あらすじ
世界をリードする65人が執筆
2011年3月11日に日本を襲った東日本大震災、津波被害、そして福島第1原発問題。現在、世界中の目が日本に向けられている。日本は復興に向け動き出したが、震災以前から抱える数々の問題は依然日本の将来に影を落としている。国内政治の混乱や巨額の負債、高齢化、硬直化した教育制度と若者の意欲喪失に加え、技術や革新の分野での国際競争力の低下や外交問題など、憂事は尽きない。本書は、世界的な経営コンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーが、世界のオピニオンリーダーに日本が直面する問題について、それぞれの視点での提言を求め、それをまとめた1冊である。著者の方々はその優れた洞察力のもと、時折ユーモアも交えながら、日本への愛情に満ちた筆によって日本の過去、現在、そして最も重要な未来を描き出している。グローバル企業のCEO、ピューリッツァー賞受賞作家、ゲームクリエイター、サッカー監督、民間人校長、漫画家、建築家など、幅広い顔ぶれの寄稿者がそれぞれの視点で日本を語るというユニークな企画により編まれた本書は、いまの日本を読み解くための手がかりとなるだろう。
著者
武田薬品工業 代表取締役社長 長谷川閑史
ルノー 取締役会長兼最高経営責任者(CEO)、日産自動車 社長兼CEO カルロス・ゴーン
ソフトバンク 創設者・代表取締役社長 孫正義
ファーストリテイリング 代表取締役会長兼社長 柳井正
サッカー日本代表 前監督 岡田武史
国際情報専門フリーライター、コンサルタント、『エコノミスト』前編集長 ビル・エモット
スターバックスコーポレーション 会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)ハワード・シュルツ
漫画家 弘兼憲史
ディー・エヌ・エー(DeNA) 最高経営責任者(CEO) 南場智子
ほか46人
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Posted by ブクログ
何度でも読み返したい本。
日本に対する危機感とともに希望をこめた内容になっている。
経済的視点、政治的視点、文化的視点等からいろいろな方々の寄稿によってできているところが特徴。
Posted by ブクログ
各著名人から日本の未来についての提言を頂き、それをまとめた本。
他のレビューでもあるように、様々な意見をまとめたものであるため、一つ一つはシンプルではあるが、想いや提言が詰まっていて参考になる。
キーワード三つ①起業家育成環境の創生②人事制度の改変③グローバル化への対応。
その他
・武田製薬長谷川氏
成長力の原動力は労働力・投資・イノベーション。
他社が容易にまねできない部品を作るか、新しい概念・発想を生み出すか。
電子機器メーカーは停滞した国内競争で力をそがれ新興国に進出できないでいる。グローバルな競争力をつけるために、経済産業省がこうしたメーカーに合併を促していくべきである。日本は独特の社会主義経済の側面をもっている。監督局長が積極的に介入し、助言する必要がある。一方で新たな産業を開拓し、日本経済の新たな成長を牽引していくべき。
・日産カルロスゴーン
日本の価値①サービスの質。消費者への対応は節度と謙虚さを旨としており、これほど信頼がおけて期待にたがわないサービスは他の国にない②シンプルさを大事にする点。複雑な社会は混乱を招くが、日本ではシンプルさを大事にするがゆえ、混乱をまねかない。③プロセスを尊ぶ国民性。日本人は継続的な改善の達人。
日本では変革をシンプルにし、しっかりと説明を行い、人々の気持ちを変革に向けさせる必要がある。
日本企業にとって難題となるのが、ダイバーシティ多様性への対応。これを理解してとりいれないと、グローバル競争で勝ち残ることは難しい。エンジニアリング、製造、ロジスティクス業界では、日本は安定して力を発揮してきた。だが、コミュニケーションやマーケティングの能力が明らかに弱い。こうした能力をあげるためには、部門を超えた共同作業を増やし、ベストプラクティスを共有させること。また、日本では数字に対する意識が低い。米国ではいたるところで数字が出てくるのに対し、日本では自社の数字さえ知らなかったりする。日本ははっきりした方向感をもっていないことが問題だ。時間をかけてビジョンをつくり、シンプルにして説明し、意味のあるものにすること。リーダーがこれをできれば変革できるはず。
・ソフトバンク 孫正義
アップルはハードウェアやソフトウェアをデザインし、新しいビジネスモデルを創造し、極めて洗練されたビジネスを展開している。日本はIT・デザイン・マーケティング技術を獲得すべき。
・デビットサンガー NYシティタイムズ
日本が取るべきステップは移民を受け入れること。インテルはハンガリーからの亡命者が共同創業者である。日本が移民にオープンであれば、マイクロプロセッサは日本でできていたかもしれない。
もう一つは政府債務から抜け出すこと。
・アダムポーゼン
女性・若年労働力を十分に活用できていない。
・岩崎夏海
組織の最適化という意味では園を集めて大きくするばかりではなく、各自の生き方に合わせて最適な規模の円を目指すこと。規模は戦略を規定し、戦略は規模を規定する。右肩あがりの社会を目指すのではなく、質的に最適な社会づくりが望まれている。
・マッキンゼー ゴードンオール他
企業のトップ層は自社ならではの強みや能力を明瞭に理解し、社のグローバル戦略に盛り込むべき。英語へのシフトが決定的に重要なのは、利用可能な人材が一気に増えるから。人事が果たすべき機能を再検討し、キャリアパスの報酬や実績評価など新たなアプローチを盛り込んだ雇用戦略を導入すること。能力主義を採用し、多様性を重視するやり方こそベストプラクティスと言える人事管理プログラムとして位置づけられる。戦略的な人事管理により最高の人材を誘致し、ふさわしいポストをあてがう。あいたポストにはめこむことをしていてはだめ。
多様性を推進すべく女性や外国人や、他社や他業界出身の管理職の採用増に向けた目標を設定する。目標がないと人事部にとって指針になるものがないし、進展があったかどうかもわからない。
海外が昇進につながるようにすることが必要。人事部に人材戦略や人材育成にもっと責任を持たせる。リーダーシップ開発プログラムの創設、管理職向けコーチんぐ支援など。グローバルマーケティングが重要な役割をはたしている。顧客経験や顧客インターフェイスが一貫していること、他の業界や市場からヒントをえて、取り込める能力があること、最新の技法を駆使して顧客ニーズの一層の理解に努めていること。これおがワールドクラスのマーケティング能力がある会社の共通点。
・ハワードシュルツ スターバックス
企業文化は変えずに取り組んでいくことが大切。
やり方は変えることがあったとしても。
日本の近代の成功の基礎となった特質は強固な労働倫理、品質や細部、緻密さへの配慮。
イノベーションへの情熱。日本は本来持つ美徳を保ちつつ、起業家精神と過度なリスク感覚を持つ必要がある。
・ボブマクドナルド PG
未来は予測がつなかない。だからこそ未知の領域に挑戦し、経験から学びながら自らを順応させていく必要がある。
PGは海外で経験をすることでその会社の事業と、企業風土を世界的な視野から学ばせる。
・坂根正弘 コマツ
グローバルな企業のリーダーは次の4つをしなければならない。①世界の変化を読み取ること②自らの組織の長所と短所を把握すること③企業価値を考えること④解決策を提示できる人材を育成すること。
今必要とされているのは特に企業価値の再考である。
企業価値とは社会とすべてのステークホルダーから寄せられる信頼の総和。
絶対的な信頼を寄せてくれる顧客をいかに増やすか。
着眼大局、着手小局。部下からの報告に頼るのでなく、自ら外へ出て、動き、自ら見ること。
都市化により取り組むべき4つの課題。資源、エネルギー、食料、水、地球環境。医療も
・インフォシスCEO セナパティ
日本の選択肢。①外から内へ(アウトサイドイン)モデルを試す。海外で試したものを世界展開する
②ITを企業戦略の重要な柱とする。 ITはコストセンターと考えることをやめ、ビジネスイノベーションや競争優位の中核ととらえる。新たなテクノロジーをいかしてどうビジネスモデルを創造するか。
自社のビジネスプロセスをどう変えれば競争力が向上するか。ITリテラシーの高い労働力の育成にも努力すべき。
③新たな人材プールを作りだす。シリコンバレーのような、人材が海外から集まってくるような仕組みをつくるべき。
日本は統合度の高いモデルであるのに対し海外ネットワーク化した分散型システム。
・インゴ他 マッキンゼー
【成功するモデル】①世界レベルの「オペレーショナルエクセレンス企業」 オペレーションを磨き上げ、シェアを獲得。サプライチェーンを適宜最適化しバリューチェーンを明確にし、オペレーションの多くをローカル市場に移そうとしている。年間成長率は15~20%。半分が市場の成長によるもの。シェアの拡大が残り半分。M&Aはほとんどない。このグループとしてはサムスン、LG、エイサーなど
②新カテゴリー創出型企業「カテゴリークリエイター」 イノベーティブな製品やサービスの開発・販売により新しい市場を形成している少数の企業
重視するのは独創的なデザインと優れたエンジニア。年間成長率は20%すべてがカテゴリーの市場成長。昨今はハードウェアとソフトウェアのサービスの結びつきから生まれる場合が主である。
アップル・グーグル・RIMなどが該当する
③買収成長型企業「アクワイアラー」 有望な企業に目をつけ、買収し、統合するのがうまい。成長率は10%大部分がM&A シスコやHPが入る
④利益重視で買収、事業売却を推進する「ポートフォリオシェイバー」 成長より収益性を重視。ポートフォリオ戦略が厳正かつ綿密で自社でフォーカスする分野を定めていくことに熱心。成長率は1%。営業利益率は5~10%あがっている。IBM、シーメンスなど
オペレーショナルエクセレンスはバリューチェーンの再構築を。新興国での成功とバリューチェーン、ポートフォリオ、ローカル化の取り組みは相関関係がある。
新興国で勝つには、ローカルでの組織力を高め、市場を熟知する必要あり。バリューチェーン全体にわたって業務を再構築する必要がある。
カテゴリークリエイターは連携を重視して。組織内外での連携協力の道を探るべき。
顧客に関する洞察と独創的なビジネスモデルが大事。
医療支援モバイル機器。革新的なリーダーシップの復活のために、インセンティブ、報酬を能力主義に。
アクワイアラーは国境を超える。買収後はスピーディかつ系統だった形で買収先を統合、シナジー効果を現実化すべき。
ポートフォリオシェイバーはすぐに成果を生む。業績管理をこれまで以上に厳しく。計画と実績の違いは明確に。
・ジョン シスコシステムズ
サービスプロバイダー各社が採用している基準は世界トップレベル。最初が日本で行われており、
日本の電気通信企業が世界をリードしうる。日本のサービスプロバイダー各社は早くもクラウドコンピューティングのようなITインフラを活用したサービスいかに提供できるか模索している。
日本できることは①ブロードバンドのビジネスチャンス②起業家ファンド③イノベーションセンター設立に税制優遇措置を設けること。肝心なことは朝鮮し続けること。起業家精神こそ、イノベーションの核心であり、あらゆる国に不可欠な要素。
日本独自の社会力学がソーシャルメディアで開放されれば、競争優位性がうまれるのでは。
・スティーブ アムウェイ
日本は失敗するとやり直すチャンスがない。また日本の若い起業家はコーチング(ゴールに向かって活動する人を能力が最大限発揮できるよう支援する技術)
メンターシップ(特定の領域において、知識スキル経験人脈などが豊富で成功体験をもち、役割モデルを示しながら指導助言などを行う人)の恩恵を受ける人が少ない。
日本の起業家が活用するには能力を開発できるようにすること。1度や2度の失敗は許容すること。資金やメンターシップを受けるチャンスを増やすこと。
・ルノー ルイビトン
買い物客たちは物を獲得することから購入体験の質を重視する傾向。製品が何かを象徴するものであり、より大きな体験の一部であることを望んでいる。LVMHでは最高の職人技、夢のような店内での体験、スタッフのワンランク上の心遣いを提供するようにしている。
・森稔 森ビル
東京が直面する課題①グローバル化への適応②知識情報社会への転換③地球温暖化防止の対策④地震リスクへの対応⑤少子高齢化、生産人口減少への対応
地下や人工地盤下に道路や鉄道を配置し、人工地盤上に人やベビーカーが安全に移動できるようにする。立体的にすみ分けることで事故や渋滞を減らせるはず。
刺激と癒し 両方の要素を街の随所に配置する。
タウンマネジメント 多種多様な施設の配置やテナントの意見、を調整し、街全体の魅力が高まるようなイベントや仕掛けを実行。街をメディアとして情報発信。
・エアンショー マッキンゼー日本支社長
海外ではいわゆる近視眼的な成果主義ではなく、それを超えた仕組みを生みだしている。
成果をより広義にとらえ、イノベーション。品質。能力。成長などの複数の指標によって評価していく。収益はあくまでも結果としてあとからついていく。
日本は往往にしてインサイドアウトになりやすい。アウトサイドインも必要
Posted by ブクログ
経営者、作家などの有名人による日本への提言。今まで読んだことがない人もいて、もっと読んでみたいと興味が湧きました。
それぞれの内容は、不思議と共通する項目が多い。ひとつひとつの文章がコンパクトで読みやすく、わかりやすい言葉て書かれているのはさすがだと思いました。わかりやすいだけで、随分読みたい気持ちになります。高校生や大学生にも読んで欲しい内容です。これからの時代を作る人に。また、会社や行政の上の方の人たちにも。どうしたら、これができるのか?失われた20年のあとの、これからの20年が楽しみです。
Posted by ブクログ
「日本再生への提言」のサブタイトル通り、各業界の著名人がこれから日本がどうあるべきかを語り、纏めた本。多くの人が同じ提言をしているのが印象的だった。個人的にはインフォシス・テクノロジーズCEOの内容が良かった。(単に同業だから日々思うことが重なっただけかな、、)
・go global (学生も企業も)
・財政赤字の削減
・少子化対策(移民受け入れの検討、女性の活用)
・起業家支援