あらすじ
探偵事務所への匿名の依頼は、あるホームレス青年の調査だった。
彼は穏やかで理知的な人物だが、社会に絶望していた。
調査の目的に疑問を感じながら、探偵が尾行を続けるうちに、
青年の知人の老ホームレスが急死し、遺品から彼の写真が見つかる。
それは依頼人から送られたのと同じものだった。
新シリーズ開幕。
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Posted by ブクログ
社会に絶望して生きる気力がない青年、柚原典之。
彼の行動を調べてくれと依頼を受けた
探偵事務所の小川令子と加部谷恵美が柚原と彼に関わった人たちと接触して彼を知るうちに冷静で理知的な彼に少しずつ好意的な目で見始めたのにあっさりと裏切られる結果に。
複雑な生い立ち、学歴もなく社会にも適応できずにホームレスとなって、最後はあまりにも短絡的で凄惨な無差別殺人事件を起こす。
探偵事務所の二人がなんとも魅力的でした。
このシリーズの続編を読むべきか、Xシリーズを読むべきか悩むところ。
(Xシリーズに加部谷さんが出てるらしいので)
Posted by ブクログ
もしかしてほんまに加部谷恵美に救いってないのか?今回のタイトルは「風来坊」から来てるんだろう。社会から外れた生き方を望むことはできないのか?という確固たるテーマ性を持っている。そして次は「歌の終わりは海」で「尊厳死」か。なるほど。
Posted by ブクログ
新シリーズ。探偵物だけどミステリィではない。
ジャンルはなんだろうな…?
最後、柚原の考えが恐ろしい。理解できない考えではないことが何より恐ろしい。
馬鹿は誰だったのか?
装丁が綺麗。
小川さんと
加部谷さんのコンビ。スネに傷がありながら、向きに進もうとする合間に過去に戻ってしまい、さみしさを二人て慰めあうのが切ないです。
Posted by ブクログ
加賀屋と小川令子の新シリーズ(?)1作目。
ホームレス青年の柚原の身辺調査を依頼された2人は彼に接触し、依頼内容について探るがまぁ彼の出生とか依頼者とかはこの際どうでもいい。
加賀屋にずっと海月くんを思い出させる柚原は、一見海月くんのように理知的で達観している印象を与える。
でも海月くんは同じ状況だとしてもこんなことしなかっただろうから、比較にすらならない。
選択して今の人生を歩んでいるのに、自分の境遇を世界のせいにして己が優秀な人間と勘違いしているクソガキだった。哲学をかじっているクソガキほど厄介なものはない。
「人は弓だ。
誰かに引かれ、精一杯撓って、解き放たれる。
その解放で満足する。それが生きることだと思い込める。
愚かで、偽りの弓たち。」
Posted by ブクログ
[こんな人におすすめ]
*心がざわざわする小説が好きな人
やるせない。心が落ち着かない。消化しきれない。読み終わった後に上記のような感覚に陥ることが好きな人におすすめです。「ぞくぞく」でも「もやもや」でもなく「ざわざわ」します。
登場人物の一部あるいは全員に共感できない可能性がありますが、現実にいてもおかしくない人たちばかりです。リアルさを感じられる小説だからこそ消化しきれない問題にぶち当たってざわざわします。心の不安定さを味わいたい人におすすめします。
[こんな人は次の機会に]
*他者を慮ることのできる優しい人
彼を止めることはできなかったのか。彼女ができることは他になかったのか。相手の気持ちに寄り添おうとする優しい人であればあるほど、考え込んで疲れてしまうと思うので気をつけてください。