【感想・ネタバレ】帝国ホテル 厨房物語 私の履歴書のレビュー

あらすじ

60年余りにわたり帝国ホテルの味を守り続けてきたフランス料理界の重鎮の自伝。東京オリンピック選手村食堂の料理長としての奮闘や、エリザベス女王ら賓客の思い出などをまじえながら、波乱の人生を振り返る。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

著者の村上信夫氏は2005年に没されている。お悔やみ申し上げたい。本書は村上氏の自伝であり、前半はページを繰る手が止まらず、笑いあり涙ありの良書である。村上氏は一途に料理、特にフランス料理を愛しており、まさしく料理を作るために生まれてこられたのだなと思うほど、情熱的な人物である。戦争前に先輩シェフから教わった餞別レシピは、参考にしたいものが沢山ある。また本書には写真が複数枚掲載されており、当時の雰囲気を身近に感じることができる。村上氏はふくよかで口髭、メガネが可愛らしい印象の方だが、一番気に入った写真は犬山徹三氏である。P117に掲載されているのだが、名前に負けず劣らず、どえらい迫力の格好良さだ。いや、渋さというのか。くっきりとした二重まぶたに一文字に結ばれた口元。その目には鋭い光が宿り、シングルのスーツを恰幅良く着こなされている。ストライプのネクタイもお茶目で良い。犬山氏は、村上氏をヨーロッパ留学へ送り出してくれた恩人だ。テレビ出演の話を持ちかけたり、先見の明がある、非常にかっこいい紳士である。

「現地の流儀を尊重する。悪い点は見ずに、いいところだけを学ぶんだ。」
「勝手なメニューは書くな。自己満足するようなメニューを書いて威張っているんじゃないぞ。お客様が喜んで、今日の料理はおいしかった。楽しかったと言われて初めて、「おれの料理は」と威張るんだぞ。(犬山氏)」
「若い料理人へのアドバイス。欲を持て。急ぐな。最も大切なのは基本である。」
「料理の極意は愛情、工夫、真心」

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2019年01月16日

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