あらすじ
2022年、出生数がついに80万人割れ!
わずか7年で20%以上の減少
2030年までが最後のチャンス
・2025年には出生数70万人割れ?
・第1子に手が届かない人、結婚しても子どもを希望しない人が増加
・現金給付依存の危険性
・若者の経済・雇用環境の好転が不可欠
・「経済成長はもういらない」という老人を怒鳴りつけたい
・非正規雇用の女性は結婚・出産に後ろ向き
・フィンランドも実は日本並みの出生率に低下
・東京の企業に一本釣りされる地方の優秀な女性
・育休中にリスキリングしてはいけないのか etc.
なぜ少子化は止まらないのか。どのような手を打てばよいのか。若者の意識の変化や経済環境の悪化、現金給付の効果など、人口問題の専門家が様々なデータを基に分析、会話形式でわかりやすく解説します。
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Posted by ブクログ
近年、急激に進行する少子化に関し、なぜ止まらないのか、どのような手を打てばよいかなどについて、人口問題の専門家であるシンクタンク研究員の著者が、様々なデータを基に分析し、対話形式で解説。
近年の少子化の主たる原因は、非婚化・晩婚化よりも若い世代を取り巻く経済・雇用環境の低迷にあるとし、結婚や出産を希望している若い世代が、自らの経済・雇用環境などの制約から、その望みをあきらめてしまっている現状こそが、少子化を解決しなければならない最大の理由であると主張する。そして、とるべき対策としては、若い世代の経済・雇用環境の改善が最優先であるとし、子どもを持っていない若者に恩恵の少ない現金給付一辺倒の少子化対策に否定的な見解が示される。また、子育ての社会化やジェンダーギャップの解消も不可欠だと主張している。
豊富なデータに基づき、対話形式で少子化問題とその対策について、様々な観点から解きほぐすという内容で、わかりやすかったし、とても勉強になった。少子化対策を考える上で一読の価値があると思う。
大学の役割など、一部著者と考えが異なる点もあったが、著者の主張には肯くところが多かった。自分は従来、目先の少子化対策よりも「人口が減っても豊かに暮らせる社会の構築」、本書でいうアダプテーション戦略を重視すべきだと考えていたが、本書で、そのためにも一定の人口規模と経済成長が必要との考えに触れ、腑に落ちるところがあった。また、多子加算への疑義の指摘も納得感があった。そして、とりわけ、非正規雇用や家事・育児負担が女性に偏っているとして、社会全体でその解消を図ってくことが重要である旨の主張には大いに賛同するところである。
Posted by ブクログ
若い世代が、この国で家族を持ち、子を生み、育てていきたいと思えるようにしなきゃダメ、という主張は、全面的に賛成です。
そして、若い世代に広がっている非正規雇用が子供を持つことを諦めさせている、ということもよくわかりました。
でも、その解決方法は、経済成長なの?
経済成長は七難隠すというか、文句なく社会が活気づいて、先行き明るく感じられそうということはよくわかる、でも、それって、今となっては単なる過去の成功体験に縋ろうとしているだけのような気も??
コロナ禍で、エッセンシャルワークと賃金は全く関係ないとわかった。
働けど働けど、ちっとも明るい未来や安心が見える気がしない。筆者は、もっと経済優位性を保てるようなビジネスモデル展開を、みたいなことも書いていて、そういう観点でも日本はまだまだよね、とも思いつつ、、、、でも、経済成長を追い求めるのが、ほんとに、「正しい解(目指すべき方向)」なの?
、、、ワンオペ育児問題の解決策として、「社会全体で子育てをサポートする」という言葉がある。
この本に限らずよくある意見だと思うのだけど、それって、「お金で解決できる選択肢を増やす」っていう意味なのだろうか?
私自身、お金でなんとか綱渡りしてきた部分も多々あったので、そういう選択肢が増えるのは、それはそれでありがたいとは思うものの、際限ない経済活動にいつまでも振り回されているようで、次に子を産み育てる世代には違う解決法があったらいいな、と思う。
具体的に、これ、と言えないのが歯痒いのだけれど。