あらすじ
経済がグローバル化し、科学が進歩した世界においてなお、宗教の存在感は増す一方である。宗教を知ることなしに、政治や経済、事件の本質を理解することはかなわない。しかも、ひとつひとつの宗教を別個に捉えていては何も見えてこない。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、仏教等、それぞれの歴史、教義、関係性を一気に学んでこそ、私たちは全体像を得ることができるのだ――現代人のための宗教ナビゲーション。
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Posted by ブクログ
題名のとおり、世界の代表的な宗教を、ざっくりと説明してくれています。
第1章では、西側のユダヤ教、キリスト教、イスラム教を中心に、2章ではアジアの宗教、バラモン、仏教、ヒンズー教、儒教、道教等、そして3章では、日本の宗教について。
それぞれの宗教がどのように影響を与え合ってきたかということも、ざっくりと説明。
で、そのざっくりさ加減が絶妙で、知的好奇心を刺激します。
特定の宗教について、もっと知りたくなった方には、あとがきで詳しい本をおすすめしてくれています。
前に読んだキリスト教についての本がイマイチだったからか、この本の印象はとてもよかった。
宗教を分析するのではなく、淡々と、歴史的に流れを説明してくれています。
特に興味深かったのは、「日本人は無宗教か」という第3章。
実は日本の生活の中にしっかり宗教が根付いているがゆえに、無宗教だと感じているという。
うん・・・確かに、神仏世俗ごちゃまぜ生活の中では「信仰」という考え方って育たないのかもしれない。
しかも、「信仰」という概念が日本に入ってきたのは、明治時代だという。(じゃ、江戸時代のキリシタンはどうなのかって話だけど、それは一部ということで除かれているのかも)
なんか、宗教を中心に考えると、自分のことがわかってないような、がっかりな日本なのではありますが、
著者は、日本が日本という独立した国でいられるのは、意識できないほどに
生活に溶け込んだ宗教にも理由を求められるとしている。
さらに、この「無宗教」感覚に、平和を導くヒントがありそうだ、とも。
そして、終章の、いま世界の宗教は、 という章がさらに興味深い。
これまたざっくりとではあるが、911の同時多発テロの起きた理由にも触れられている。
本編に興味のない方にもぜひ読んでいただきたい。