あらすじ
いま世界の名だたるトップ企業の間で、
「行動経済学を学んだ人材」の争奪戦が、
頻繁に繰り広げられている。
1人の人材獲得に何千万円もの資金が動き、
企業には「行動経済学チーム」までできている。
ビジネス界の要請を受けた世界のトップ大学が、
次々と「行動経済学部」を新設し始めている。
MBAのように、多くのビジネスパーソンが
行動経済学を学びに集まっている。
もはや行動経済学は、
「ビジネスパーソンが最も身につけるべき教養」
となっているのだ。
しかし、行動経済学は新しい学問であるが故に、
これまで体系化されてこなかった。
理論を一つ一つ丸暗記するしかなく、
なかなか「本質」がつかめなかった。
そこで本書では、基礎知識をおさえた上で、
「ナッジ理論」「システム1vsシステム2」
「プロスペクト理論」から、
「身体的認知」「アフェクト」「不確実性理論」
「パワー・オブ・ビコーズ」まで、
「主要理論」を初めて体系化するという、
これまでにない手法で、行動経済学を解説する。
※カバー画像が異なる場合があります。
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Posted by ブクログ
本書は、行動経済学の基本概念を平易に紹介し、意思決定の歪みを理解するうえで役立つ入門書です。経営視点で見ると、「人は合理的に行動しない」という前提を明確に提示しており、マーケティングやマネジメントの基礎として一定の価値があります。しかし、紹介されている内容は概念レベルに留まるものが多く、ビジネス現場への具体的な応用や仕組み設計まで踏み込んでいない点が評価を分ける部分です。意思決定バイアスの理解は有用であるものの、組織設計や事業戦略に直結する示唆は限定的で、経営の武器として使い切るには追加の知識が必要です。
また、例示の多くが一般消費者の行動を扱っており、組織内部の意思決定やマネジメント課題に対しては、抽象度がやや高いと感じる場面があります。経営者として実務に落とし込むには、別途フレームやプロセスが必要となるでしょう。
Posted by ブクログ
概要を学ぶために網羅的に描かれていると思う。
どこかで聞いたことある、なんとなく知っている効果が出てくる。
・行動経済学とは「人間の非合理的な意思決定メカニズムを解明する」学問
・人間の行動は意思決定の連鎖である
・非合理な意思決定をする要因は「認知のクセ」「状況」「感情」の3つ
・システム1(直観/認知のクセ)で判断せず、システム2(論理)で自己チェックすることが大事
・人間関係は依頼と同意で繋がっており、毎日が交渉の連続である
Key word
・現状維持バイアス・デフォルト効果:これらを排するために「クリティカルシンキング」でバイアスを認知する。一から考え直す。
・損失回避
・埋没コスト:費やしたお金・時間などを取り戻そうとするバイアス
・機会コスト:うまくいっていない状況に費やしているお金・時間などを別の機会に費やすことで新たな機会を生む
・エスノグラフィ:対象となる顧客の生活まで入り込む。
・確証バイアス:何かを思い込むとそれを証明するためのエビデンスばかりを集めてしまう→避けるためにはフィードバックを求める
・快楽適応:幸せだと感じることを継続すると幸福度がもとに戻る。時間を細切れにすることで幸福度の上昇が長続きする。⇔嫌なことは「一気に」やってしまうとよい。嫌なことを細切れにすると嫌な気持ちがずっと続く
・初頭効果と親近効果:最初と最後が印象に残りやすい
・プライミング効果:提示されたプライマー(刺激)(色・音楽・位置・匂いなど)が無意識のうちに人の意思決定に影響を与えている
・フレーミング効果:同一の内容でも強調するポイントで受けての意思決定が変わる
・アンカリング効果:最初に提示された数字などが基準となり、その後に続くものに対する判断が非合理にゆがむ
・強い感情(エモーション)と淡い感情(アフェクト):ポジティブアフェクトを利用する。人は絶えずアフェクトの影響を受けている。ネガティブアフェクトは無視したり抑え込むほど悪影響になる可能性があるので、受け入れてポジティブにとらえなおす。