あらすじ
父のからだに、なにかが棲んでいる――。姉妹と父に残された時間は一年。その日々は静かで温かく、そして危うい。第38回太宰治賞受賞作と書き下ろし作品を収録。
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Posted by ブクログ
賞を取った表題作の父と娘2人に通い合う情愛はしみじみと温かく1年と時間をくぎられた中で壊れゆくものをぞっと守っているような緊張感に満ちていた。
もう1篇の「らくだの掌」のひょうひょうとした並木さんのありように心が締めつけられた。とても好きな作品です。
Posted by ブクログ
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父が死を宣告され弱っていくのを看取り妹と三人で鮎釣りなど季節に沿って暮らす。自然描写は美しかった。「しろい手」が死んだ母の象徴となっているところも。恋人と別れたのが子供を産みたくない→最後に出てくる悲しみも体もそれぞれその人のものなのだ、ということの連想ならそのテーマはあまりにありきたりだと思う。評論家の荒井さん以外はすごく推しているようには選評ではみえなかった。
最初、すべってるように思われた表現や比喩(→これは選評にもやはり同じことが書かれていた!)も、読み進めれば慣れていった。中編で連作短編のように4つの章立てで季節を進めていくのはアリなのだ、と思った。
一緒に暮らす妹は主人公と全く同じ方向を向いて考えていて、要る?と思う。そういうことを「鳥がぼくらは祈り」で指摘していた柴崎友香さんを思い出した。