【感想・ネタバレ】黒猫の遊歩あるいは美学講義のレビュー

あらすじ

でたらめな地図に隠された意味、
しゃべる壁に隔てられた青年、
川に振りかけられた香水、
現れた住職と失踪した研究者、
頭蓋骨を探す映画監督、
楽器なしで奏でられる音楽……。

日常のなかにふと顔をのぞかせる、幻想と現実が交差する瞬間。美学・芸術学を専門とする若き大学教授、通称「黒猫」は、美学理論の講義を通して、その謎を解き明かしてゆく。

第一回アガサ・クリスティー賞受賞作!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

森晶麿さんの黒猫シリーズ第一作目、アガサクリスティー賞受賞。
話は黒猫と付き人が出会うところから始まる。
ポオの作品の解剖も面白いですが、何かを人に教える側の黒猫、教育上手い!
ミステリとも恋愛小説とも取れる二面性のある小説です!

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2019年06月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

物事を解釈するということはこういうことなんだろうなぁと思った。本筋とは全く別な話だけども、美学とはこういうものかというのがわかっただけでも意味があった。

ミステリーとしては、人が死ぬことがあるにも関わらず、淡々とものごとがすすんでいく様に日常なのナゾなのかとおもわされる不思議なペースがある。謎解きも「美的推理」という素人が介在できない小難しさがあって、読者としては入り込めない感もあるが、逆にそれが作品の魅力とも言えるような印象。

大げさに持ち上げるつもりはないけど、ある意味難しいナゾを婉曲的に解くという古典のような作品なのかなと思った。

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2018年06月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

黒猫の回帰の文庫版が出たので再読。最初に出会ったのは大学生の時だったので、久しぶり。

「月まで」と「月と王様」は互いに相互的関係にあるなあと思った。そして今後の黒猫と付き人の関係にも……。

「壁と模倣」「頭蓋骨の中で」はどちらも悲しいひとりの人間の物語だった。〈自分〉を持たなくなった青年と、〈自分〉とのせめぎ合いに苦しむ人の話。後者は生と死の相反するようで同じところにあるものという解釈を初読では持っていたので、また違う楽しみ方もできた。

「水のレトリック」は初読では、イマイチ理解追いつかずだったけど、今回はなんとなく理解。詩的というか言葉遊びの世界というか。

「秘すれば花」の存在と不存在。黒猫と世舟の話はポーの「盗まれた手紙」のデュパンとDのよう。木の葉隠すなら森の中。

今後の展開を知っていると付き人と黒猫の関係は安定だなあと。

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2017年10月12日

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ネタバレ

タイトル買い

森博嗣さんも難しいこと言うけど、この人はタイプの違う難しさ
美学博士なだけあって使う単語とか言い回しとかは綺麗なんだけど意味が分からなすぎる笑
それ楽しめれば、ポォ?の作品を知らなくても楽しめるのかしら

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2020年01月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「ジャケ買い」なんて言葉がありますが、美しい装丁や言葉のリズムに惹かれて手に取る作品というものがあります。
今日、手に取った一冊はそんな一冊。

早川書房が主催する第1回アガサ・クリスティー賞受賞作。
24歳にして教授職につく通称「黒猫」と、同じく24歳でエドガー・アラン・ポオの研究者「付き人」が出会う6つの事件を通じた物語。
殺人事件と名探偵といった狭義のミステリではない、いわゆる「日常の謎」系の短編小説。

かなりクセの強い小説。ミステリよりも、黒猫と付き人、各編に登場する人々の幻想のような淡く浮かぶ恋物語を感じる小説、だと思う。
そういう意味で、英国アガサ・クリステイー社の許諾を得て募集した第1回のアガサ・クリスティー賞がこれでいいの? という気持ちで揺れてしまいます。
「黒猫」も「付き人」も研究者であるが故に、会話も高尚すぎてついて行けない点が多数。焼き鶏屋で、「焼き鳥というのも死のアレゴリーになったりはしないのかしら?」「んん、普遍性がまだ足りないね」なんてやり取りをされると、もうね……。

選者の一人の北上次郎さんは「謎解きではあるけれど、そこに人間のぎりぎりの営みがあるという点で素晴らしい。」と評価されていますが、この点は同感。
人を想う、生きる、死ぬが全編とも書き込まれており、その一つ一つを「理解」できなくても「感じる」ことが出来、読み終えたあとに何か小さなものが読者の心に張り付きます。

美学講義に囚われると、難解でつまらない作品になりますし、それに囚われずに作品全体を音楽のように流して感じることが出来れば……個人的にはあまりはまれない作品ではあります。
選者にも指摘されていましたが、エドガー・アラン・ポオの作品をモチーフにしながら、ネタばらしをしている点はちょっとマナー違反な気がします。

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2014年09月07日

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ネタバレ

「あらすじ」
でたらめな地図に隠された意味、しゃべる壁に隔てられた青年、川に振りかけられた香水、現れた住職と失踪した研究者、頭蓋骨を探す映画監督、楽器なしで奏でられる音楽。日常のなかにふと顔をのぞかせる、幻想と現実が交差する瞬間。美学・芸術学を専門とする若き大学教授、通称「黒猫」は、美学理論の講義を通して、その謎を解き明かしてゆく。第1回アガサ・クリスティー賞受賞作。

とまぁ、美学理論を通して「日常の謎」を解く短編集。ミステリというより、文学な趣きだった。多分、ポオの作品に通じていれば、より楽しめる作品。

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2013年11月22日

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ネタバレ

美しく流麗で静かな文章を書く人です。キャラもたっていてテンポもいいのに、軽すぎない。黒猫の洗練された会話や語り口は、それだけでワクワクします。連続短編集なのですが、どの短編も、最後の一行が美しく、幸せな余韻に浸れます。

アガサクリスティ賞とのことですが、純粋にミステリとして読むと期待外れかも。伏線が後出しだったり御都合主義だったりな感。美学談義も面白かったのですが、私自身素地となる知識が不足していて、半分ほども理解出来ませんでした、残念。


それにしても、タイトルだけでも心惹かれますよね。美学の名に恥じず美しい。

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2013年09月20日

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