あらすじ
ピコタンはちょっと変わった女の子なのかもしれない。なぜかといえば、冒険をしたいと、いつも夢みているから。ある日、遊園地のお化け屋敷に迷い込み、同い年ぐらいの女の子の幽霊に自分と入れかわりになってくれと頼まれて、あの世へ――。この世とあの世、生と死の世界の垣根を跳びこえて、両方を見渡したとき、ピコタンが初めて知った愛、友情。いつまでも優しい気持ちを失わない、大人も子供も、いっしょに笑い涙する最高のファンタジー。
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Posted by ブクログ
好奇心いっぱいの元気な女の子・ピコタンと、もう一度だけママに会いたいと願う幽霊の女の子のお話。
先に劇団四季のミュージカル版に触れてから(と言うか死ぬほど感動してから)原作を読んだパターン。今回、十数年ぶりに再読しました。
原作には霊界空港もエンジェルもデビルもメソも、更には夢の配達人のおじさんすらも登場しないんですが、その分テーマが明快で、この潔さがすごく好きです。
「ピコタンのいちばんうれしかったことといったら――人を信じて、それに相手がこたえてくれたことだろう」(本文より)
そうなんですよね~、後先考えずに幽霊との一日交替を買って出るピコタンを嘲笑するのは、他人を信じられない、つまり裏切ったり裏切られたりした事のある大人なんですよね~。だからまだ9歳のピコタンにしたり顔で「そんなに簡単に他人を信用するなんてバカだな」って言うんだけど、本当は、簡単に他人を信用できる(=信用に足る相手に出会える)ことの素晴らしさなんて誰でも分かっているというか、むしろ大人だからこそその尊さを思い知っているんだよな~。
相手の境遇に心から同情し、且つ自分に置き換えて考える想像力と思いやりを持った少女。そんな彼女からの信頼に全力でこたえた、芯の強いもうひとりの少女。
2人のたった1日だけの邂逅に、「人生意気に感ず」ってほんとこういう事だよね、と感じ入りました。