなと多くのコメンテーターがコメントしていたことについて「日本人はいつのまにかこんなに愚かになったのか?不要不急の用かどうかなど自分で決めれば良い」と書いてあり、全く同感。当時TVにこのセリフをぶつけていたことを思い出し、金田一氏と同じ意見であることが嬉しかった。