【感想・ネタバレ】統計数字を疑う~なぜ実感とズレるのか?~のレビュー

あらすじ

「積極的な人」、「大人しい人」、「怒りやすい人」、「泣きやすい人」、「せっかちな人」、「のんきな人」など、人間一人一人が独特の性格や行動パターンを持っているのと同じように、ひとつひとつの統計も、「上振れしやすい統計」、「下振れしやすい統計」、「変動の大きい統計」、「変動の小さい統計」など、独特のクセや動きのパターンを持っているのだ。具体的事例で統計センスを身につける本。【光文社新書】

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経済統計や平均寿命など、サンプリングや調査の前提条件に思いを巡らすと、確かに様々な制約が課され、その結果実態と多少なりとも乖離してしまうことが起こるということを気に留めておきたい。

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2023年05月19日

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新聞やテレビ、インターネットで発表される数字が必ずしも真実を反映したものだとは限らない。それが意図的であるにせよないにせよ、歪んだ意味を持って我々に送られてくることがある。
本書では様々な統計データがどのような癖をもっていて、そのために真実とどのように違った結論が出てしまうのか、実例を豊富に挙げて説明されている。
発行が2006年とやや古く、内容が現在の社会と必ずしも一致していないが、数字との付き合い方を考える上で非常に参考になった。

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2017年03月29日

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合計特殊出生率は、晩婚化と高齢出産化が進んでいる状態では、低くブレる。

有効求人倍率は、求人方法の多様化で、上振れしやすい。

刑務所の過剰収容は、高齢者障害者のホームレス化が原因。

検挙率の低下は、受理数の増加も原因。

年末商戦には消費の平準化で下方バイアスがかかっている。

経済効果は新規需要に生産誘発額の二次的液状までを足す。産業連関表を使う。

産業連関表の限界。在庫があるため経済連関がストップしてしまう現象を把握できない。

シンクタンクの調査部は、金融機関の広告塔。名前をたくさん出すことに意味があるので、一般ウケしやすい経済効果が発表される。プラスの経済効果のみ強調されやすい。おもしろ経済効果を発表しているシンクタンクは信用しない。

DI=景気動向指数=先行・一致・遅行、それぞれいくつの指標が上昇しているか、の割合。100%でもほとんど変わらない場合がある。どちらの方向にあるか、はわかる。
CI=景気総合指数=景気の絶対水準がわかる。CIは景気の波と同じ動きをしている。ただし、製造業関連の指標が高い。製造業の生産とほぼ同一の動きをする。

世界の経常収支の合計は常に赤字。支払い利子を報告する一方で、受け取り利子を計算していないのではないか。

消費者物価指数(CPI)=毎月発表。
企業物価指数(CGPI)=サービス価格は含まれない
企業向けサービス価格指数=CGPIの補完
GDPデフレーター=名目GDPを実質GDPで割ることで求められる。包括的な指標だが、発表が遅い。4半期毎。

CPIには上方バイアスがある=代替バイアス、ラスパイレス型(基準時点の数量ウエイトのまま比べる)対パーシェ型(GDPデフレーター)(測定時点の数量ウエイトで比べる)=下方バイアスがある。フィッシャー型=ラスパイレス型とパーシェ型を幾何平均したもの。

中国の各地区のGDPを足すと、全体よりも大きくなる。GDPは、かなりアバウトな数字。
GDPの精度は、国が発展すると高くなる。

GDPよりも電力消費量の推移が当てになる。

裏経済=GDPに反映されない=犯罪と脱税
一定規模の地下経済があることを意識する。ときには経済全体に無視できない影響を及ぼす。無視すると景気判断を謝る。今後は肥大化する傾向にある。

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2015年09月26日

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普通に暮らしているだけでは気付くことのない、統計数字をそのまま鵜呑みにしてしまう間違いに気付くことができました。

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2015年05月04日

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 交通事故死亡者数は、ここ10年間で4割も減っている。なぜだろう。警察が努力したから? ドライバーが気をつけるようになったから? いやいや真実は意外なところにあった。警察庁の定義による交通事故死亡者数は、事故が発生してから24時間以内に死亡したケースのみをカウントする。救命医療の進歩によって少しでも延命できれば、最終的には死亡しても「交通事故死亡者数」は減る計算になるのだという。
 また、少子化はほんとうに急速に進んでいるのか?という疑問もおもしろかった。少子化の指標として、よく引き合いに出されるのが合計特殊出生率。15歳から49歳までの期間について、一人の女性が何人の子供を産むかを計算した数字である。これを真っ正直に算出しようと思うと34年間かかるので、実際のところは年齢別に出生率を掛け合わせるという工夫をしている。
 ここで、晩婚化・高齢出産化が進んでいる社会を考えてみよう。それまで全員20歳で結婚・出産した女性が、ある世代以降全員30歳で結婚・出産するようになったとする。この場合、あるタイミングでは「すでに出産を終えてしまった女性と、これからする女性ばかり」という期間が存在することになる。つまり、晩婚化が進んでいる社会では、合計特殊出生率は実際に比べて低めに数字が現れる傾向がある。反対に、早婚化が進んでいる場合は高ぶれする。
 本書はこういった意外な「統計数字」のクセやパターンを解読することで、隠れていた真相を浮かび上がらせる。「統計を疑え」というスタンスの、いわゆる「リサーチ・リテラシー」についての本は、たとえば『「社会調査」のウソ』(谷岡一郎/文春新書)がすぐに思い浮かぶ。本書がちょっと違うのは、統計としての条件を満たしていないゴミ・クズ統計や、ひきょくさい統計数字の使い方を批判するというのではなく、よく引用されるメジャーな統計にもそれぞれの個性があり、見方があるのだという点だろうか。
 第1章は平均貯蓄残高1728万円という数字がいかに「実感」からかけ離れているかという話から、「平均」の裏側を解説してくれていている。
 第2章は、犯罪統計や有効求人倍率、所得格差、などを題材にしながら「みせかけの相関」の解説。
 第3章は、「経済効果」について。景気がいい話のほうがマスコミに取り上げられやすいので、どうしても数字は上ぶれする。さらにたとえば「愛知万博」のおかげで中部圏のほかの遊園地で閑古鳥が鳴いたとしても、そういったマイナスは計上されない。
 第4章はGDPをはじめとした経済統計について、第5章は地下経済について。ここらへんはちっと「実感」と照らし合わせるのが難しい話も盛り込んであるか。前の章になるほどネタもおいしいしとっつきやすいというのは、読者が見えているというか、よくコントロールが効いているということなのだと思う。
 うーん。「どっちが先か」と聞かれたら『「社会調査」のウソ』からと答えるけど、「統計そのもの」の横顔が見えるという点で、これはこれでおもろい本。

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2014年03月30日

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「バレンタインデーやホワイトデー、ひな祭り、五月の節句、父の日、母の日、クリスマスなどは、毎年必ず訪れるイベントであるから、経済効果など全く発生していない。」

統計の数字を読むときに、その統計のもつくせを意識しよう、という本。統計をそこそこ勉強している者には特に面白いと思われる。少々かじっただけだと、あまり興味がないかもしれない。地下経済の話が最終章であり、それがGDPに与える影響については、なるほどー、と思った。

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2013年12月15日

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東証株価、合計特殊出生率、豊かさ指標、・・・・。卑近な統計に隠されたバイアス、クセ、謎をわかりやすく解説。短い文章でコンパクトにまとめられている。地下経済の存在、意外と出鱈目な各国のGDP数値、統計のバイアスを見誤った日銀。などなど、意外な事実に驚かされた。

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2012年08月13日

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経済統計の実感とズレる理由として ①平均の出し方の問題 ②通説がみせかけの相関が使われていること ③経済効果の出し方の問題点 ④外国の統計デ-タが当てにならないこと ⑤無視できない地下経済の5点をあげている。

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2012年08月11日

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統計学を始めたばかりという人,研究・ビジネスなどで統計数字を見る際の問題点・留意点を明確にしたいという人にオススメ。
統計数字は経済の状況を概観する上で必須のものですが,それらの数字の見かけの動きに騙されないようにするための解説が上手くまとめられて書いています。
ただ,紙幅上仕方のない事ですが,各種統計を網羅しようとする余り,全体的に浅くなってしまっている印象があり,「統計学」としての知識をより深めたい方はやはり本格的な統計学の専門書を読まれることをお薦めします。

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2012年04月16日

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統計自身が持つバイアスや意味を読み解く本。
経済効果の算出方法や統計に現れて来ない地下経済の規模についても述べられており、実態を正しく把握することの難しさが知れる。
為替やる時にはここも気をつけて指標みなくてはいけないんじゃないの?

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2011年09月02日

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マスコミの統計を鵜呑みにしてはいけない。
特に経済効果に関しては、以前から疑問視していたが
簡単に算出することができることを知り、やはりかと思った。

数字になると信じてしまう傾向があるので注意していきたい。

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2011年07月31日

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[ 内容 ]
政府や民間の調査会社など様々な機関が発表する統計は、私たちが経済や社会の動きを数字で把握するのに、とても便利なものである。
しかし、世の中に氾濫するたくさんの統計を正確に読みこなすことは容易ではない。
「積極的な人」、「大人しい人」、「怒りやすい人」、「泣きやすい人」、「せっかちな人」、「のんきな人」など、人間一人一人が独特の性格や行動パターンを持っているのと同じように、ひとつひとつの統計も、「上振れしやすい統計」、「下振れしやすい統計」、「変動の大きい統計」、「変動の小さい統計」など、独特のクセや動きのパターンを持っているのだ。
具体的事例で統計センスを身につける本。

[ 目次 ]
第1章 「平均」に秘められた謎(「平均」という「記述統計」 男性の好みは平均顔の女性? ほか)
第2章 通説を疑う(「みせかけの相関」にだまされない グレンジャーの因果性テスト ほか)
第3章 経済効果を疑う(誰でも簡単にできる経済効果の推計 生産誘発額 ほか)
第4章 もう統計にだまされない-統計のクセ、バイアスを理解する(景気判断の方法 なぜ私たちは景気の回復を実感できないのか ほか)
第5章 公式統計には表れない地下経済(経済の本音とタテマエ 「善女のパン」 ほか)

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2011年04月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

統計について、非常に分かりやすく書かれている本。特に、統計が実感と合わない時があるのはなぜか、の部分は興味深い。

数字やグラフが多い一方、扱う話題は私たちにより近いものが多い。多少の統計の知識があれば、より楽しく読めるし、むしろ無い人にもオススメ。統計の面白さにきづけるのではないでしょうか。と言っている私も多少齧っている程度なので、詳しいわけではありませんが…。

密度が濃い一冊です。

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2011年02月28日

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計算が得意とかではなく、“数字に強い”というのはビジネスにおいて重要だと思います。「地頭力」のように知識がなくても回答に導いていくための筋道が立てられる能力とか、私も身につけたいものです。
数字といえば、よくニュースで耳にする「平均○○万円」、「経済効果○○万円」、「倍率○倍」、といった統計数字。どうやって算出しているのかなぁ、ホントにそうなのかなぁという疑問は常にありました。手にとった「統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?」という本はまさにそんな疑問に答えてくれる事例がたくさん掲載された良書です。平均貯蓄残高、平均寿命、平均初婚年齢、有効求人倍率、犯罪件数、検挙率、所得格差、クールビズの経済効果…といった統計数字の算出方法と、なぜ実感とズレるのかというからくり(?)が明快です。目から鱗の連続。
分析の方法というか対象に対する見方・切り口、それから経済効果の裏に代替効果があるというところなどは大変いい勉強になりました。

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2010年06月29日

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統計の作られ方を知らないと、間違った判断をする恐れがあるよって話。GDPとか初婚年齢、平均寿命、世界の貿易収支を合計するとマイナスになる話などは特に面白かった。

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2011年01月23日

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斜め読み。統計を見る前には、その前提となっていることをきちんと理解していないと比較や判断の材料として使えないということがわかった。日本の交通事故の死亡者数は、ドイツに比べるとかなり低いという数字は、日本の交通事故の死亡者は事故発生後24時間以内に死亡した人であることに対し、ドイツでは事故発生後30日以内に死亡した人である。これでは、比較になるはずが無い。平均結婚年齢に関しても未婚者をカウントしないということもあり、こういう統計は前提をきちんと踏まえないと判断材料にはならないということがわかった。

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2009年10月07日

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シンクタンク出身で現在エコノミストとして活躍している著者が、主に経済統計の不確かさについて解説する本。2006年。平均所得など、単純に平均を取ったときには上の数値に引っ張られるため、現実よりも大きな値となり実感と異なってしまう。経済統計には重み付けをしているものもあるが、サンプルのとり方にも問題点が多く、必ずしも絶対に信じてよい指標というものではない。新興国のGDP成長率も、その国全域をカバーしているわけではなく、また、地下経済の動きも含まれないことから、本当にこれから発展していくのかを数値だけで判断するのは危険である。数々の指標を多面的に捉えながら実態を把握する必要を強く説いている。シンクタンクから発表される○○の経済効果に意味がない、という意見には納得。

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2009年10月07日

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 著者自身も言っていたが、途中難しくてかなり読み飛ばした。テレビでの印象と違って、かなり固い文章を書かれる人だ。
 様々な調査機関で発表される統計は、色々なバイアスがかかっている、またはバイアスを考慮されていないものや、定義が途中で変わっているものがあるとのこと。交通事故や犯罪の検挙率の実態が興味深かった。2011年発刊のため、経済効果の章で冬ソナについて述べられていたのが、何とも懐かしかった。

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2022年02月03日

Posted by ブクログ

いろんな統計の本で普通に出てくるエラーの説明。
具体的な話が多かったので面白いかなと思ってたんだが、話が経済指標になって来ていきなり興味を失った。いや、興味ある人にはいいんだけど、ぼくにはないだけ。
最後には地下経済の功罪にも触れていたが、もはや統計とは関係なし。経済学の本だったのか。

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2018年03月14日

Posted by ブクログ

毎週楽しみに見ている「ほんまでっか」TV。
その番組に経済評論家として出演されている門倉氏の書。
テレビでのキャラ?に反して、読みにくい文章だ。いや、テレビでも何を言っているのかわからない時はあるが…。
しかしながら、統計数字が”なぜ実感とズレるのか?”という視点は面白い。クイズ形式のように自問自答しながら読み進めるといいと思う。正直、読みにくいところは、すっ飛ばしてしまったが、それなりに”実感”できたと思う。

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2017年09月10日

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ネタバレ

統計をそのまま鵜呑みにするのではなく、どうやて計測されているのか、一度落ち着いて考えてみる、というもの。
とりわけ「実感」とずれている場合、「平均」という言葉に惑わされているパターンが多いとのこと。

例えば、分布が正規分布でない場合はここに当てはまる。しかし単純に計算して平均を算出すると、実態と乖離した数値がはじき出される。

また、言葉の定義が確認されないまま、情報をキャッチしていることもうかがえる。
つまりコミュニケーションの問題でもあるように感じる。

一つ一つ精査することは無理だが、「どうも変だ」というところを感じるものには、確認が必要ということ。
保険会社が交通事故での死亡者が事故の現象により減っている、ということにと数値を見るだけで思ってしまうと大事。(そのあたりの仕組みは不明だが)。

逆にいえば、うまく使えばコントロールもできそうなイメージが。。。

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2016年10月26日

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たぶん分かり易く書いてあるのだろうと思う。
でも、難しい。
視点はなかなかユニークな気がするが、面白さが分かるレベルに達しないのが残念。

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2014年09月28日

Posted by ブクログ

統計の算出方法は定式化されており,その算出結果の意味あいを正しく理解しないと大きな勘違いをしてしまう。その例がいくつか紹介されています。最後は地下経済の大きさについて論じていた。正直,あまり面白い内容は無かった気がします。

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2011年04月16日

Posted by ブクログ

「ホンマでっか?TV」ではいい味を出してる門倉先生だが、本書は硬派に統計学を綴っている。

前半はなんとかついていけたが、後半はささっと読み飛ばしながら読んでしまった。

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2011年01月29日

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★一読すれば十分か★ずば抜けて面白いわけではないが、「みせかけの相関にだまされない」とCPIの特徴は参考になった。CPIはラスパイレス型(基準時点の数量ウェイトを用いる)で、安いものに代替する効果が働かないため、時間がたつにつれて本来よりも上ブレしやすい。GDPデフレータはパーシェ型(測定時点の数量ウェイト)なので下ブレしやすい。それからこの本に地下経済を無理やり入れるとは、このテーマが本当に好きなんだな。

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2010年11月28日

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経済統計の出し方など、今さらながら勉強になりました。上振れ・下振れしやすいデータなど、いろんなクセがあるんだなーと。

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2024年10月18日

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● 実は、この「平均」が私たちの実感とぴったり合うのは、データの分布が図2の正規分布という特殊な分布に従う場合だけである。

● 経済効果を算出するのに都合のよい一部の数字だけをみるのではなく、マクロ経済全体でとらえた場合には、この試算のなかに含まれていないマイナスの経済効果が多数発生しており、現実の効果は相当程度減殺される。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

統計のゆがみ、バイアスを
詳しく解説している本。

経済効果の予測について、とか
GDPのゆがみ、だとか身近な例も
でてくるのでさくさくと読めた。

統計学の基本をちょこっとかじったあとだと
よりおもしろく読める。と思う。

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2009年10月04日

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統計を読むときは、それがどのようにして集計されどのような誤差を含みやすいかを理解しておかなければ、適切に解釈できない、ということを事例を交えて解説する。第1章では算術平均、幾何平均など様々な平均の求め方を紹介し、「平均」をどのように読み取るべきかを解説する。事例として平均貯蓄残高、東証株価指数、豊かさ指標、平均寿命、初婚年齢などがあげられる。第2章では統計の裏付けがあるかのように語られる様々な通説を疑う。みせかけの相関に騙されないために、その統計の持つ意味をとらえることが重要だとする。事例として割れ窓理論、有効求人倍率、検挙率、年末商戦、サービス残業、所得格差、デフレなどがあげられる。第3章では「○○の経済効果」がどのように算出され、どの程度意味があるのかを解説する。一次効果を推計して、「産業関連表」を使って機械的に算出する過程を解説し、それがいかにあてにならないかも述べる。第4章ではGDPなどの経済統計の算出方法や、そのブレの傾向を解説し、ブレの傾向を把握しておかないと誤った経済政策を導きかねないことを述べる。第5章では地下経済について。GDPには表れない経済が、決して無視できない大きさのものであることを推計する。目次 第一章 「平均」に秘められた謎 第二章 通説を疑う 第三章 経済効果を疑う 第四章 もう統計に騙されない −統計のクセ、バイアスを理解する 第五章 公式統計には表れない地下経済一〜二章で統計の集計方法とそのクセを理解しておくことの大切さが繰り返されるが、統計を疑うために別の裏付けある資料・統計を持ってくるのではなく、定性的な意見が述べられるだけなので、少々説得力にかける。三〜四章は筆者の専門分野。各産業間の関連性が指標として算出されており、それを使えば経済効果が半自動的に搬出されるという種明かしは特に興味深かった。最後の「地下経済」とは、犯罪の他にも脱税があげられる。推計される脱税やそれによる隠し資産の規模が、意外と大きなものであることに驚かされた。全般に統計一般というよりも、経済統計・指標を通して社会を読むためにはどのようなことを考慮しなければならないか、という点が主眼であるようだ。

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2011年04月26日

Posted by ブクログ

統計リテラシーの本。・平均値は正規分布するときのみ意味があり、モードやメジアンと使い分けるべき・データの作られ方失業率はハローワーク経由のものを数えており、最近ではハローワーク以外の求人が多く、上振れしやすい。「経済効果」の算出もインパクトを出そうとしてマイナス面を無視したものになりがちだし、算出根拠がいい加減(皇室男児誕生の経済効果の時は「1500兆円の個人資産の1%ぐらいが支出に回るだろう」というだけで算出されたり)だったりするので重視する必要はない)・共産主義社会では覚えをめでたくするために過剰な報告をしていたのが資本主義になると節税のため過少報告になり、GDPは下振れする。グレンジャーの因果性テストというものがあり、相関関係から因果関係を判定するために各変数について説明性がどの程度かを判定する。

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2011年08月07日

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