あらすじ
「小夜と今年中に籍を入れたいと思う」。夕食の最中に告げられた、30歳の彼からの味気ないプロポーズ。23歳という自分の年齢が結婚に適しているのかどうかはわからなかった(小夜)。獣医の石川は、去勢手術をするたびに自分のモノが切られる夢を見る。そんなある日、友達以上恋人未満の女性とラブホテルへ行くことになり…(パンちゃん)。恋愛シミュレーションゲームをプレイするがごとくパパ活女子との逢瀬を繰り返す星野は、これまで出会った誰とも違う、ある女子大生と出会う(ゆい)。他2編。結婚、セフレ、パパ活、トラウマ……。現代を生きる女性のさまざまな顔を描く、たくらみに満ちた連作恋愛小説集。
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Posted by ブクログ
アイドル時代から知っていた松井玲奈さんの小説ということで興味本位で読んだみたけど、良かった。自分好みだった。
そういうことか、と気がつくたびに面白さがましていった。
読み進めていくと小夜という人間を徐々にわかった気になっていたが、読み終わると結局小夜ってどんな人間だ???となった。これが玲奈さんの企みというやつなのか…
最後の結婚式はなんか笑えてしまった。全てを知るって不可能だよね。どんな相手、どんな関係でも。それがいいのか悪いのか…人間て複雑。
Posted by ブクログ
SKE48時代から著者の松井玲奈を推している。
彼女のデビュー小説『カモフラージュ』は「食べることが大好きな彼女らしい素敵なお話だなぁ」くらいにしか思っていなかったので、『累々』も彼女らしさが光るキラキラしたもの……くらいの軽い気持ちで手に取ったら結構心を抉られた。理由は後ほど。
この物語は彼氏からプロポーズを受けて思い悩む小夜の話から始まり、彼氏の親友と体の関係だけを続けるパンちゃんの話、パパ活に励む美大生のユイ、大学の先輩との煮え切らない関係に悩むちぃ、そして、小夜の姿を今度は彼氏の視点で描いて終わるという連作小説の形をとっている。
話が進むにつれて「もしかして…」と思うような仕掛けがあるのが読んでいて面白かった。
心を抉られた理由は描写が生々しすぎたので。僕の知っている松井玲奈のイメージは天真爛漫、演技のためなら何でもする、綺麗な佇まいからは想像できないオタクな人って感じだったのが、音を立てて崩れていったのを感じた。あの松井玲奈がこんな文章を書くなんて…と読み終えてから茫然自失とした。
読み終わった後にため息が止まらなくなるが、読み終えた達成感も味わえた。
Posted by ブクログ
人は多面体という言葉がピッタリな内容だった。主人公が関わってきた色んな男の人たちについて描かれていて、読む度に主人公の見え方が変わった。読み返すのが楽しい本。
Posted by ブクログ
リアリティがあり、一人の女性を、何人かの男性の視点から語られる仕掛けがとても私好み。
「結婚ってなんだろう」と思いながらも、結婚を選ぶ女たちはとても多いと思う。そしてこのパターンで離婚せず、5年後の旦那様が幸せそうなのだから、二人にとってこの結婚は大正解だったと感じる。私は好きだな、小夜。
Posted by ブクログ
最初、短編小説集だと思って読んでいたので、第3話あたりで、あ!!!こことここが繋がっているのか!!!!と発見したときは驚いた。
リアルにこんな女の人がいたら絶対仲良くなれないタイプだなー。共感はできないなーー。と、主人公自体は好きじゃなかったけれどもストーリーが面白かった。
Posted by ブクログ
短編集。
2編目までは正直退屈で、こんな感じが最後まで続くなら途中で止めようかなと思っていたところ、3編目で「なるほど。そう来たか」と。
そこから最後まで一気に読み切りました。
主人公は「あー、いるね、こういう人」と思うような女性。女のズルさを持っていて、それをうまく使える人。人は誰しも二面性を持っているというのがとてもよく分かる作品。
私には彼女の幸せは砂の上にあるように感じたけど、死ぬまで崩れないのか、それとも途中で崩壊するのかどちらなんだろう?
Posted by ブクログ
だいぶ後半で同じ人物だと気づいた。
最後の章で婚約者、後に夫となる人の視点からは、かつてのセフレもパパ活相手も何か「今」の小夜を形成するにあたって良い影響を与えてきた人物達のように見えているように感じた。結局は誰だって主観でしかものを知ることはできないし、自分が知っている相手が相手の全てであるということを実感した。
ただそれで結婚生活が上手くいかない、とかの雰囲気はなく知らぬが仏であり、知らなくても関係は成り立つんだな〜〜と思わせてくれた。
Posted by ブクログ
この中の誰かになれるとしたら、間違いなくハジメ先輩になりたい。そう思えるほどに小夜の気持ちは傾いていて、いつまでもハシメ先輩の影を追っているように思えた。
最後の結婚式のシーン、幾つもの恋敵を超えてようやくゴールにたどり着いた葉さんだけが小夜の過去を知らずに笑っていて不憫で仕方なかった。何かとわだかまりの残る作品。
Posted by ブクログ
帯に惹かれ購入。
話数を重ねる毎にどんどん小夜の解像度が上がってく
前半は特に何も考えないで読んでたけど、後半は次はどんな小夜の一面に会えるのかなってどきどきわくわくしながら読んだ。
わたしが好きな話はちぃ。
他の話では人を翻弄する側だった小夜が、ちぃでは先輩や琴吹さんに翻弄されていて、意外な展開で面白かった。