【感想・ネタバレ】ぼくらの祖国のレビュー

あらすじ

「ぼくらの祖国」とは、われらの魂のキーワード。失われた故郷の復活。さあ、貴方の手に。

ぼくは知らなかった。なぜか。日本の学校では、教えないからだ。日本の大人も、語らないからだ、きみも、あなたも、ぼくもみんな日本国民だ。だけど日本をそこく、祖国として考えたこと、はっきり祖国として意識したことが、どれほどあるだろうか。東日本大震災と福島原子力災害が起きてしまった後の日本でこそ、それを問い直したい。

※この電子版は扶桑社刊「【扶桑社新書】ぼくらの祖国」(2015年8月15日 初版第一刷発行・2019年5月31日 第十刷発行)をもとに制作されております。
※この電子版はカラーページがございます、カラー表示できる端末での閲覧を推奨しております。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

 今まで”領土”や”祖国”と言った言葉を日常で聞いてこなかった人に一度は読んでほしい本です。

 主に筆者の体験談を筆者の当時の想いとともに書き連ねている体験記のような本となっており、小難しい専門用語はほとんどありません。そのため、高校生レベルの知識があれば誰でも理解できる平易な文章となっており、内容が頭に入ってきやすいです。

 また、実際の体験記という内容の特性上、インターネットで調べればすぐに出てくる内容ではなく、福島第一原発や硫黄島の様子を取材しに行く際の実際の政治的な圧力や著者の人的ネットワークによる対応などがありのままに述べられています。まるで一つのドラマをみるかの如く感情に訴えかける内容となっているため、興味深い内容となっています。

 私も普段の生活で上記のような言葉をあまり聞かなかったため、領土問題やエネルギー問題について考えるきっかけになったり、ニュースに取り上げられた時は興味を持って聞くきっかけにはなりました。

 とはいえ、書いてあること全てをそのまま鵜呑みにするのもいかがと思います。

 例えば、尖閣諸島に関する内容と硫黄島の滑走路引き剥がしに関する内容とで情報の密度が異なります。
前者については、時系列順に国際的な取り決めが並べられ、”中国が対外的に示したものを並べるとこうなる”ということが示されているため、中国の意見がおかしいということについて納得しやすいものとなっています。
一方で、後者については、引き剥がすべきであるという主張のみが述べられ、具体的に今後○年以内における○○という予算をこちらに当てるべきである、と言ったような具体的な実行策にまでは話が掘り下げられていません。
 著者の専門外なのかもしれませんが、物事の必要性だけ述べて実行策を述べないのでは、説得力に欠けるのではないでしょうか。

著者が間違ったことを述べている、と言うつもりはなく、著者が述べた事実・意見をもとに、読んだ人が興味を持って具体策を考えていく必要があるのかもしれません。

 この本の初めの方に”それぞれが自らに問うていくことが、もはや間違いなく全ての始まりだ”と記されているように、考えるきっかけとしてとても面白い本と思います。

0
2020年10月11日

「社会・政治」ランキング